YouTube乱射は言論制限への抗議と警察は推測――容疑者は熱狂的ヴィーガン

昨日(米国時間4/3)の正午過ぎにサンブルーノのYouTube本社を襲った女性の動機は同社の新しい利用規約に対する怒りだった可能性があると捜査当局は考えている。 「捜査の現段階で、容疑者はYouTubeの利用規約と運営に対して強く憤慨していたとわれわれは考えている。これは事件の動機となる可能性がある」とサンブルーノの警察本部長、Ed Barberiniは水曜朝の記者会見で述べた。

警察は容疑者の身元をサンディエゴ在住のナシム・ナジャフィ・アグダム(Nasim Najafi Aghdam)という女性だと発表した。捜査当局はアグダムの単独犯行と考えている。この女性の家族は3月31日に地元警察に行方不明になったことを通報している。

アグダムは数十本のビデオを投稿するなどYouTubeで活発に活動していた。 テーマは多様で使用言語も複数あった。こうしたビデオおよびアグダム自身のウェブサイトの内容からすると、YouTubeは新しい利用規約によりアグダムを含めた一部のユーザーのビデオの拡散を意図的に妨げていると信じていた。

アグダムのソーシャルメディアのコンテンツ

容疑者はYouTube以外にも、たとえばvid.meに“Discrimination Filteration On Youtube”(ママ、正しくはfiltration)というビデオをアップしていた。これには視聴者数が2016年以降減少しているYouTubeのダッシュボードが映されていた。

アグダムは特に自分の絶対菜食主義(ヴィーガニズム)が原因で差別を受けていると主張していた。アグダムは熱狂的なヴィーガンで、差別の原因としては(たとえば)性別、人種その他は関係していないもようだ。アグダムはあるビデオが反菜食主義のYouTube社員によって閲覧年齢制限を課されたと信じていた。アグダムは「この後、YouTubeは私のビデオの拡散をフィルターし、再生回数と収入を減少させて私を弾圧した」と主張している。

YouTubeのプロフィールにおけるアグダムのコメント。

ただしYouTubeの利用規約への怒りが昨日のYouTube襲撃と自殺という行動へと発展した経緯は不明だ。警察は「捜査は始まったばかりであり憶測は避ける」としている。またアグダムが襲撃当日マウンテンビュー警察と接触したという情報についてサンブルーノ警察本部はメディアから質問を受けたが詳細を明かすことは避けた。

アグダムは駐車場側ドアからYouTubeビルに入り、中庭で無差別に発砲を始め、3人を負傷させた。使用された銃は自身の名義で登録された9mmピストルだった。

Barberini警察本部長は「現時点では容疑者が特定の人物を狙って発砲したわけではないと考えている。事件の現場にいあわせた人々と容疑者との間にはなんら意味ある関係は見出だせない。容疑者はYouTubeに激しい怒りを抱いていた。これが昨日のようなテロ行為にまで発展したのかどうか、今後数週間の捜査で明らかになると期待している」と述べた。

BarberiniはまたYouTube側の対応が素早かったとして、「こうした非常事態にあってYouTubeの反応は素晴らしかった。…YouTubeの適切な対処がなければわれわれの行動はいっそう困難なものになっていただろう」と称賛した。

YouTubeは特に容疑者との関係において新しい利用規約がどのように運用されたか捜査当局に全面的に協力しているという。YouTubeのCEO、スーザン・ウォジスキーは昨日事件に関して警察への謝意と被害者への気遣いをTwitterに投稿した。

今日のYouTubeへの攻撃は言葉にできないほど恐ろしい事件でした。警察と救急当局の素早い対応に深く感謝します。またこの事件の負傷者と被害を被った人々を気遣っています。家族として団結し、傷を癒やしていきましょう。 

画像:JOSH EDELSON/AFP / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

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TechCrunch Japan

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