音声でコマンドを入力するサービスシステムAmazon Alexaは、その専用実装デバイス(Amazon Echoなど)が、ユーザーの声をはっきり聞き取れる位置、たとえばコーヒーテーブルの上やカウチのそばなどにないといけない。テレビの近くにあったりすると、アニメのキャラクターが “Alexa!”と言っただけで、おかしなものがAmazonに注文されたりする。
ノイズを無視して、ご主人である人間の声だけを聞き分ける高度な技術が必要だが、それは意外と難しい。
でも、今やイギリスの企業が、世界で初めてそんな技術を作り出し、Amazon Alexaの音声サービスに導入しようとしている。
1か月前にInfineonがリードするラウンドで1500万ドルを調達したイギリスのチップメーカーXMOSは、ヨーロッパで初めて、Amazonが公式に認定したAlexa Voice Service(AVS)開発キットを近くリリースする。同社は世界初の、AVS認定“遠方界線形マイクロフォン配列”(far-field linear mic array)”のメーカーでもある。
この技術は、車で使われるレーダーとマイクロフォンを組み合わせている。そうするとEchoのようなAlexa専用のデバイスは要らなくなり、スピーカーとのセットを壁に埋め込んだり、ほかの製品のキットに組み込んだりできる。つまりAlexaが、専用機でなく、何かほかのものに統合される。
社員50名のXMOSは、AVS認定企業としては最小で、競合他社のSynapticsは時価総額12億7000ドルで1800名の社員がいるし、57億ドルのMicrosemiは4400名、32億8000万ドルのCirrus Logicは社員数1100名だ。
さまざまな競合ソリューションがある中で、XMOSはAlexaをサポートする初の遠方界線形配列を提供し、Alexaの機能を生活の背景の中へ溶融してしまう。
この線形配列によってAlexaは初めて、他の多くの家電製品と同様、壁に接するフラットパネルにもなる。
そして未来の音声サービスは、どんなデバイスにも搭載できる、存在を意識しない目立たないものになる。