ロシアのインターネットおよび配車サービス大手のYandex(ヤンデックス)は、Uber(ウーバー)が保有するYandex Self-Driving Group(SDG、セルフドライビンググループ)の株式、およびUberが間接的に保有するYandex.Eats(ヤンデックスイーツ)、Yandex.Lavka(ヤンデックスラブカ)、Yandex.Delivery(ヤンデックスデリバリー)の株式を取得した。買収総額は10億ドル(約1102億円)で、Yandexが4つの事業を完全に所有することになる。
Yandex SDGとは、Yandexが2018年にYandex.Taxi(ヤンデックスタクシー)とUberのロシア事業を統合する形でUberと共同で設立した、配車サービスとフードデリバリーのジョイントベンチャー(JV)であるMLU B.V.から自動運転の技術をスピンアウトした企業だ。その当時、Uberは新会社MLU B.V.に36.6%の出資を行っていた。2020年SDGが分離独立したときには、Uberはその18.2%の株式を保有することになったが。この持ち分が今回Yandexに買われたということになる。またYandexは、Uberが保有していたYandexのフードデリバリーサービス、ラストマイル物流サービス、15分コンビニエンスストア配送サービスの、合わせて33.5%の持分を買い取った。
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2019年当時にYandexとUberは、モルガン・スタンレーが約77億ドル(約8484億円)の価値があると見積もっていたMLUのIPOを検討していると報じられていた。Yandexは、自動運転技術のことを「配車サービス、eコマース、フードテック事業を含むYandexのエコシステムとの相乗効果が高い技術です」と評価している。よってYandexが、その成長可能性のすべてをコントロールしたいと考えるのは自然な話だ。2021年の第2四半期に、EBITDA前5億900万ドル(約560億7000万円)の損失を計上したUberは、有利なエグジットを求め、より身近なところに優先順位を置き直そうとしているのかもしれない。
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Yandexの広報担当者は「今回の買収により、Yandexは自動運転技術に対する戦略的管理能力と柔軟性をさらに高めることができます」とTechCrunchに語っている。「このことは、YandexとYandex SDGの両者にさらなる成長の可能性をもたらし、株主のみなさまに新たな価値をご提供することができるでしょう」。
今回の買収は、MLU B.V.とYandex SDGの合弁会社の大規模な再編の一環であるということが、月曜日(米国時間8月30日)にUberがSECに提出した書類に記載されている。それらは2段階で行われる予定だ。第3四半期末までに完了する予定の第1段階では、Yandexは、新たに再編されて配車サービスやカーシェアリングなどのモビリティ事業に注力する予定のMLUの4.5%の株式を新たに取得することになる。これにより、YandexはMLUの合計71%を所有することになるが、そのうち2.8%は従業員の株式報奨制度のために確保されている。また、Uberが保有していたSDGの株式18.2%も第1段階で売却される予定だ。
そして年内に完了する予定の第2段階には、Yandex.Eats、Yandex.Lavka、Yandex.DeliveryのMLUからの分離と、それに続くこれらの事業に対するUberの持分の取得が含まれている。
Yandexは、Uberが保有するMLUの残りの持分を、合意された範囲内での増額が織り込まれたおよそ18億ドル(約1983億円)程度の、期限2年の米国型(期限内にいつでも行使可)コールオプションとして受けとることも決めている。この数字は、もし2023年に行使されれば20億ドル(約2203億円)にまで増加する。またYandexは、2030年8月まで、ロシアおよびその他の国でUberブランドを独占的に使用する。
Yandexは、ロシアおよびその他の一部の国におけるUberブランドの独占的使用権に関する現行ライセンスを、オプションの行使を前提に2030年8月まで延長する予定なのだ。Yandexの株価は、火曜日(米国時間8月31日)の市場終了時に5.16%上昇した。
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(文:Rebecca Bellan、翻訳:sako)