インシュアテックの評価額を心配すべきだろうか?

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皆さん、こんにちは!素敵な一週間を過ごせただろうか?私は眠りを覚ます胸焼けを感じながら32歳になった。ということで個人的には、ちょっとしたいいことも、悪いこともあった。だが、それでもマーケットは待ってくれない。全く、微塵も揺らぐことがない。つまり、インシュアテック関連株の下落や、この状況がスタートアップ企業にとってどのような意味を持つのか、また多数のIPOについてなどの話題は尽きないということだ。面白い!

さて新規上場企業であるKaltura(カルトゥーラ)、Couchbase(カウチベース)、Enovix(エノビックス)と行ったチャットの詳細に入る前に、まずインシュアテックについて話しておくことにしよう。

ここ1年ほどの間に、Root(ルート、自動車保険)Metromile(メトロマイル、自動車保険)、Lemonade(レモネード、レンタル保険)などの、インシュアテック系のスタートアップが続々と上場している。ここでは、現在の彼らのパフォーマンスがどのように見えるかを簡単なダイジェストでご紹介しよう。

  • Root:1株あたり7.72ドル(約853円)。IPO価格27ドル(約2985円)から71.4%ダウン。
  • Metromile:1株当たり7.26ドル(約803円)。合併後の高値から64.4%下落。
  • Lemonade:1株あたり86.97ドル(約9614円)。IPO価格の29ドル(約3206円)から199.9%上昇。

思い出して欲しいのは、RootとMetromileがLemonadeの後に取引を開始したことだ、つまりその下落は長い時間軸ではなく短い間隔で発生した。だからこそ、この状況が興味深いのだ。

何が起きているのだろうか?さて、(SPAC、IPOなどの)何らかの形で公開したインシュアテックの3社に2社は極めて厳しい状況にある。このことは、まもなく完了予定のSPAC主導の合併を進めているHippo(ヒッポ)にとって、良い兆候とはとても言えない。こうした大幅な下落は、インシュアテックスタートアップにとっては明るい材料ではない。彼らは、自分たちの価値に対する一般投資家からの疑問に答えなければならない。

LemonadeのIPO後の好調な業績は、懸念を払拭するものだろうか?難しい質問だ。同社は、自動車保険をはじめとする新しい市場への拡大に奔走している。最新の決算報告書によると、同社は今年初めにテキサス州の寒波により多少の打撃を受けたものの、その点を除くと、同社が他の2社がやっていないことをやっているのかどうかは明らかではない。ともあれ投資家が注目しているのは、RootやMetromileではなく、Lemonadeなのだ。IPOに向けてまだ規模を拡大している多くのインシュアテックスタートアップにとって、何故そうなるのかや、他の2社よりもLemonadeに近付くにはどうすればよいかを解明することは、重要な鍵となるだろう。

IPOの季節到来

この2週間、The Exchangeは上場する企業のCEOと電話で話し、彼らの最近の状況を学ぼうとしてきた。というわけで、以下に示したのはKaltura、Couchbase、Enovixの人たちとのチャットの電話メモだ。

Kaltura

  • メモ:オンラインビデオに特化したKalturaは、今年初めに株式公開を申請したものの、そのIPOを延期し、また別の資金調達イベントを行った
  • The Exchangeが、KalturaのCEOであるRon Yekutiel(ロン・イェクティエル)氏に話を聞いたところ、同社のIPOのタイミングは、2021年初頭の公開市場の混乱の影響を受けていたという。それは驚きではなかったが、確認できたことはよかった。
  • そしてその停滞の原因の一部は、Archegos(アルケゴス)の破綻によるものだったとイェクティエル氏はいう。それは理にかなった説明だが、私たちは初めて知るニュースだった。
  • イェクティエル氏は、株式公開が遅れたことを決して嬉しくは思っていないと述べた(公開は事前に公表できる唯一の資金調達だからだと彼はいう)。とはいえ初回に彼の会社が話をしていた投資家たちは、二度目のIPOに際しても変わらずKalturaを熱心に応援していると付け加えた。
  • CEOによれば、Kalturaの第2四半期の速報値は、年初に話していたことが実現していることを投資家に示すことになったという。また、継続的な成長のためには、新製品の取り込みが重要であるとも強調した。
  • イェクティエル氏は、20%の高値を記録した初日の値付けと取引結果に満足している。それ以上だと過剰で、それ以下だと不足だとも指摘している。
  • Kalturaの価格が3月のIPO時の価格帯に比べて低かったことについて、イェクティエル氏は「第一印象を与えるチャンスに3度目はない」と述べ、同社としては公開を完了させたかったのだと語った。そして、その通りにやりきった。自分の考えの中で迷子にならないためには重要なことだ。
  • 本記事執筆時点で、Kalturaは1株あたり10ドル(約1105円)のIPO価格から17.5%上昇している。

一つの逸話を紹介しよう。Kalturaはかつて、現在のTechCrunch Disruptカンファレンスシリーズの前身であるTechCrunch50イベントの、さらに前身であるTechCrunch40の初期において、物理的なトークンによる1票の差により優勝した。イェクティエル氏はそのトークンをまだ持っていて、チャットの最中に見せてくれた。素晴らしい!

