Microsoftは以前からエンタープライズ・ユーザーに対するハイブリッド・クラウドの提供に力を入れてきた。今週、Microsoftはこの戦略をさらに一歩推し進め、Microsoft Azure Stackを発表した。この新サービスはAzureのクラウド・アプリの導入、運用、管理をあらゆるデータセンターに提供するものだ。データセンターは企業のオンプレミスのものであってもホスティング会社のものであってもよい。
Azure Stackはソフトウェアによるネットワーキング、ダイレクトアタッチストレージの共有、バーチャルマシンの運用とセキュリティー管理、オンプレミス・データセンターのクラウド運用モニタなどMicrosoftのクラウド・テクノロジーを広汎に提供する。IT管理者のための新しいプライベート・クラウドのソリューションだ。デベロッパーにとっても専用アプリを既存のデータセンターで運用するのが容易になるだけでなく、スケールを拡大する必要が生じた場合でも即座に対応が可能になる。
MicrosoftはAzure Stackの上でマイクロサービスを走らせるためにAzure Service Fabricという新しいサービスもリリースした。デベロッパーは新しいAzure Resource Managerを使って、パブリック・クラウドのAzure上でもプライベートなデータセンターのAzure Stack上でも自由にアプリケーションを運用できる。 .
現在のところ、Azure StackがサポートするのはWindowsとLinuxのバーチャルマシンだ。エンタープライズ・ユーザーの大部分がこの両プラットフォームを利用しているとMicrosoftは考えている(ただしコンテナへのシフトも広がっている)。今後Microsoftはさらに広汎なAzureサービスをAzure Stackに導入する計画だ。
このサービスにはAzure Preview Portalが統合されているので、デベロッパーは必要とするサービスを自分でローカルクラウドにプロビジョニニングできる(また必要が生じればそのままパブリッククラウドにも展開できる)。 このサービスにはさまざまなエンタープライズ向け課金機能も含まれる。現在IT部門はクラウドサーバーをプロビジョニングするためにそれを迂回することに決めたグループに対処しなければならない。新しいソリューションによってこうした必要がなくなる。
Microsoftのクラウドプラットフォーム・マーケティングのゼネラル・マネージャー、 Mike Schutzは私の取材に対して「Microsoftはカスタマーのデータセンターをクラウドの拡張と考えている。カスタマーはAzureを自らのプライベートクラウドの拡張と考えることができるようになるだろう」と述べた。
Azure Stackは今年の夏の終わり頃にプレビュー版が公開される予定だ。一般向けに正式リリースされるのはWindows Server 2016と合わせて2016年になる。
またMicrosoftは今日(米国時間5/4)、IT部門がオンプレミス、パブリックの双方でクラウド・アプリケーションを運用することを助けるためのOperations Management Suiteを発表した。これは。アプリケーションがどこで、どんなプラットフォーム(Azure、AWS、Windows Server、Linux、VMWare、OpenStackをサポート)上で作動していてもモニターできるツールで、Azureチーム自身がクラウドを運用する際に得た豊富な経験がフィードバックされているという。
このツール・スイートにはログ解析、セキュリティー、運用オートメーション、アプリケーションとデータの保護の各ツールが含まれる。 将来Microsoftはさらにクラウド・ベースのパッチ、インベントリー、アラート、コンテナ管理などのサービスを加えていく計画だ。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)