この生きている「昆虫とコンピュータのハイブリッド」は、速度や歩幅を調節可能

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「自然界の既製ロボットプラットフォーム」。シンガポールのナンヤン工科大学の研究者らは最新の論文で、昆虫をそう説明する ― それは、人間が到達した「神の領域」を表わす理想的な省略表現だ。たとえそれに興味をひかれても、嫌悪感をもようしても。もちろんこれは、創造を支配する人間の力を誇示するだけではなく、昆虫学、神経科学から人工装具工学にいたる様々な分野にとって極めて重要な研究だ。

Journal of the Royal Society Interfaceで3月30日に発表されたその論文には、昆虫の神経系を制御するシステムについて記載されており、それはロボゴキブリの類のはるか上を行く、より学術的な取り組みだ。

「筆者らの知る限り、この論文は生きている昆虫の運動を制御して、歩き方、歩幅、歩く速さをユーザーが調節できる最初の実践報告である」と要約に書かれている。

これまでにも、ゴキブリやクモに運動を促したり、進行方向を操作する実験は行われていたが、高いレベルの制御方法を使用して、前方に歩く抑え難い衝動を誘発するものであり、足が自発的に動くように誘導する「博士の異常な愛常」スタイルではなかった。この最新研究は、ある程度限定された形ながら、後者の演示に成功した。

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The remote-controlled beetle takes a (carefully measured) step.

昆虫は、Mecynorhina torquataと呼ばれるハナムグリの一種で、その巨大な胴体はリード線の接続に有利だ(ショウジョウバエで試してみるといい)。チームはまず様々なタイプの動きに関わる筋肉と張力パターンを詳しく観察した。方法は、モーションキャプチャー技術および古き良き解剖による。次に、それらの筋肉に配線し、近くの(虫の上ではない)マイクロコンピュータで発生したパルス幅変調信号で刺激を与える。

この実験では前方の2肢のみに配線しているため、移動の種類は制限されているが、研究者らは、6脚類が実際に2足歩行する場合もあることを指摘している。

足の筋肉をプリセットされたリズムで刺激するプロセスは大きな成功を収め、実験結果は、昆虫の行動および解剖学分野の既知知識を発展させると共に、この技法が「昆虫・コンピュータのハイブリッドロボット」を創造する可能性を示した。

このようなキメラは、人工的に作られた同様のロボットと比べて、数々の利点を持ち、研究者らは楽しそうに列挙している ― 3Dプリントではなく昆虫の足を利用した研究や、動物自身からエネルギーの供給を受けるインプラントのハイブリッド化の研究のために予算申請書を書くペンの音が聞こえてきそうだ。

たしかに薄気味悪い。しかし、同時に非常に興味深く、もう少しの努力で十分実用になる。ゴキブリに指向性マイクロフォンと追跡ユニットを装着して災害地を走り回れるようにして、閉じ込められた人間の声に向かうよう強制する研究が既に行われている。トンボに100ドルのサイバーバックパックを付けて神経系を制御できるなら、1万ドルのドローンを配備する必要はない。

そのような可能性は十分な予算を持つDARPAのような機関にとって実に魅力的であり、彼らがこの種の方法を探究するための予算を申請していることはほぼ間違いない。

ちなみに、Feng Cao、Chao Zhang、Hao Yu Choo、Hirotaka Satoらによるこの論文は、技術的知識を持たない人にも非常にわかりやすく書かれている ― 是非読んでみて、驚きを味わってほしい。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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