Y Combinator 2019年冬クラス、Demo Day2日目のスタートアップ88社(2)

米国時間3月19日は、Y Combinatorが開催した、2019年冬クラスの2日間のDemo Day後半だった。1日目は85以上のスタートアップがステージに上がりピッチを行った。2日目も同様に多数のピッチが行われた。

以下に、2日目に発表した全社と、そのプレゼンテーションに対する私たちのメモを紹介する。

Y Combinator 2019年冬クラス、Demo Day 2日目のスタートアップ
・Part 1:パイオニアステージ(1)
・Part 2:パイオニアステージ(2)※この記事
・Part 3:パイオニアステージ(3)
・Part 4:パイオニアステージ(4)
・Part 5:ミッションステージ(1)
・Part 6:ミッションステージ(2)
・Part 7:ミッションステージ(3)
・Part 8:ミッションステージ(4)

パイオニアステージ

Mudrex
プログラミングの知識がなくてもアルゴリズムトレーディングを実行できるようにする仕掛け。当初は暗号通貨のトレーディングから始まる。3月11日の週に彼らは、15万ドルぶんのトレーディングを行った。彼らは、トレーディングモデルの構築を行うことができる、ドラッグ&ドロップ式のインターフェイスのアクセスに対して年間300ドルを課金する。作成したモデルは過去のトレーディングデータを使ってテストすることができる。

Brain Key
3D MRIデータを用いた脳疾患の診断。多くの医師が診断のためにMRIから得られた2Dスライスを使用しているが、Brain Keyは、3Dでデータを分析し、パーキンソン病のサブタイプを専門家より35%正確に識別することができると述べている。彼らは2年以内に世界中の病院で採用されることを目指している。

Switchboard
もしトラックがどこにあるのかわからないのなら、出荷する必要がある貨物と、利用できるトラックの効率的なマッチングを行うことはとても困難である。Switchboardのトラック搭載センサーは、トラックの位置、目的地、その他のデータをリアルタイムに収集する。Switchboardのトラック貨物マーケットは3カ月前にローンチされ、すでにより多くの収益源を開拓できる可能性があるデータを収集している。

Shef
2カ月前、カリフォルニア州は家庭で調理された食品の販売を合法化する国内初の法律を可決した。Shefは、家庭のシェフが近くの顧客を見つけることができるマーケットを作る。Shefによる食事は、通常のフードデリバリーが1食あたり20ドル程度であるのに比べて、1食あたり6.50ドル程度の価格である。スタートアップは売上の22%を手数料として徴収する。このマーケットプレイスを、住居者への特典として提供している大規模な不動産会社との取引のおかげで、同社の売上は毎週50%増加している。Shefは家庭料理のAirbnbになりたいと思っている。

Qwest
クラブやバーなどで、行列をとばして入場するために支払いを行えるようにする。現在2都市の10店舗と提携しているが、今年は6都市の100店舗と提携できるだろうと同社は述べている。彼らは音楽祭やスポーツイベントのようなイベントへの拡大を目指している。

Circumvent Pharmaceuticals
アルツハイマーと同様の神経変性疾患であるバッテン病には十分な治療法が存在していない。Circumventは、同社の治療法は病気が原因となって失われてしまった酵素を置き換えることができると述べていて、すでにその有効性がマウスでは示されている。もし稀な病気を治療するために適用される優遇措置で迅速に承認を受けることができるならば、Circumventは保険でカバーされる10万ドルでその薬を売ることを望んでいる。そのハードルをクリアした後にCircumventは、はるかに大きな利益を生み人類に対する大きな福音をもたらす、アルツハイマーの治療法に取り組むだろう。

Withfriends
バー、劇場、理髪店のような小規模ビジネスのための会員プログラム。これまでのところ、彼らはプラットフォーム上に80の小規模ビジネスを抱えており、5000人以上のメンバーから40万ドルの収益を得ている。POSマシンにうまく統合することで、顧客の15%が会員になったという。

Askdata
会社のデータは見つけたり理解したりするのが難しいため、技術者以外の従業員が利用することはめったにない。Askdataは、並べた単語をSQLクエリに変換する内部データ用の自然言語検索エンジンを提供している。データを便利にアクセスできるようにすることで、企業のより良い決定に役立つかもしれない。

Modern Labor
受講者に1万ドル(月2000ドルずつで5カ月)を提供した上で同時にプログラミング教育を施す。受講者は引き換えにその後2年間収入の15%を支払う。創業者のフランシス・ラーソン氏によると、Modern Laborの最初の学生グループが現在このプログラムを使って学習しており、1万人が待機者リストに入っているそうである。

NALA
アフリカでのモバイル決済には、インターネット接続と上の写真のような複雑な46桁のコードの入力が必要になる場合がある。NALAは、インターネットの利用時間を買って友人や商店に簡単に支払いを行えるようなモバイルマネーアプリを開発した。これで年間3000億ドルに達するアフリカのモバイルペイメントを獲得したい考えだ。共同創業者のベンジャミン・フェルナンデス氏は、NALAは競合他社よりも7倍速く、5000人のアクティブユーザを抱えていると語る。NALAは、インターネット利用時間と請求書の支払いや貯蓄の利息、さらに見込み客を保険会社や他のサービスへと紹介することから手数料を稼ぐ。

Vice Lotteries
宝くじからなるべく「損失を取り除こう」とする宝くじプラットフォーム。特徴的なのは、プレイヤーが賭け過ぎることができないように、賭け金の限度がプレイヤーの資産額によって決まることだ。創業者のマシュー・カーティス氏は、彼らのモデルは現在合法ではないが、積極的にそれを変えようとしていると語る。

Y Combinatorの2019年冬のDemo Day初日の有望スタートアップ10社

[原文へ]

(翻訳:sako)

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TechCrunch Japan

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