SalesforceやOracleなど、CRMの巨人たち、それにDomoのような成熟したスタートアップが、このところモバイルに大々的に侵入してきて、とくに営業の人たち向けのアプリを売り込んでいるが、モバイルファースト*でよりすっきりとしたソリューションの方が良いのだと主張する新進のスタートアップもいる。ここでご紹介するClariは、リアルタイムのビッグデータ分析で営業を支援するモバイルファーストのアプリだが、今日(米国時間4/2)はSequoia Capitalなどから600万ドルの資金を調達したことを契機に、ステルス状態を脱した。今“数十社”といわれる顧客にはFortune 500企業が多く、VMware、Juniper、Cisco、Box、Nimble Storageなどもその中にいる。〔*: mobile-first, 最初からモバイルで行くこと、デスクトップからのポート(移植)などではないこと。〕
CEOでファウンダのAndy Byrneによると、大手の競合他社たちとClariとの重要な違いは、前者が良いレポートを作成することに力点を置いているのに対し、Clariはもっとよく売れる営業活動の実現に集中していることだ。
この違いは大きい。Clariでは情報が、ユーザがそれを必要としているまさにそのときに提供されるが、他社のアプリでは情報分析が営業が会社に帰ってデスクに向かったときに行われる。まったく別人が情報分析を行うこともある。
Byrneはこう語る: “前にいた会社では、営業がものすごくやり辛かった。CRMも使い辛かった。個別ばらばらのアプリケーションがたくさんあり、また仕事のやり方にも、至る所に謎めいた“黒魔術”があった。しかし、営業からこれらの苦痛を取り除いてあげることが、われわれの機会だと感じた。しかもBYODというトレンドとモバイルによって、その機会を開拓する絶好の環境が企業内に生まれていた”。
Clariには、効果的かつ効率的な営業活動を支えるための、重要な機能がいくつかある。
まず、営業データやCRMのデータを分析してデータマイニングを行うクラウドサービスがある。今の企業が使っている主なCRMや、そのほかの主要アプリケーションのデータがすべて、マイニングの対象になる。それらは、Salesforce、Microsoft Sharepoint、Microsoft Exchange、Box、Dropbox、LinkedIn、Gmail、ニュース、そしてTwitterだ。
“Deal assistant”(営業活動アシスタント)は営業のためのパーソナルアシスタントで、コンピュータのサマンサのように出力は声、そしてユーザからの入力も音声だ。
“CRM accelerators”(CRMアクセラレータ)という、プッシュ通知を利用する機能は、タイミングが重要な、つまり今伝えておいた方が(見ておいた方が)良い、と思われる情報やアドバイスなどを、営業のモバイルに送る。その中には、今進捗中のほかの営業活動からの情報もある。
“deal progression dashboard”(営業活動進捗ダッシュボード)は、営業の部屋によく置かれているホワイトボードの電子版で、クラウドや重要なリンクから豊富な情報が配達される。
これらの機能のデモが、ここにある。
そして、Clariの着眼点は、以下のようなところにある:
・ビッグデータ分析の効能をデータサイエンティストと呼ばれる専門家のものから、営業というエンドユーザのものにすること。
・スタートアップが、疑いの目ではなく、期待と好奇心の目で見られるようになったという、時流に乗ること(大企業からもバカにされないようになった)。
・有名企業数社を顧客として確保したあとで、ステルスを脱すること(その方が今後の営業がやりやすい)。
(Clariの営業も、確実に、Clariを利用しているのだろう。)
・セールストークには、顧客/見込み客が前のめりになって関心を示す、実際の体験談経験談を必ずまじえること。
Sequoiaが今回Clariへの投資に踏み切ったのは、Byrneという人物を高く評価しているためだ。Clariの前には、長年Clearwellの役員(同社はその後Symantecが買収)。Clearwellは、ビッグデータ分析の実用化におけるClariの先輩企業でもある。その前はTimestockのファウンダ…同社はその後Wily、さらにComputer Associatesが買収した。
Clariのステルス期の顧客に有名企業が多いのも、やはりByrneの名声と信用のせいだ。なお今回の投資で、SequoiaのパートナーAaref HilalyがClariの取締役会に加わる。
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))