Couchbase

  • The Exchangeは、NoSQLデータベース企業であるCouchbaseのCEO Matt Cain(マット・カイン)氏に話を聞いた。Couchbaseの価格は1株あたり24ドル(約2653円)で、IPO時の価格帯だった20(約2211円)ドルから23ドル(約2542円)を上回った。
  • この記事を書いている時点では、本日の取引で9.2%上昇し、33.20ドル(約3670円)となっている。
  • カイン氏は、かなり厳密な台本に基づいて受け答えをした。これは、失敗して刑務所に入ることを心配している上場したばかりのCEOとしては、ごく普通の状況だ。ということで求めていた詳細な回答は得られていない。しかしそれでも、Couchbaseもリモートでのロードショーが増加することによって、会議の密度を高めることができた企業だったことなどを知ることができた。
  • CEOは、Couchbaseの前にある機会の規模、すなわちオンライントランザクション処理データベースの世界についての議論に集中していた。彼は、世の中にこれ以上大きな市場を見つけるのは難しいと主張し、そのことが投資家たちに、彼の会社が何かを成し遂げられるかもしれないと期待させているのだ。データベースの世界の市場が、カイン氏が考えている位大きいのであれば、スタートアップ企業の活躍の場はたくさんあるだろうというのが私たちの解釈だ。
  • 私たちは、公開市場の投資家たちがオープンソース企業をどのように見ているのかを知りたかったのだが、彼からはあまり話を聞くことができなかった。それでも、この会社のIPOは非常に強力なものであり、OSSで作られていることは、イグジットを目指す会社にとって必ずしも不利ではないことを示唆している。

Enovix

  • The Exchangeは新しい公開企業Enovixの話を聞きたいと思っていた。同社がSPACで上場したばかりだからだ。なぜそれが重要なのか?なぜなら、SPACで上場を目指すバッテリーに特化した企業が他にもあるからだ。そのため、今回のチャットは後に続く仕事への良い地ならしとなった。
  • それに、公開企業と話すのは大好きだ。嫌いなひとがいるだろうか?
  • 「合併して新しいティッカーシンボルで取引を開始した」日は、彼の会社にとってIPOのようなものかとたずねたところ、創業者でCEOのHarrold Rust(ハロルド・ラスト)氏はそうだと答えた。もっともな答だ。
  • 私たちは、同社のSPAC合併日が第2四半期から第3四半期にずれ込んでいることに気づいた。それはなぜだろう?手短にいえば、会計に関するいくつかのSECの変更に起因している。チャットから受けた印象は大したことではなかったのだが、Enovixの合併日を少し遅らせる原因となった。
  • なぜSPACで株式公開を行うのか?現金だけでなく、その合併に関わるスポンサーも、業務知識という点で重要なリソースなのだとラスト氏は述べている。同社は、SPACスポンサーのネットワークからも採用を行っていて、これは注目に値すると感じられた(ほら、実際の投資家による付加価値だ!)。
  • まだ収益を上げていないもうひとつのバッテリー企業SES(SPAC間近)よりも自社の評価額が低い理由を聞かれたラスト氏は、SPAC取引における自社の評価額は交渉によるものであり、もし会社が成功するなら11億ドル(約1216億円)と評価されようが14億ドル(約1548億円)と評価されようが、実質重要ではないと答えた。
  • Enovixの 興味深い点は、 需要の高まるEV(電気自動車)向けの電池技術に着手していないことだ。 その代わりに、ハイエンドの電子機器をターゲットにしている。その理由は?バッテリーをハードウェアに搭載するためのサイクルが早く、価格競争力を持てるからだ。しかし、いずれはEVにも参入したいと考えている。
  • 同社の1株あたりの価値は17.33ドル(約1916円)で、Yahoo Finance(ヤフーファイナンス)の評価では25億ドル(約2764億円)となっている。これは、予想されていたものよりも良い結果であり、SES自身の将来のデビューに向けての良い兆候だ。

盛りだくさんだった。ここまで私に付き合って、ささやかなThe Exchangeニュースレターを読んでいただき感謝している。世界のベンチャーキャピタル市場やエドテックなどに関する長文記事を読みたい方は、こちらからすべての記事がアクセス可能だ

ではまた、お元気で。

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画像クレジット:Nigel Sussman
原文へ
(文: Alex Wilhelm、翻訳:sako)

投稿者:

TechCrunch Japan

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