カスタマーサービスの機能をさらに充実させようとしているZendeskは米国時間8月26日、アーリーステージのAIスタートアップであるCleverlyの買収を発表した。
金額などの条件は非公開で、Cleverlyの資金の規模についてもこれまで完全には明らかにされていない。2019年に創業したCleverlyの拠点はポルトガルのリスボンで、同社のサイトによるとEUの研究・イノベーションプログラムであるHorizon 2020から資金提供を受けている。
TechCrunchが2021年1月に掲載したリスボンのスタートアップシーンを紹介する記事の中で、Indico Capital PartnersのパートナーであるStephan Morais(ステファン・モライス)氏がこの地域で最も注目するディープテック企業の1つとしてCleverlyを取り上げた。
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Cleverlyの製品プラットフォームでは、寄せられたサービスリクエストに自動でタグ付けしてワークフローを分類するトリアージ機能など、AIを活用した機能が提供されている。また、同社がAIによる人間の強化と呼んでいる、カスタマーサービス担当者が問い合わせに対して適切な回答をするのに役立つ支援機能もある。同社のテクノロジーはすでにZendeskの他Salesforceとも統合されている。
ZendeskがCleverlyを買収する理由について、Zendeskの製品担当EVPであるShawna Wolverton(シャウナ・ウルバートン)氏はTechCrunchへのメールで、両社はカスタマーサービスの将来について同じようなビジョンを持っていると記した。
同氏は「CleverlyとZendeskはAIを民主化したいと考えています。両社は企業にデータサイエンティストがいなくてもすぐにAIの活用を始められる実用的なアプリケーションを開発できます」と述べている。
ウルバートン氏は、AIはカスタマーエクスペリエンスのチームが優れたカスタマーサービスを提供するのに役立つという。同氏は、インテリジェントなソフトウェアによって人とAIが緊密に連携し、次世代の優れたカスタマーエクスペリエンスが広く実現するだろうと期待する。
同氏によれば、Cleverlyのチーム全員を2021年8月30日からZendeskに迎えるという。Cleverlyの創業者であるChristina Fonseca(クリスティーナ・フォンセカ)氏は製品担当VPに、Pedro Coelho(ペドロ・コエーリョ)氏は機械学習の主任エンジニアリングリードになる。
Zendeskにはすでに顧客との対話の自動化、サービス担当者の生産性向上、業務の効率アップにAIを活用する機能がある。例えばAnswer Botは顧客の問い合わせに対する答えをZendeskのナレッジベースから引き出すチャットボットだ。ZendeskのContent CuesはAIを利用して自動でサポートチケットを検討することに加え、ユーザーの利便性を高めるためにヘルプセンターのコンテンツをアップデートした方がよいカ所を見つけることもできる。
ウルバートン氏は「Cleverlyと協力することで我々は重要なインサイトを自動化し手作業をさらに減らしワークフローを改善して、サポートチーム全体をもっとハッピーに、もっと生産的にする幅広い機能を提供できるようになるでしょう。我々のチームが動き始めたらさらにニュースをお知らせできると思います」と述べた。
Zendeskの2021年のビジネスは好調で、業績発表によれば第2四半期の売上は前年同期比29%増の3億1820万ドル(約349億7000万円)だった。
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画像クレジット:Bloomberg / Getty Images
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(文:Sean Michael Kerner、翻訳:Kaori Koyama)