既報の通りKDDIが、11の事業会社と組んでスマートフォン時代の新しいポータルの創出を目指す。同社は10月16日より「Syn.alliance(シンドットアライアンス)」と銘打った事業者連合体を設立することをあきらかにした。
これまでPCを中心としたインターネットでは、Yahoo!に代表されるポータルサイトが文字通りの玄関口、サービスの入り口になっていた。だがスマートフォンでは各社のサービスはアプリとなり、その連携は取れているとは言えない状況だ。これに対してKDDIでは「Syn.(シンドット)」と呼ぶ構想を唱える。これは、中心となるポータルサイトに依存するのではなく、すべてのサービスがシームレスに繋がる、言わば「入り口のないポータル」による新しいインターネット体験を指すのだという。
その第1弾として、KDDIでは「Syn.menu(シンドットメニュー)」「Syn.ad(シンドットアド)」の展開を開始する。
Syn.menuは、連携するスマートフォン向けサイトとアプリに提供する共通のサイドメニューだ。これによって、各サイト・アプリから別のサイト・アプリへの回遊が可能になる。10月15日時点では、11社13種類のサービスがアライアンスに参加する。各分野とサービス、企業名は以下の通り。なお全サービスで合計4100万ユーザー(重複含む)を抱えているという。KDDIでは今後20種類程度までサービスを拡大し、1年間で1億ユーザーを目指す。
・ビューティ「@cosme」アイスタイル
・ゲーム情報「ゲームギフト」AppBoadCast
・天気「ウェザーニュース」ウェザーニュース
・ニュース「報道ヘッドライン」A3(KDDI)
・カレンダー「ジョルテ」ジョルテ
・音楽「音楽ナタリー」ナターシャ
・コミック「コミックナタリー」ナターシャ
・ノウハウ「nanapi」nanapi
・地図・交通「NAVITIME」ナビタイムジャパン
・ブックマーク「はてなブックマーク」はてな
・ファッション「iQON」VASILY
・ランキング「Qrank」ビットセラー
・タイムセール「LUXA」ルクサ
Syn.menuは、Syn.allianceに参加する各サイト・アプリの更新情報を通知する「Syn.notification」という機能を搭載する。またメニューの上部にはSyn.adと呼ぶ広告が掲載される。Syn.adの収益は、Syn.allianceの参加企業でレベニューシェアされる。Syn.adは、先日KDDIの直接子会社になることが発表されたばかりのスケールアウトによって運営される。
なお今回、KDDIではSyn.allianceのメンバーに対して総額120億円の出資(子会社化含む)を実施したと発表している。すでに発表されているAppBroadCastやルクサ(いずれもKDDI Open Innovation Fundからの出資)やナターシャの子会社化のほか、新たにnanapiやビットセラーへの出資(子会社化)を明らかにしている。またVASILYおよびジョルテが実施する第三者割当増資を引き受けた。VASILYへの出資額や評価額は非公開だが、10億円以上の調達になるという。ビットセラーは今後Syn.menuのプラットフォーム開発を担当する。
なお前述のスケールアウト、ビットセラーの代表には元Facebook Japan副代表でKDDI新規ビジネス推進本部担当部長の森岡康一氏が就任しており、同氏のもとでSyn.構想に関わるサービスが実行されることになる。