Facebookのエンタープライズ版、Facebook at Workのユーザー企業はセキュリティーを強化した独自の社内ソーシャル・ネットワークを構築することができる。まだ非公開ベータ版の実験中だが、待機リストに載っている利用申し込み企業は6万社にも上るという。カスタム・アプリ開発のプラットフォーム機能を追加したうえで今年末までに世界に公開される予定だ。
昨日(米国時間3/2)、Facebookは最新の大口顧客を発表した。世界13ヵ国で活動しカバーし、ユーザー数2億300万というノルウェーを本拠とするキャリヤ、Telenorの3万6000人の全社員が3月2日からFacebook at Workを利用し始める。
TelenorグループのCEO、Sigve Brekkeはわれわれの取材に対し、「Telenarはこのプロダクト最初期からのパートナーであり、Facebookと密接な協力の一環として大規模なテストに参加してきた。われわれは〔At Workの導入で〕社員が働く環境をまったく新しくしたいと考えている」と語った。一新されるのは、社員に対して送るCEOのメッセージの発表の仕方ばかりではないく、これまで各部門ごとに閉じられていたコミュニケーションを全社的に風通しよくすることも含まれる。
またBrekkeは「多くの社員がすでにメンバーとして日常利用しており、十分に慣れ親しんでいるという点からもFacebookはわれわれにとってもっとも自然な選択だった」と語った。Telenorの社員はデスクトップでも(また通信キャリヤという業務を考えればその方がいっそうありそうだが)モバイル・デバイスからも自由にFacebook at Workにアクセスできる。
Telenorはバングラデシュ、インド、パキスタン、ミャンマーなどの途上国のキャリヤも所有している他、 Telenorが大株主である総合通信グループのVimplecomを通じて他の14ヵ国でも活動している。先週MWCで発表されたInfraの開発に重要な役割を果たすなどFaceookとは長年にわって提携してきた。
Facebook at Workはこれまでも定期的に新規ユーザーの加入を報じてきたが、いくつかの理由でTelenorの参加の意義は非常に大きい。
Telenorはまず第一に世界的な有力キャリヤであり、Facebook at Workの国際展開の責任者、Julien Codorniouによれば、これまでAt Workに参加した中で最大の企業だ。実はスコットランドの銀行、社員10万人を有するRoyal Bank of ScotlandもAt Workに加入を発表しているが、全社員向けに運用が開始されるのは年末になる。同銀行は現在3万人の社員について独自の社内ネットワークへの参加のための作業を行っている。
企業向けAt Workの規模拡大がビジネスの将来にとって重要なのはもちろんだが、キャリヤをメンバーに加えることの利点の一つは〔キャリヤ側で十分なテクノロジーを持っているため〕Facebook自身がエンジニアを増員しなくてすむことだ。Codorniouによれば、At Workビジネスの拡大にあたってエンジニアの数がFacebook側で最大のボトルネックとなっているという。この点に関連してFacebookは先月Boxで長年副社長を務めたMonica Adractasを北米セールス部門のトップに引きぬいている。【略】
Quip、Box等と協力して新プラットフォームを開発
Codorniouによれば、At Workは年末までベータ版から実用版にグレードアップされ、その後多数の新機能が追加される予定だという。At
Workは現在無料だが、将来は企業に利用料金を課する機能も追加されるらしい。有料化を正当化するためにも新機能のリリースは重要だろう。
Facebook at Workは本体の機能をできるかぎり忠実に企業内利用に適合させようとしている。重要な例が今年リリースされたWork Chatアプリで、これはMessengerのAt Work版といってよい。また「いいね!」ボタンの内容の拡大も先週の世界への公開と同時にAt Workでサポートされた。
Codorniouによれば、将来、企業は追加料金を支払うことによって他の社内システムとAt Workの統合運用が可能になるという。この場合、料金の計算は利用人員、利用月単位となるという。
またFacebookはQuip(クラウド・ベースのワープロ。Facebookの元CTOが創立。世界のFBネットワークを利用)や、Dropbox、Box,とも協力が進んでいる。またFacebookはMicrosoftのOffice 365もなんらかの形で取り入れたいと考えているということだ。Codorniouが示唆したようなMicrosoftとの提携が実現すればFacebookにきわめて大きなインパクトをもたらすことになりそうだ。
[原文へ]
(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)