印タタ・グループが導入準備中の「スーパーアプリ」に問題あり、内部関係者が告白

インドのコングロマリットであるTata Group(タタ・グループ)は、早ければ2022年3月にも「スーパーアプリ」の発表を計画している。これは、同社が確立したサービスや最近買収した消費者向けサービスの多くを、初めて1つの大規模なアプリとして統合することによって、Jio Platforms(ジオ・プラットフォームズ)やAmazon(アマゾン)などの企業に対抗しようというものだ。

Tataは当初、この「TataNeu(タタ・ニュー)」と名付けられたスーパーアプリを、2021年のうちに消費者向けに導入する予定で、数四半期前から同社の従業員を対象にテストを行っていた。2022年4月に開催されるIPLクリケットトーナメントでは、TataNeuのプロモーションのために大規模なマーケティング活動の展開が計画されている。

ただ、1つだけ問題がある。

本件に詳しい2人の関係者とTechCrunchに提供された資料によると、発表が遅れているにもかかわらず、TataNeuは決して現代的に見えるものではないようで、同社の幹部はどうすればこのスーパーアプリに消費者を惹き付けることができるか、いまだに悩んでいるという。

このアプリには、Tata Digital(タタ・デジタル)が2021年過半数の株式を取得したオンライン食料品店のBigBasket(ビッグバスケット)や、小売チェーンのCroma(クロマ)、エンターテインメントサービスのTata Play(タタ・プレイ)、富裕層向けオンライン通販サイトのTataCLiQ(タタクリク)、AirAsia(エアアジア)のフライトチケット、Taj(タージ)ホテルを運営するIHCL、タタ・グループとの合弁事業でインドに進出しているStarbucks(スターバックス)のフード&ビジネスなど、さまざまなサービスが含まれている。

さらにTataNeuは、個人間の送金、ブロードバンド、電気、水道、衛星テレビの料金の支払い、ローンなどの機能も提供する(支払い機能があることは興味深い。Tataは、インドで広く採用されているUPIに対抗できる、同国の新しい決済インフラの構築と活用を支援するためのNUEライセンスに入札している主要企業の1つでもある)。

しかし、このアプリは滑稽なほどバグが多く、恐ろしく遅くて、統合機能はさまざまなTataのサービスをアプリ内のブラウザを介して指し示すだけであり、しかも携帯電話なのに時々デスクトップ表示になることもあるという。

画像クレジット:TechCrunch

Tataが従業員を対象にしてテストしているこのアプリは、消費者向けに提供する予定のものと同じであり、大幅な改善には取り組んでいないと、この件に詳しい人物は語っている。

顧客へのインセンティブに、Tataは「NeuCoin(ニューコイン)」を報酬として提供することを計画している。1NeuCoinは1インドルピー(約1.54円)に相当する。同社は最終的に、BigBasketや1mg、その他のサービスが提供している異なる特典を段階的に廃止し、すべてのサービスでNeuCoinを統一的に使用するつもりだ。

この報酬は、幅広いカテゴリーで展開する自社サービスの「コネクティング・レイヤー」を構築しようとしているTata Groupにとって、大きな焦点の1つだ。これが成功すれば、155年の歴史を持つこの巨大企業グループは、国内最大のロイヤリティプログラムを構築することができる。

「TataNeuは、Tataの複数のブランドを結びつける統合プラットフォームで、これまでにないものです。スーパーアプリとして設計されたTataNeuは、食料品、電子機器、金融ソリューション、航空券、休暇旅行など、あらゆるものを提供します。TataNeuに掲載されている各ブランドは、NeuCoinという共通の特典でつながっています。NeuCoinは、オンラインでも実店舗でもすべてのブランドで獲得でき、同様に使用することができます」と、Tataは述べている。

しかし、Tataの現在の計画によると、顧客はBigBasketやその他のTataのサービスで直接買い物をすればNeuCoinsを蓄積することができ、そのためにTataNeuアプリを使用する必要はない。また、インドで数億人の消費者を相手に事業を行っているTataは、スターバックスをはじめ、所有権や提携関係が限定的な一部のブランドにも、新しいロイヤルティプログラムへの参加を全面的にあるいは部分的に認めさせようとして苦心していると、この件に詳しい人物は語っている。

Tataの消費者向けデジタルサービスには、多くの成果がかかっている。同社は2023年3月期のGMV(流通総額)で100億ドル(約1兆1500億円)を目標にしていると、インドのニュース・分析出版物であるCapTable(キャップ・テーブル)は2022年2月初めに報じた

2年前に同じインドのReliance Industries(リライアンス・インダストリーズ)が、デジタル・小売事業のためにMeta(メタ)やGoogle(グーグル)など多くの著名な投資家から270億ドル(約3兆1000億円)以上の資金を調達したように、Tata Groupもスーパーアプリのために資金調達を行っている。だが、関係者によると、主要な2つの投資家がすでに投資を見送る意向を示しているとのことだ。

Tata Digitalの広報担当者は今のところ、コメントの求めに応じていない。

画像クレジット:Dhiraj Singh / Bloomberg / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

投稿者:

TechCrunch Japan

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