店舗にチェックインすればポイントが貯まる「楽天チェック」はO2Oの本命となるか

超音波を利用した来店検知ポイントアプリ「スマポ」を提供するスポットライト。2013年10月に楽天が買収して完全子会社となった同社が、4月2日より楽天と連携した来店ポイントアプリ「楽天チェック」の提供を開始した。

楽天チェックの仕組みはスマポと同様で、超音波を発生させる専用装置を店舗に設置、アプリを立ち上げたスマートフォンのマイクでその超音波を認識すればチェックインが完了。楽天スーパーポイントを獲得できるというもの。ユーザーは楽天IDを登録して、SMSによる認証をすればすぐにサービスを利用できる。なお装置はスマポと兼用できるそうで、スマポと楽天チェックの両方を導入する店舗は、1つの装置を設置すればよいとのこと。

店舗側では、チェックイン時のメッセージやクーポンの提供、ユーザーが帰宅したあとのメッセージ送付などが可能。性別や年齢などを限定してポイントを提供できる。

サービス開始時点で、パルコや時計専門チェーンのザ・クロックハウス、コンビニ・食品販売のポプラをはじめとして31社61ブランド、全国1112店舗の導入が決まっている。2015年までに累計1億人の送客を目指しており、「そこから逆算して数千〜1万店舗に使ってもらいたい」とスポットライト代表取締役の柴田陽氏は語る。

楽天の会員は、現在約9000万人。これは日本のネットユーザーの93%に当たる数字だ。先行する共通ポイントサービスとしてTポイントPontaがあるものの、「ネットユーザーをオフラインに連れてくる」という点で楽天スーパーポイントがどれだけ有効なのかに注目したい。

検知方法の正確さ、スマポと楽天チェックの関係性について

ところで今回の発表で僕は2つの疑問を持った。1つめは、超音波を使った来店検知の正確さについて。そして2つめは、スマポと楽天チェックの関係性についてだ。

まず1つめだが、超音波を使った来店検知の仕組みの元祖である米Shopkickは、実は2014年に入ってから、Bluetooth LEを利用したiBeaconの試験的な導入を開始している。TechCrunchの記事では、コストや導入の手軽さについて触れられているが、同日の会見では「超音波で認識できるのは6〜7割。精度の面で問題があるのではないか」という質問がなされた。

僕は創業期からスポットライトに取材していることもあって、店頭でのデモなども体験しているが、デモなので超音波を発する装置がどこにあるかを知った状態でチェックインをしていた。そのため精度の問題を感じたことはなかった。だが本当に超音波を拾えずにチェックインできないということが起きているのであれば、別に超音波を使う必要などない。

この点について、柴田氏は「正しく使った場合、Wi-FiやBluetooth(iBeacon)と比べて安定している認識」と説明。さらに、超音波方式ににこだわることなく、普及率やコストを考慮して技術を取り入れる考えを示した。

また2つめの疑問である、スマポと楽天チェックの関係について。これについてはスポットライトでは今後も2つのソリューションを並行して提供していくのだという。

僕が個別に柴田氏に聞いたところ、両者は「補完関係にある」のだという。自社で強いポイントを持っている場合、提携各社のポイントに交換できるスマポが有効だ。一方で楽天チェックは楽天スーパーポイントでしか使えないので、「楽天ユーザーを集客する」という集客に関する割り切りが必要になってくる。

セレクトショップをはじめとした「ブランド重視」の企業にとっては、楽天スーパーポイントに縛られることについて、賛否両論があるのだという。そのためにこそスマポがあるわけで、スポットライトとしては選択肢をユーザーに提示できる強みがある。装置が兼用できるため、スマポと楽天チェックを同時に利用するといった店舗もあるようだ。

販促会議の調査によると、店舗で利用できるクーポンや店舗情報を取得できる、いわゆる「O2O」関連アプリの利用率は、2013年には19%だったが、2014年に36%にまで増えているという結果が出ているそうだ。そんな中でいかに簡単にアプリが使えるのか、サービス自体が認識されるのかは課題だ。楽天スーパーポイントは果たしてオフラインでもその影響を発揮できるのだろうか。


投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。