ベンチャーキャピタルのWiLが、彼らのファンドに出資するソニーと組んで新会社「Qrio」を12月中旬にも設立する。新会社の資本金は3億3350万円で、出資比率はWiLが60%、ソニーが40%。代表取締役には、WiL General Partnerの西條晋一氏が就任する。
WiLは設立当初から、スタートアップへの投資に加えて、大企業とスタートアップの架け橋になったり、大企業の保有する技術を世に出したりするといったことをうたっていた。今回の新会社は、そんな取り組みの1つの形だ。西條氏に聞いたところ、新会社設立はWiL側からの提案だったそう。「ソニーは構造改革をしつつ、新しいことに挑戦している最中。カーブアウトについても検討しているが、まずは僕らから提案した」とのこと。
Qrioが提供するのはスマートロック「Qrio Smart Lock」だ。すでにクラウドファンディングサービス「makuake」を通じて購入が可能だ。価格は2つセットで2万2500円からとなっている。12月12日にプロジェクトは発表されたが、すでに現在(17時40分)時点で目標金額150万円中、約122万円が集まっている。
西條氏はQrioの設立に向けて、海外製品を中心に、実際に複数のスマートロックを取り寄せ、ソニーの技術者とともに分解したり、使用してみたりしたのだそう。だが中には品質に満足いかないものも少なくなかったようで、「Airbnbが登場し、人の働き方も変わってきた。ベビーシッターやシェアハウスなどのニーズがある中で、ちゃんとした製品ををちゃんとしたメーカーが作ることは大事」と語る。僕も建築業界の関係者から「セキュリティ面が担保されないと、ウィークリーマンションやAirbnbで貸すような部屋など導入は限定的になるかもしれない」という話を聞いたことがある。
ちなみにWiLでは日本版Airbnbとも言える「TOMARERU」を手掛ける百戦錬磨にも出資している。同社のサービスとスマートロックの連携は「可能性はあるし、比較的容易だと思う」(西條氏)とした。
スマートロックはQrioの第1弾のプロダクトということで、今後もIoT関連の製品を提供することを検討中だそうだ。また、ソニー以外の出資者と組んで別領域での新事業を展開するという可能性もあるとしている。
海外では、「August」や「Kevo」、「Goji」などのスマートロックがあるようだが、最近では国内でもスマートロックを手掛けるプレーヤーが増えてきている。TechCrunch Tokyoのスタートアップバトルに登壇してくれたフォトシンスの「akerun」や、電通子会社の電通ブルーの「246(ニーヨンロック)」などもそれぞれ発売を控えている。