プログラミングのブートキャンプ(bootcamp, 短期特訓集会)は珍しくないが、でもヨーロッパよりは圧倒的に合衆国に多い。だから昨年フランスでLe Wagonがスタートしたときは、閉塞感が破られたように爽快だった。それはブートキャンプをヨーロッパで広めることだけが目的ではなく、独自の趣向も持っていた。つまりLe Wagonは、起業家を対象とするプログラミングスクールなのだ。同社独自の高品質な教材により、生徒は2か月でプログラミングを学ぶ。
協同ファウンダでCOOのRomain Paillardは次のように言う: “仲間たちはみんな、こういうタイプの学習/教育の必要性を痛感していた。生徒が、というより、それは今の産業や経済が求めているものだ。Le Wagonを卒業した生徒は、自分のやりたいことができるようになるからね。来年からはうちから毎月、20名のCTOやCEOが生まれるだろう”。
単なるプログラマではなくて有能なCTOやCEOが生まれる、というところにLe Wagonの独自性がある。生徒の中にはビジネススクールや大学の工学部の卒業生もいる。しかしそのような経歴を、実際のコードに生かす方法を知らない。
Le Wagonは、プロダクトのアクセラレータを自称している。ふつうのスタートアップアクセラレータのように経営のことを教えるのではなく、プロダクト、すなわち製品開発のAからZまでを学ぶ。この学校へ入るときは、自分のアイデアを持って入る。それをスクラッチからプログラミングして、MVP(Minimum Viable Product, 最小限の機能だけを持った実用製品)〔日本語記事〕を作る。2か月経って卒業したら、そのプロジェクトをさらに磨いてもよい。
たとえばBouquetは、花束を頼んd配達してもらうアプリだ。Roadstrは、いわばヴィンテージカーのDrivyだ。Kudozは、求人市場のためのTinderだ。これらはどれも、Le Wagonの生徒たちのプロジェクトで、ほかにもいろいろなプロダクトの例がある。
Le Wagonでの2か月の集中学習を経て、StripeやFinexkapのエンジニアになった人たちもいる。学費は5000ドルとお高いが、それを投資と考えるべきだ。事実、次の2校期(4か月)はすでに満席で、申し込みを締めきっている。
でも、Le Wagonみたいな方式の学習/教育サービスは、スケールするのだろうか? Le Wagonは、一年かけて自分たちの教育過程を標準化している。そして独自に開発した 学習プラットホームは、練習問題、教師との面談、グループ学習(互いに他人がやってることを見てそれらから学ぶ)などから成る。このように、すでに教程の形式化・標準化・規格化が為されているので、新しい場所で校期を展開することも、比較的容易だ。実際、来年以降はブラッセルやナンシー、スーストンなどでの開校を予定している(今はパリのみ)。
またLe Wagonは、新しい形の教程をトライしようとしている。Pillardによると、“来年は対象を絞り込んだ短期のセッション…たとえばiOS開発…もやりたい。そういう複数の小さなコースを束ねて、大きなオンラインコースを作ることもできる”、ということだ。
つまりLe Wagonは、TreehouseやCode Schoolなどとも競合する立場になる。すべての教材が、すでに英語化されている。今後はそれを、ブートキャンプで実際に使って、さらに磨いていく予定だ。
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))