今日(米国時間10/21)、Googleは月額9.99ドルで広告なしのオンデマンド有料サービスをYouTubeに導入することを発表した。新サービスは今月28日にまずアメリカで開始され、すぐに世界中に拡大される。iOS版も利用できるが、ユーザーはアプリ内課金にかかる税金をAppleに支払う必要があり、12.99ドルとなる。
新サービスは現行のサブスクリプション契約のGoogle Musicを置き換えるものとなり、音楽をオンデマンドで聞くだけでなく、YouTubeのコンテンツが広告なしで見放題、聞き放題になる。YouTube Redに新たなアプリは必要なく、現在のGoogleアカウントにYouTube Redのサブスクリプション契約が追加されるだけだ。
YouTube Redの売上はGoogleとコンテンツ権利者との間で配分される。YouTubeはRedに関してほとんどすべてのメジャー・レコード、インディー・レーベル、テレビ放送ネットワーク、映画スタジオとの間で契約を結ぶことに成功している。今日のプレスイベントでYouTubeの幹部は「われわれは売上の圧倒的大部分を権利者に支払うことになる」と言明した。
しかし一部のクリエーターにはRedに対する不満が残るようだ。たとえば、現在YouTubeのパートナーであっても、今後Redの契約に署名しないクリエーターはすべてのビデオがYouTubeから削除される。これはかなり厳しい措置だ。
また今日、YouTubeは音楽専用のYouTube Musicアプリを披露した。これは YouTube Redの一環で音楽を聞いたり、音楽ビデオを見たりするのに特化したアプリだ。近く一般公開されるが、ボタンを押すだけで広告抜きでさまざまな音楽が楽しめる。Googleによると、ユーザーはこの音楽アプリで膨大なYouTubeのカタログを利用し、「カスタマイズされた音楽の旅路をたどることができる」という。話のようすでは現行のPandoraの音楽ビデオ版のようだ。
オリジナル・コンテンツ、オフライン利用、バックグラウンド再生
実はYouTube RedないしGoogle Playのどちらか一方について月額9.99ドルのプランに加入すると、ユーザーは自動的にもう一方のサービスにも加入したことになる。この点には注意が必要だ。
来年からYouTube Redには独自のGoogleオリジナルの映画や番組が提供される。 YouTubeではPewDiePieや The Fine Brothersのような人気クリエーターの分を含め、社内で企画、製作されたプレミアム・ビデオを公開していくとしている。.
YouTube Redに加入すると、ビデオをローカルに保存してオフライン再生用のプレイリストを作ることができる。 いわばYouTubeが膨大なコンテンツを持つ個人用ミックステープ作成機になる。YouTube Redではバックグラウンド再生もサポートしているので、YouTubeアプリを閉じ、電話をかけたり他の作業をしたりしながら音楽を楽しめるわけだ。
これまでのGoogleの有料プランは細分化されており、どういうコンテンツにアクセスできるのかわかりにくかった。その点YouTube Redは大いに理にかなったサービスだ。Googleでは有料版YouTubeのテスト・データから「ユーザーはどれが音楽ビデオでどれがそうでないか、したがってどれが広告抜きで視聴できるのか、いちいち指図されることを好まない」ことを学んだという。
月額9.99で広告抜きのビデオが見放題になれということなら、SpotifyとApple Musicへの影響は大きいだろう。他のサービスでは音楽を聞くことはできてもビデオは再生できない。わずらわしいプレロール広告抜きでYouTubeのビデオが見られるならうれしいことだ。Apple
MusicとSpotifyもビデオのサポートを予定より早めなければならないだろう。ともあれビデオの世界でYouTubeは10年以上にわたって絶対的な存在だったことは大きい。コンテンツ・ビジネスの将来はあらゆるコンテンツをひとまとめにしたサブスクリプション・モデルになるのだろうか。そうであればYouTubeRedはライバルを震え上がらせる存在になるかもしれない。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)