Pyxo(ピクソー)は、フランスのスタートアップ企業で、過去3年間、使い捨てのプラスチック製食品パッケージについて多くのことを考えてきた。同社は、再利用可能な食品用保存容器を簡単かつ低コストで大規模に利用できるようなサービスを提供したいと考えている。
Pyxoのアイデアは、パリのチュイルリー公園で開催された見本市で生まれた。屋台のすぐそばには、ソーダのカップやハンバーガーのクラムシェル容器など、使い捨ての食品パッケージがゴミ箱にあふれていた。
同社はまず、フランスの企業向けケータリングサービス会社であるSodexo(ソデキソ)と協力を開始した。彼らと協力してプラスチックカップを交換し、すべてを再利用できるようにしたのだ。しかし、コロナウイルスの流行やリモートワークへの移行に伴い、Pyxoは他のクライアントを探し始めることとなった。
Foodles(フードレス)やPopchef(ポップシェフ)など、冷蔵庫にお弁当やスナックを詰めて提供するフードテック企業との連携を開始した。
しかし、Pyxoの最大の市場機会は、規制の変更からやってきた。2020年7月、フランスの議会は、いくつかの抜本的な変更を伴う廃棄物対策法を可決したのだ。レストランは2023年1月までに、再利用可能な食品容器に切り替えなくてはいけなくなった。
つまり、ファストフードのレストランチェーンでは、紙やプラスチック製のカップ、使い捨てのクラムシェルボックスなどが使えなくなるということだ。Pyxoはすでに、フランスの無名のファーストフードチェーンと協力して、再利用可能なパッケージへの切り替えを支援している。
同社は、再利用可能な食品容器の市場を作り、業界のあらゆる企業を結びつけている。ファストフード店が容器をまとめて購入すると、すべての容器にQRコードやNFCチップが付いてきて、どこにいても追跡できるようになっている。
レストランは清掃を専門業者に委託することができ、その業者がその日の容器を取りに来たときに、きれいな容器を一括して渡すことができる。これらの委託会社は、容器やカップなど、清掃するものを何でもスキャンしてくれる。
それに加えて、客はテイクアウトの食べ物を注文し、再利用可能な容器に入れて持ち帰ることもできる。その場合、アプリを使って最寄りの回収場所を探すこともできる。必ずしも注文したレストランである必要はないのだ。Pyxoでは、ゲーミフィケーションや少額のデポジット制を導入することで、返却のインセンティブを高めることを考えている。
共同創業者でCEOのBenjamin Peri(ベンジャミン・ペリ)は、「私たちのビジョンは、これがインフラ産業になることです」と話してくれた。Pyxoは、電力網のように機能するネットワークを構築していると考えている。将来的には、レストラン、集積所、清掃センターなどが密集したネットワークが形成されると信じている。
ファーストフードチェーンは、1つの顧客が全国に数多くのレストランを持っているため、この業界の起爆剤になるかもしれない。ファーストフードチェーンは、Pyxoがネットワークオペレーターを務めることで、他のアクターにネットワークへの参加を促すことができる。
現在、Pyxoを積極的に利用しているレストランは数軒しかないため、同社はまだ始まったばかりだ。しかし、このスタートアップは、Eurazeo(ユーラゼオ)、FiveSeasons Ventures(ファイブシーズンズ・ベンチャーズ)などから790万ドル(700万ユーロ/約9億円)の資金調達を行っている。
2023年1月1日には、このスタートアップは、レストラン業界だけで2000の販売拠点と連携することを期待している。Pyxoは、今後もフードテック企業や企業のケータリングサービスとの連携も期待しているが、事業の中での割合は小さくなるだろう。本日の資金調達により、同社は70名の従業員を追加採用する予定だ。
画像クレジット:Pyxo
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(文:Romain Dillet、翻訳:Akihito Mizukoshi)