AWSがイタリアのNICEを買収してハイパフォーマンスコンピューティング部門を強化

aws_logo_2

AWSは、これまで続けてきたハイパフォーマンスコンピューティング部門を強化していく過程の一環として、今日(米国時間2/12)は、イタリアのソフトウェアおよびサービス企業NICEを買収した。買収の価額等は、公表されていない。

NICEには、AWSが欲しがるような一連のツールと技術がある。またその顧客展開も国際的だ。したがってAWSとしては、ハイエンドなコンピューティングサービスを求める顧客の集合を獲得できるメリットもある。

買収を発表するブログ記事でAWSのJeff Barrがこう書いている: “これらのプロダクトにより顧客は、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)と視覚化のワークロードを最適化および中央集権化でき、また、モバイルデバイスを利用する分散ワークフォースに合った絶好のツールを利用できる”。

NICEが保有する技術の中でも、とくにDesktop Cloud Visualization(DCV)と呼ばれる便利なツールは、2Dや3Dのアプリケーションへのリモートアクセスを提供し、エンジニアやゲームデザイナーなどが自分のデザインとハイエンドのハードウェアにアクセスして、それらをクラウドから提供できるようにしていく。その際、重要なのはあくまでもクラウドからの提供物なので、自分が使っているデスクトップやラップトップの性能は問われない。

またNICE EnginFrameと呼ばれる技術は、AWSにとってとくに魅力的かもしれない。顧客はこれを標準のブラウザーから使って、HPCのクラスタのようなハイエンドコンピューティング環境やデータ、ライセンス、バッチ、対話的アプリケーションなど、クラウド上のリソースを利用できる。

Constellation ResearchのファウンダーR Ray Wangは、今回AWSは良い買い物をした、と見ている。

Wangは曰く、“NICEの買収はAmazonに相当量の知財を与える。また、良質なクライアントとヨーロッパや中近東、アフリカ(EMEA地区)における良質なプレゼンスも与える。これらの知財はパフォーマンスの向上を助け、一部の新しい機能はAmazonの全体的なプラットホームに便益を与える”。

彼によると、ここで言う知財にはパフォーマンス向上のためのアルゴリズムも含まれる。

なおAWSはヨーロッパではすでにかなり前から、大きなプレゼンスを有しており、NICEのあるイタリアも含め、EU各国に事業所(オフィス)を展開している。

しかしこの買収はAmazonに、より強力なコンピューティング能力を求めるクライアント集合へのアクセスを与える。昨年Amazonは、ハイパフォーマンスコンピューティングの環境をクラウドに求める企業のために、C4インスタンスをローンチしたばかりだ。そのとき本誌のFrederic Lardinoisはこう書いている:

Amazonによると、この新しいインスタンスはCPUの性能がきわめて重視されるアプリケーション向けに設計されている。それらはたとえば、“トラフィックの多いフロントエンド集合、MMOゲーム、メディア処理、コード変換、HPC(High-Performance Computing)アプリケーションなど”、だ。

当面AWSは、NICEのブランドと顧客とチームの現状を維持し、今後徐々にAWSの機能を高めるためのソリューションを実装していく予定だ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。