Google(グーグル)の自動運転プロジェクトから、親会社のAlphabet(アルファベット)のグループ企業になったWaymo(ウェイモ)は、ドライバーレス自動車の送迎サービス(Ride-Hailing、ライド・ヘイリング)の様子を一般公開した。
同社によると、米国時間10月8日からWaymo Oneサービスのメンバーは、フェニックス地域で家族や友人を完全にドライバーレスの送迎サービスに連れて行けるようになるという。既存のWaymo Oneの会員は、ドライバーレスライドを最初に利用できる。さらに同社によると、今後数週間のうちに、Google PlayとApp Storeから入手可能なアプリを通じて、より多くの人が直接サービスに参加できるようになるという。
Waymoは「その乗り物の100%が完全にドライバーレスになる」と述べた。その100%の主張には少し説明が必要だ、一般の人々は、ハンドルの後ろに人間が乗っていない何百台ものWaymoブランドのCHRYSLER PACIFICA(クライスラー・パシフィカ)のミニバンが、フェニックスの600平方マイル(約1554平方km)以上のエリア全体に突然氾濫することを期待してはいけない。
同社は現在、約600台の車両を保有しており、そのうち約300~400台がフェニックス地域にある。Waymoは、これらの車両のうち何台がドライバーレスライド専用になるのか、正確な数は明らかにしなかった。しかし、WaymoのCEOであるJohn Krafcik(ジョン・クラフシック)氏は最近のインタビューで、フェニックス地域にはさまざまな車種が存在するとTechCrunchに説明している。これらの中には「ライダー専用」のものもあれば、訓練を受けた安全オペレーターが運転するものもある。また、一部の車両はテストにも使用される。
クラフシック氏はTechCrunchの取材に対し「あらゆる面で準備ができています。しかし、準備ができているかどうかを知るにはどうすればよいいのかのでしょうか」と話し、「以前から安全面には自信を持っていたのですが、私たちには素晴らしい初期ライダーのグループがいて彼らがサービスに磨きをかけるのを助けてくれました」と続けた。「これらの初期のライダーが『満足と喜びを提供しているかどうか』を判断するのに役立った」と締めくくった。
今年後半には、Waymoは訓練を受けた車両オペレーターによる乗り物の提供を再開し、容量を追加し、より広い地理的エリアにサービスを提供できるようにする予定だ。クラフシック氏によると同社は現在、車内の衛生と安全のために、最前列と後部座席の間の車内バリアを追加しているところだという。
Waymoは約100平方マイル(約260平方km)のエリアで活動している。Waymo Oneのメンバーに提供されるドライバーレスまたはライダーのみのサービスエリアは約50平方マイル(約130平方km)だと同氏。
さまざまな注意点があるが、今回の取り組みはマイルストーンであり、同社が過去10年間に達成した数多くのマイルストーンのうちの1つとなる。過去5年間は特に盛りだくさんで、視覚障がい者のSteve Mahan(スティーブ・マハン)氏が2015年にオースティンの街中で同社のFireflyプロトタイプに乗って「初ドライバーレスライド」を体験したことに始まる。2017年には、カリフォルニア州キャッスルにあるWaymoのテスト施設のクローズドコースで、十数人のジャーナリストがドライバーレスライドを体験した。そして昨年11月、TechCrunchはフェニックス郊外の公道をWaymo Pacificaのミニバンで初めてのドライバーレスライドを体験した。
このようなデモやテストが続く中でも、同社は商用製品の規模を拡大していった。2017年、Waymoはアーリーライダープログラムを開始。このプログラムでは、NDA(秘密保持契約)に署名した一般市民の中から審査を受けたメンバーが、フェニックス地域での自動運転車の走行が可能になった。これらの自動運転車はすべて、ハンドルの後ろに人間の安全運転手が付き添っていた。
Waymoはその後、NDAに縛られることなく公共利用を目的とした自動運転配車サービス 「Waymo One」 を立ち上げた。繰り返しになるが、これらの乗り物はすべて運転席に人間の安全オペレーターを配置しており、必要に応じて運転を引き継ぐことができる。 その後同社は、初期のライダープログラムのメンバーをよりオープンなWaymo Oneサービスに徐々に移行させた。また、乗車料金の実験を開始し、サービスエリアを拡大した。現在同社は、フェニックス地区の全プログラム(アーリーライダーとWaymo1)を対象に料金を請求している。なお、人間の安全オペレータ付きのWaymo Oneサービスは、アリゾナ州チャンドラーと同様にフェニックス郊外においても約100平方マイル(約260平方km)の営業エリアを持つ。
Waymoが、人間の安全運転手のいない車に人を乗せる準備ができていることを示す、最初の意味のある兆候が現れたのは昨年秋。アーリーライダープログラムのメンバーが、間もなくドライバーレスライドが利用できるようになることを示すメールを受け取ったときとなる。
その後、限定された無料のものだったがドライバーレスライドは実現した。ここで重要なのは、NDAの保護を受けたアーリーライダープログラムの対象となっていたことだ。Waymoは、2020年の総ライドの約5~10%がNDAのもとで早期ライダーの独占グループのために完全にドライバーレスになるまでゆっくりと規模を拡大していった。その後、新型コロナウィルスの感染蔓延が発生したことでサービスを停止した。同社は現在、アリゾナ州とカリフォルニア州で安全運転手によるテストを続けている。ただしスタッフの間では、新型コロナウィルスを終息させること、カリフォルニアの山火事によって引き起こされる大気の質の問題に対処するという二重の問題についていくつかの懸念が生じている。
Waymoは新型コロナウィルス対策のために「ユーザーにマスクの着用を義務づけ、全車両に手指消毒剤を用意し、クラフシック氏が言うところの車両内に送られる空気量を4~5回増加させる『キャビンフラッシュ』を毎回乗車後に実施するなど、新たな安全ルールを追加した」と述べている。
クラフシック氏はまた「Waymoは近々オール電化のJaguar I-Paceを追加し、まずは公道でテストを実施し、その後早期ライダープログラムに追加する予定だ」と述べている。
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(翻訳:TechCrunch Japan)