7月にフェムト・グロースキャピタルなどを割当先とする合計1億5000万円の第三者割当増資を実施したと発表したプレイド。同社は3月12日、これまでクローズドベータ版として運用を続けてきたウェブ接客プラットフォーム「KARTE(カルテ)」の正式提供を開始した。サイトから申し込めばすぐに利用できる。
KARTEは、サイトに数行のJavaScriptコードを埋め込むことで、訪問者の特徴や行動をリアルタイムに解析しダッシュボード上に可視化してくれる。そしてあらかじめ設定しておけば、ユーザーの属性(会員/非会員、累計の購入金額、コンバージョン率、興味のある商品カテゴリなど)に合わせてクーポンの発行や商品のレコメンドなどができる。同社ではこのリアルタイムな対応を「ウェブ接客」とうたっているわけだ。サービスはECサイトであれば会員IDとの紐付けも可能だ。
今後はメールマーケティングツールの「MailChimp」、チャットツール「LiveChat」、アンケート&フォーム作成ツール「Formstack」など外部サービスとの連携を進める。これらの機能は利用者を限定して段階的に提供していくそうだ。
導入後に「購入率4倍」という事例も
2014年9月から問い合わせのあった企業の一部に対してクローズドベータ版のサービスを提供していたが、3月11日時点で大手ECサイトをはじめ旅行や人材紹介、不動産など50サイト以上に導入(準備中企業含む)、解析したユニークユーザー数は4500万人、訪問数は1億2000万件を突破しているという。「ウェブで接客のアプローチをする場合、『サイトから去ったユーザーの情報をもとに、次の訪問時にどういう対応をするか』というものがほとんど。リアルタイムでユーザーを可視化できるプラットフォームは海外を含めてあまりなかった。その点を評価してもらっている」(プレイド代表取締役社長の倉橋健太氏)
倉橋氏によると、導入サイトの中には新規会員獲得率で108%アップ、購入率(サイト平均で)30%アップといった事例が出てきているそうだ。導入以前と比較して購入率が約4倍になったケースもあるという。
おもしろい事例だと、初めてログインしたユーザーにだけ「登録ありがとうございます」と感謝を伝えるメッセージを画面に表示したサイトがあったらしいのだが、それだけでコンバージョンが数十パーセントも上がったということもあるそうだ。「ウェブはそもそも効率化の延長線上にあるもの。そんな中でECサイトが『お客さん1人1人を見ている』ということを伝えるだけで、ユーザーのモチベーションは大きく変わる」(倉橋氏)
料金は月額5000円に加えて、1接客(接客のアクションを実行した回数)につき1円の従量課金となる。月間10万ユニークユーザー数を超えるサイトに対しては、月額固定料金と従量課金を選択できるエンタープライズ版も提供する。「予測値ではあるが、多くのユーザーは従量課金型プランで利用できると思う」(倉橋氏)。
2015年初には、今年のECのトレンドとしてプレイドのイイヅカアキラ氏が「ウェブ接客」についての寄稿をしてくれているが、KARTE同様ウェブ接客を実現するサービスとしては、B Dash Venturesや元ミクシィ代表取締役社長の朝倉祐介氏らが支援するSocketの「Flipdesk」なども登場しているほか、イギリスVe Interactiveの手がける「VePlatform」も2014年から日本展開を開始している。