Instagramのクリエイターサブスクが一般公開間近、App Storeの説明で発覚

2021年5月、Instagram(インスタグラム)は、クリエイターサブスクリプションを検討中であると語り、後に、クリエイターサブスクリプション契約者だけがアクセスできる独占Stories(ストーリーズ)を開発していることが発覚した。そしてこのたび同社は、クリエイターサブスクリプションのテスト範囲を拡大しようとしている。サードパーティーアプリ調査サービス2社によると、最近Instagramは、アプリ内購入オプションを米国向けアプリに追加し、それは「Instagram Subscription」のためだという。

Sensor TowerApptopiaの両社は、いずれもランキング動向、アプリのユーザー定着率、マーケティング情報などを調べてモバイルアプリのエコシステムを追跡している。しかし、それ以外にアプリに見られる微妙な変化にも注目している。たとえばApp Storeの説明文の変更、スクリーンショットの入れ替えなどで、今回はApp Storeの説明にアプリ内購入の記述が加えられた。

こうした変更は、近々やってくる機能を見つけるきっかけになることがある。例えば新たに追加されたアプリ内購入オプションを追跡することで、App Store観察者たちはTwitter(ツイッター)のプレミアムサブスクリプションサービスであるTwitter Blueが公開間近であることを突き止めることができた。同じように、新しい「Instagram Subscription」アプリ内購入オプションは、Instagramのサブスクリプションベースのクリエイタープラットフォームが広く公開されることを示している可能性が高い。

Sensor Towerによると、米国App Storeの一覧に「Instagram Subscription」のアプリ内購入が最初に追加されたのは11月1日で、価格は4.99ドル(約560円)だった。2日後の11月3日には、0.99ドル(約110円)のアプリ内購入が追加された。

同社によると、これまでに利用できたアプリ内購入は、「Instagram Badges」のさまざまなオプションだけだった(お気に入りのクリエイターにライブストリーミング中に投げ銭するためにファンが購入できるバーチャルアイテムで、価格は0.99~4.99ドル)。

App Storeのスクリーンショット

Instagramユーザーの中にも追加機能を見つけた人がいる。たとえば英国のソーシャルメディアコンサルタントであるMatt Navarra(マット・ナバラ)氏とBrian Kofi Hollingsworth(ブライアン・コフィ・ホリングスワース)氏が、それぞれサブスクリプションの記述についてツイートしている。

通常Instagramは、新機能を一般公開する前に少人数のクリエイターとともにテストする。このため、もし近い将来、新しいアプリ内購入が示しているように、米国でInstagram Subscriptionsを公開するつもりだとしても、あなたがフォローしているクリエイターのところで今すぐこのオプションを見つけられるとは限らない。

Instagramは、クリエイター向けツールを拡張して、サブスクリプションやNFT(非代替性トークン)などを導入することでクリエイターにとってより使いやすいプラットフォームにする計画があることを公言している。サブスクリプションが導入されれば、ファンは少額の料金を支払うことによって、お気に入りのクリエイターの限定コンテンツにアクセスできるようになる。

同社はこの夏、開発中のサービス「Exclusive Stories」(イクスクルーシブストーリー:独占ストーリー)の一機能と思われるものを開発しているところを発見された。この機能は有料でサブスクライブしているファンに、一般ユーザーは見ることができないストーリーを提供するもので、スクリーンショットを撮ることもできないが、サブスクライバーは「Highlights」(ハイライト)として表示することができる、と開発中の機能を発見したリバースエンジニアAlessandro Paluzzi(アレサンドロ・パルッチ)氏はいう。同氏はさらに、サブスクライバーは特別なメンバーバッジを与えられ、独占ライブビデオもアクセスできるようになることも、Instagramアプリ内で発見した内部コードに基づいて暴露した

Instagramはサブスクリプションの計画についてまだ全容を説明していないが、Instagramの責任者であるAdam Mosseri(アダム・モセリ)氏は6月のCreater Week(クリエイター・ウイーク)で、一般論として同社の収益化戦略について語った。同氏は3種類のクリエイター向け収益化ツールに言及した。1番目はコマースで、ブランド付きコンテンツ、物販、アフィリエイト・マーケティングなどからなる。2番目が収益分配。3番目が決済サービスで、チップやバッジなどの直接支払いや「ゲート付きコンテンツやサブスクリプション」などだ。

「私はこれらを大いに気に入っています。なぜなら、クリエイターがファンと直接触れ合うことができるからです。これは長期的に持続可能かつ予測可能だろうと私は考えています」とモセリ氏が決済サービスの計画について語った。

クリエイター人材を巡って競争しているのはInstagramだけではない。増え続けているスタートアップやクラウドファンディング・プラットフォーム、そしてTikTok(ティックトック)、Snap(スナップ)、Pinterest(ピンタレスト)、YouTube(ユーチューブ)などのソーシャル分野のライバルたちに加えて、9月にはTwitter(ツイッター)も独自のサブスクリプション・プラットフォーム、Super Follows(スーパー・フォロー)をスタートさせた

新しいアプリ内購入オプションについてInstagramにコメントを求めたが、同社は計画についてこれ以上情報提供することを拒んだ。

画像クレジット:Stockcam / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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