Zoom(ズーム)は飛躍的な成長に伴う問題を解決すべく、クラウドインフラベンダーを探していた。驚いたことに、同社はOracle Cloud Infrastructure(オラクル・クラウド・インフラストラクチャー)を採用した。同社はまた、AWSとAzureの活用も暗に示した。
パンデミックにより世界の大部分が閉鎖されると、Zoomは普段使いのビデオ会議サービスになった。Zoomを使用したビデオ会議が普及し、アクティブユーザー数は2月の2億から3月は3億まで増えた。この成長がインフラに少々負担となり、Zoomは明らかに能力を増強する必要があった。
驚いたのは同社がOracleを選択したことだ。Oracleは2月に行われたSynergy Researchの最新の調査で、インフラの市場シェアの点でニッチプレーヤーとして位置づけられていた。Amazon、Microsoft、Google、さらにはIBMなどの市場のリーダーからは、かなり水をあけられている。
CRM Essentialsの創業者であるBrent Leary(ブレント・リアリー)氏は、これはZoomが中小企業の市場にとどまらず、広く法人顧客を支援できることを示す動きだと見ている。そして法人顧客のニーズの内容も問わない。
「ZoomがOracleを採用したのは、クラウド内のOracleハードウェアで動くOracleデータベース上に構築されたミッションクリティカルなアプリに関して実績があるからだと思う。Zoomは、中小企業が通常必要とする規模を超えたスケールとデータセキュリティでも扱えることを法人顧客に証明する必要がある」とリアリー氏はTechCrunchに語った。
さらにリアリー氏は、OracleがAmazonやMicrosoftのようなライバルに勝つためには人気企業を取り込む必要があったため、Zoomに良い条件を提示したのかもしれないと推察した。
注目すべきはCNBCが2週間前に報じた内容で、Oracleの会長であるLarry Ellison(ラリー・エリソン)氏がZoomは他社だけでなくOracleにとっても「不可欠なサービス」だと述べた。後から見れば、同氏にとってご褒美ともいえる顧客を賞賛したのは偶然ではなかったということだ。
AmazonのChime、GoogleのHangout、MicrosoftのTeamsのすべてと競合するプロダクトであることを考えると、そうした潜在的なライバルからZoomを遠ざけることと関係しているのではないかと推測する向きもある。ただし、Zoomがこの危機で成し遂げたのとは異なり、競合のプロダクトはオンライン会議の代名詞にはならなかった。
Zoomは昨年上場した。会社の規模拡大に伴い一連のセキュリティー問題も大きくなったものの、テレビ会議市場では引っ張りだこになっている。セキュリティー問題には現在なお対応中だ。
株式市場は明らかに今回の選択に感銘を受けていない。この記事執筆時点で株価は3.38%または5.56ドル下がっている。
画像クレジット:Olivier Douliery / Getty Images
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(翻訳:Mizoguchi)