Yelpのウェブサイトと検索結果がパーソナライズ化

米国時間8月27日、Yelpはユーザーの個人設定に基づいて検索結果とウェブページをパーソナライズできるようにすると発表した。

ベジタリアンのユーザーや子連れで行きやすいレストランを見つけたいユーザーは、検索のたびにその情報を入力する必要がなくなる。いったん設定しておけば、その後はその条件を優先した結果が表示される。

同社コンシューマープロダクト責任者のAkhil Ramesh(アキール・ラメシュ)氏は「2人のユーザーが同じコンテクストで同じ検索をしても結果は異なる。これはYelp史上初めてのことだ」と言う。

この機能を使うには「Personalize your experience」(体験をパーソナライズ)からオプションを選択する。オプションには、食事の条件(ベジタリアン、ビーガン、グルテンフリーなど)、ライフスタイル(子供がいる、車を持っている、ペットがいる)、アクセシビリティのニーズ(車椅子、ジェンダーニュートラルの化粧室)、好きな料理、その他の好み(書店が好き、夜のデート向けなど)がある。

この設定を済ませると、検索結果に反映するようになる。結果には「ベジタリアン料理多数」「中華好きのあなたにおすすめ」などと表示されるので、パーソナライズされていることがわかる。ウェブページではユーザーが気に入りそうな店がハイライトされる。

この機能の登場は遅すぎるようにも思える。人気アプリやウェブサイトの多くは、すでにすっかりパーソナライズされているからだ。なぜYelpは今、この手法を取り入れることにしたのか。

その理由のひとつとしてラメシュ氏は、食に対する関心の多様化を挙げる。また「我々には長年にわたって蓄積してきた、構造化されてはいないものの有意義で質の高いコンテンツがある。このコンテンツはリアルな体験を表しているものだ。ここ数年、我々の機械学習とAIは飛躍的に発展した。そのため、我々が持つ高品質なコンテンツをベースに本当に役に立つ機能を作ることができた」とも語る。

ラメシュ氏は、すべての行動をアルゴリズムに反映させるのではなく、明示的にYelpと共有した設定から結果を示すと強調する。とはいえ「どの機械学習のアルゴリズムにも偏りはたくさんあるだろう」とも述べた。

同氏は、このアプローチを「人間的な方法」と説明する。つまり、誰かと会話をするときに「その人が週末に何をしたかを想定しようとはしないでしょう。その人にただ質問し、会話をするだけです」。

同時にラメシュ氏は、アプリ内での行動全般が検索結果に影響を与えることが有用であることも多々あるため「この2つのバランスを探っているところだ」とも語った。

好みはタイミングや状況によって変わることもある。あるものを食べたくないとか、子供抜きで食事に行くこともあるだろう。そこで設定はいつでも変えられる。また、ウェブページからいずれかを選択し、詳しく見ていくこともできる。

このことがYelpの広告ビジネスにどう影響するかをラメシュ氏に尋ねたところ、最初に目に入る広告には影響が現れないが、設定と関連づけて「XXX料理好きのあなたに」というメッセージの広告は表示されるようになるとの説明だった。

同氏は「最終的にユーザーの設定に基づいて広告が表示されるだろうが、ETA(拡張テキスト広告)は表示されない」と付け加えた。

画像:Yelp

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(翻訳:Kaori Koyama)

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TechCrunch Japan

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