食料品店従業員の腰を守る外骨格のパイロット試験を経てVerve Motionが約16.5億円調達

ここ数年、エクソスケルトン(外骨格) / エクソスーツのカテゴリーが盛り上がっている。これは実に理に適っていると思う。2つの巨大な、そして劇的に異なる潜在的な顧客層があるからだ。1つは、ウェアラブルの支援によってメリットを得られる職種。もう1つは、このような技術が非常に役立つ可能性のある、モビリティの問題を抱える人々だ。

ハーバード大学のヴィース研究所(Wyss Institute for Biologically Inspired Engineering)と工学応用科学部に所属するConor Walsh(コナー・ウォルシュ)博士の研究室からスピンアウトしたチームによって2020年に設立されたVerve Motionは、現在のところ前者をターゲットにしている。労働集約的な仕事がしばしば負傷につながることを理解するのにたくさんの統計は必要ないかもしれないが、ここでは同スタートアップのサイトから3つほどご紹介する。

  • 連邦労働統計局によると、米国の職場では毎年100万件の背部傷害が発生している
  • 米国のBone and Joint Initiativeによると、背部傷害による労働損失日数は毎年2億6千万日以上にのぼる
  • 「Liberty Mutual Workplace Index 2018」レポートによると、これは米国の事業者にとって年間140億ドル(約1兆5400億円)の直接コストとなっている

画像クレジット:ADUSA Distribution

人々の良識に訴えられないのであれば、せめて彼らの財布に訴えることは可能なはずだ。いずれにしてもVerve Motionは、シードラウンドと、大手食料品流通会社ADUSA(Ahold Delhaize)での試験運用の成功を受けて、新たな資金調達を発表した。シードの調達はパンデミックの最中、フードサプライチェーンで働く多くのエッセンシャルワーカーが日常的に肉体的限界に追い込まれていた時に行われた。

Construct Capitalが主導した今回のシリーズAでは、Founder Collective、Pillar VC、Safar Partners、OUPなどの既存投資家が参加し、同社は1500万ドル(約16億5000万円)の資金を調達した。

共同創業者兼CEOのIgnacio Galiana(イグナシオ・ガリアナ)氏は、リリースで次のように述べている。「今回の新たな資金調達は、当社のソリューションの継続的な開発を促進し、製品に対する需要の高まりに対応するため事業規模を拡大して、これを最も必要としている労働者の方々に製品を提供するためのものです。新規および既存の優れた投資家グループの支援に感謝しています。また、未来の産業労働者のためのソリューションを創造するために、Construct Capitalを迎えることができてうれしく思います」。

Verveの最初の製品「SafeLift」は着用者の動きに適応する布ベースのソフトなエクソスーツで、腰にかかる負担を最大30~40%軽減することができる。

関連記事
軍事技術から発達した歩行支援のためのロボットショーツ
ヒザを痛めた人用のスマート装具をRoam Roboticsが開発
米海軍やデルタ航空の「着るロボット」を作る外骨格パワードスーツのSarcosがSPAC合併計画を発表
外骨格ロボットは歩行能力と重作業補助の未来を約束する

カテゴリー:ロボティクス
タグ:エクソスケルトンVerve Motion資金調達倉庫

画像クレジット:ADUSA Distribution

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。