デベロッパーがモバイルウェブサイトを嫌う大きな理由は、ネイティブアプリのようなユーザーを呼び戻すためのプッシュ通知がないことだ。それはfacebookにとって深刻な問題だった。山ほどのユーザーがm.facebook.comサイトにやってくるのに、彼らを引き入れることができない。そこで今日(米国時間9/14)Facebookは、Googleと協力して新たなモバイルウェブアラート標準を定め、モバイルウェブサイト m.facebook.comのユーザーが、Chrome経由で通知を受けられるようにしたことを発表した。
Googleが最初にサードパーティー用のChromeプッシュAPIの開発を発表したのは4月で、eBay、Vice News等数社がこの標準の実装を約束した。このたびFacebookが同機能を導入したことで、m.facebook.comを使うChromeユーザーは、Chromeプッシュを有効にするかを尋ねられる。Facebookのブラウザーパートナーシップ担当製品マネージャー、Janathan McKayは今日私に、「プッシュ通知に対応して以来、訪問者が増えている」と語った。
Chrome経由のプッシュは、「Facebookをあまり使わない人々をサイトに呼び戻すのに最適なツールだ」とMcKayは説明する。「最良のコンテンツをプッシュすることによって、彼らは自らサービスをアクセスしなくてもよくなる」。これは友達が結婚したり、その人が写真にタグ付けされた時、サイトを訪れるよう通知するという意味だ。こうしたプッシュアラートがないと、モバイルウェブユーザーはFacebookで何か急な呼び出しがあっても気付く術がない。
通信費を気にしないソーシャルネットワーク中毒者は、高性能なネイティブFacebookアプリの方を好むだろうが、途上国市場ではモバイルサイトの人気が非常に高い。表示に無駄がなくデータをあまり消費せずに済みアプリのアップデートも必要ない。
Googleは、自社のモバイルウェブプッシュ通知標準を他のブラウザー提供元も採用することを願っている。「今やわれわれとOperaが安定して提供しており、11月にはFirefox 42にも塔載される」とGoogleでこの機能を担当するアソシエート製品マネージャーOwen Campbell-Mooreは言う。中国企業UC WebのUC Browserもこの機能をサポートして途上国市場への進出をはかっている。
一つの課題は通知の重複だ。Facebook、Facebook Lite、Operaその他のプッシュ方法にモバイルサイトが加わることによって、ユーザーは既に見たプッシュに再び曝されかねない。Facebookの統合担当ソフトウェアエンジニア、Nate Schlossはこの煩わしさを懸念している。McKayはこれをテスト中「Nateと私は誰かが何かをするたびに9回通知を受けた。あれはまるで耳鳴りのようだった」と笑いながら話した。
各社はユーザーの好むインターフェースを知り、それだけをプッシュしてアラートの重複を避ける方法を検討している。うまくいけば、プッシュ通知はモバイルウェブがネイティブアプリに対抗するための後押しになるかもしれない。今後はモバイルブラウザーの簡便さで、ネイティブアプリのように再来の機会を得られるようになるかもしれない。
両社が協力することによって、Facebookは体験の改善を手助けされ、GoogleはFacebookの膨大な規模でのみ発生するバグや問題点を知ることができる。それは、今日この種の発表を聞きにシリコンバレー全体からプログラマーが集結した、Facebook @Scaleエンジニアリング会議の大きなテーマの一つだった。ITの巨人たちは競い合うばかりではない。
[原文へ]
(翻訳:Nob Takahashi / facebook)