ヒョンデの新型ハイブリッド車に装備されたソーラールーフにはどれほど価値があるか?

Hyundai(ヒョンデ、現代自動車)の新型ハイブリッド車「Sonata(ソナタ)」のルーフには、太陽電池が組み込まれている。1日中太陽に照らしておくと、航続距離が3〜4マイル(約4.8〜6.4km)ほど延びる。しかし、私が所有している電気自動車は、駐車して座っているだけで、航続距離が1日に3〜4マイル以上減る。運転していないときにTesla(テスラ)が何をしているかはわからない。何もしていないのに電力が消費しているところをみると、ひそかにクルマに自意識が芽生え、感情が生まれていて、Elon Musk(イーロン・マスク)への愛を俳句に詠んでいるのではないかとしか思えない。

「ソナタ・ハイブリッドのソーラーパネルは、正確には204Wの容量を持っています。つまり、日当たりの良い場所で太陽に照らされたパネルは200Whの電力を生み出します」と、ヒョンデはウェブサイトに書いている。200Wはゼロではないが、電気自動車の文脈では、200Wはそれほど印象的な数字ではない。50アンペアブレーカーの家庭用急速充電器は9.6kWで充電できる。ソナタの屋根で焼かれる哀れな小さな太陽電池より約50倍も速いのだ。

ヒョンデは「1日5.8時間充電することで、1年間に走行可能な距離が1300km増える」と主張している。計算してみると、1日あたり2.5マイル(約4km)の航続距離がプラスされるだけでラッキーだということがわかる。もしあなたが健常者で、通勤距離が2.5マイル以下なら、歩いた方が環境にも健康にも、そして全体的な交通インフラの平常性にも良いと主張することができそうだ。しかし、1日に2.5マイル以下しか走らない人はたくさんいる。そして、たとえ天候の影響で航続距離が大幅に伸びなかったとしても、駐車していたクルマのバッテリーが、数日間放置した後も同じかあるいは少し増えているなら、それは決して悪いことではないだろう。

平均的なドライバーの年間走行距離が1万マイル(約1万6000km)の世界では、無料で走行可能な距離が1300km増えたら、それは約8%の燃費向上を意味する。どんな世界でも、8%の値引きを提示されたら買ってしまいそうなものだ。ハイパーマイリング(省燃費追求)の本からも引用すれば、それがすべて現実の数字になるのだ。

ソーラールーフの追加費用と複雑さが、長い目で見て本当にお金の節約(あるいは環境の保護)になるかどうかはわからない。しかし、私はここに原則的な問題があると思う。どのクルマにも、トランク、ルーフ、ボンネットなど「役に立つ」ことに使われていない数平方メートル分の不動産がある。もし、それが全体のエネルギー消費量を8〜10%減らすことができるのであれば、バッテリーの蓄電能力を持つすべてのクルマ(EV、ハイブリッド車など)の分を掛け算すれば、すぐにプラスになるだろう。ソーラールーフ機能は、2022年型ヒョンデ・ソナタ・ハイブリッドの最上級仕様である「Limited(リミテッド)」グレードに標準装備されており、その車両価格は3万5500ドル(約430万円)からとなっている。

ヒョンデやその他の企業をグリーンウォッシングと非難することは超簡単だ。そしておそらく、これは車両の寿命を考えると最終的には正味のマイナスとなるギミックであることが判明するだろう。しかし、ここで1つ言いたいことがある。私は排ガス試験で不正を行う「クリーン」なはずのディーゼルよりも、ほとんど何もしない屋根の上に設置されたソーラーパネルで走るクルマの方を運転したいと思う。

画像クレジット:Hyundai under a license.

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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