創業からのサービスである「検索」でも、日々さまざまな機能を追加してきたGoogle。同社は3月19日、検索機能のアップデートを発表した。今回追加されたのは「質問を理解して、答えを見つける」という機能だ。
これまでの検索というのは——すごく大ざっぱに言えば——検索ワードに対して、関連性の高い順に検索結果を表示するというものだ。Googleではその精度を日々向上させるだけでなく、様々な機能追加を行っている。その実験の数は年間1万件、現在も300件の実験が進行中だそうだ。
ここ1、2年での大きな動きとしては、人名や作品名を検索するとその人やモノに関するさまざまな情報を関連付けして表示する「ナレッジグラフ」、スマートフォンなどに向けた「音声検索」なども導入している。こういった新機能もあって、今では「雪国の作者は?」という検索クエリで川端康成に関する検索結果を表示したり、「かまぼこのカロリー」でかまぼこのカロリー数を表示するといったことができるようにになってきた。
「Googleの由来」で検索すればその回答を最上位に表示
今回新たに追加された機能は、検索クエリが「どういう質問であるか」ということを解析して、その質問の意図を特定。それに対して最適な回答を示したページを最上位に紹介するというもの。PCやスマートデバイス、各種OSやアプリなど、あらゆるデバイス・環境で利用できる。ちなみに英語では、すでに昨年から提供が始まっている機能だそうだ。
例えば「Googleの由来」で検索すると、検索結果の一番上部には、Wikipediaの「Google」のページにある「”Googol“という言葉の綴り間違いに由来する…」というスニペット(抜粋)と、リンクが最上位に表示される。
グーグル製品開発本部長の徳生裕人氏によると、音声検索の導入などもあって、これまで中心だったキーワードによる検索から、文章での検索が増加しているのだそう。そういったニーズに加えて、自然言語やクエリの解釈、ページ内容の理解といった技術の精度が向上した結果、今回の機能追加に至ったとのこと。
デモではスマートフォンの検索結果画面を見たのだけれど、正直ファーストビューが大きく変わっている。なお通常の検索結果自体は、日々のアップデートはあるものの大きなロジック変更はないとのこと。逆に言えば最も回答に近い内容がある1つのページだけが、検索結果に最適化されたページより上位に表示されるということだ。
検索結果から当該サイトに行かない世界になる?
グーグル ソフトウェアエンジニアの大倉務氏も語っていたのだけれど、PCはさておき、スクリーンサイズの小さいスマートフォンで検索をした際、検索結果ページの上位から1つずつアクセスしていくなんていうのは非常に手間がかかる行為だ。だったら「回答」を一番上に表示してくれるのは非常にありがたい話だと思う。
ただちょっと気になるのは「スニペットだけ読んで、当該サイトにアクセスすることなくブラウザを閉じる」なんてことにならないかということ。同日に開かれた会見でも、2つの媒体からそんな質問が出ていた。彼らが指摘するのは「スニペットでの引用が多くて、検索結果ページへトラフィックが行かないのは困るのではないか」ということだ。Googleではスニペットの文字数などは細かい仕様については明らかにしていないが、そういったサイト運営者の視点も意識しつつ「開発を続けていく」(徳生氏)とのことだった。