言いたいことを、言いたいように言おう。Snapchatが本日ローンチした、数多くの新しい機能を備える「Chat2.0」について、CEOのEvan Spiegelはこのように表現した。Chat2.0では、ユーザーがコンテンツを「見せたい」のか、それとも「話したい」のか、そしてそれに音を発してほしいのか、そうでないのかによってコンテンツ自体がいろいろな姿に形を変える。WhatsAppがシンプルさにこだわり、Facebook Messengerがコマース分野に注力する一方で、Snapchatはみずからを、最も生き生きとした人間味のあるチャットアプリとして位置づける。
今日、基本的にはSnapchatはすべての機能をアップグレードしたようなものだ。そしてそれらの機能に関する説明は、このQR Snapcodeをスキャンすると再生される特別なDiscoverチャンネルのビデオで観ることができる。だが、それぞれの機能について詳しくみる前に、それらの機能を簡単に説明したこのリストを見てほしい。
- Snapchatの「ストーリー」は自動で進むようになった。だから友達のストーリーを鑑賞しおわったり、左にスワイプしたりしたときには、リストにある次のストーリーが自動で再生される。ユーザーは椅子にもたれながらストーリーを鑑賞し続けられる。これにより視聴回数を大幅に増やすことができ、ユーザーにポストすることを促すことができるだろう。
- 200以上のスタンプがプライベートチャットで利用可能になった。「愛してる」や「お腹すいた」という文字を入力してスタンプボタンを押せば、文字に対応したスタンプが一覧で表示される。(これで、SnapchatがBitstripsを1億ドルで買収したことが意味をなした。BitmojiはまだSnapchatでは利用できないが)
- Video Notesでは、サムネイルサイズのGIFのような最大10秒間のループ映像を送ることができるので、あなた自身の顔で会話内容に対してリアクションすることができる。受信者はそれをタップすることで、音声を再生することも可能だ。
- Audio NotesはVideo Notesに似た機能で、短い音声を送信することが出来る。何か声に出して伝えたいことがある時や、移動中で文字の入力ができない時などに使える。
- 受信者があなたとチャットを開始していなくても、ビデオ通話や音声通話をかけられるようになった。Snapchatが電話により近づいたのだ。
- チャット上で一度に複数の写真を送れるようになり、Snapchatのツールで画像を編集することも可能になった。写真に文字を入れたり、絵を描いたりすることができる。
- ビデオ通話や音声通話中、カメラロールの写真を送ることができるようになった。送信された写真はウインドウ上に半透明で表示されるので、相手に何かを見せたいときに使える機能だ。
- Chat2.0では、ユーザーは通話の途中でビデオ通話から音声通話に切り替えたり、Video notes、Audio notes、スタンプ、テキストなどの機能に切り替えたりすることが可能になった。環境や意図が変われば、それに応じてユーザーは送受信を始めたり、消したりできる。相手の話を聞くだけということも、見るだけということもできる。
- 新しいPrivacy Centerサイトでは、Live storiesに投稿されたスナップを一時的に保存する以外は全て削除していることを明確にしている。だが、プライバシーポリシーについては変更をしていない。
ここで紹介したアップデートは、今日からすべてのiOSユーザーとAndroidユーザーに配信される。これらの機能のビデオデモと、「なぜSnapchatを打ち負かすことが難しいのか」という理由について私が熱弁している様子は下のビデオで見ることができる。
一つのインターフェイスで、人間が持つすべてのコミュニケーションを
「私たちが最初にChatをローンチした時の目標は、face-to-faceの会話の良いところを再現するということでした」とSnapchatは説明する。「Snapchatにいる楽しさこそが、Chat1.0のすべてでした。他の多くのアプリでは、友達がタイピング中であることを教えるだけでしたが、Chatでは友達があなたの声に耳を傾けていることを知らせます」。そして今Snapchatは、リアルな会話に次いで最も活気に満ちた会話の手段になりつつある。
Snapchatは、どうすれば人間が持つすべてのコミュニケーションを、ビデオや音声、テキスト、スタンプ、お絵かきなどを駆使した1つのインターフェイスの中に集約できるのか考え、そして実現した。会話を始める前にコミュニケーションの手段を決めるのではなく、会話の最中にそれ自体が進化していくのだ。
比較してみると、ほかのチャットアプリが柔軟性に欠けたつまらないものに見える。まるで、コミュニケーションがバケツに閉じ込められ、他から隔離されているように思えてしまうのだ。自然で表現豊かなスタイルは、これまで常にSnapchatが持つアドバーンテージであり続けてきた。しかし今となっては他社のアプリがどれだけ時代に遅れた、モバイル用の「AOL Instant Messengers」のような存在なのかは痛いほど明らかだ。
Webを使った会話では、ユーザーのシチュエーションが会話の開始から終了まで変わることはない。歩き回ったり、邪魔をされたり、こそこそと会話したりすることはないだろう。SnapchatのChat2.0は、より現実世界に適応されたものだ。
移動中にもテキストができるし、シームレスに音声通話からNote機能に切り替えることができる。ビデオ通話中にトイレに駆け込むこともあるだろう。そんな時には、あなたはビデオを切って音声通話に切り替えながらも、パートナーの映像はそのままで会話を楽しむことができる。音声通話の最中でも、最近訪れた旅行先の写真を同時に楽しむことができる。もしその画像を見て、パートナーがVideo Noteやビデオ通話でリアクションをしたくなったら?もちろんそれも可能だ。
この柔軟性は中毒になる。
SnapPhone
パートナーとチャットをしていない時にでも、通話ができるようになった。これは一見するとマイナーチェンジのようにみえるが、もっとも重要な変更点の1つだ。Snapchatは今では電話の役割も果たすのである。いつでも誰かとビデオ通話や音声通話をすることが可能になった。しかもSnapchatは賢くて、もしパートナーが電話を取らなければ「不在です」と教えてくれるし、パートナーが意図的に電話をキャンセルすれば「取り込み中です」と教えてくれる。
これによりSnapchatは単なるメッセージング・アプリではなく、あなたのデバイスが提供するどんなアプリよりも機能が豊富に揃ったコミュニケーション手段となった。たしかにSnapchatは機能が増えてより複雑になった。だが、これらの機能が既存のインターフェイスの中にきっちりと編み込まれていることと、これらの機能はオプションだということを踏まえれば、このアップデートは困惑しがちなお年寄りにとってもそこまで迷惑なものではないだろう。
今回のアップデートにはマネタイズに直接関係するものはない。だが、右にスワイプする人が増えれば、Snapchatカメラの反対側には何があるのか気になる人も増えるだろう。それには広告がぎっしりと詰まったLive StoriesやDiscoverチャンネルも含まれる。
今のところ、Snapchatはソーシャルメディアにおけるシェアリングとコミュニケーションの基盤のような存在になりつつある。Snapchatは小さなインターフェイスを駆使しながら、フルスクリーンでさまざまなことをやってのける。FacebookやTwitterには空白のスペースやつまらないテキストがいっぱいだ。Instagramでさえも、コンテンツは画面の半分を埋めるだけだ。しかもそこでの他のユーザーとの交流は、写真を加工するのと同じくらい非社会的なものだろう。
Snapchatは、友達の生活を覗くことができる窓に限りなく近い存在だ。競合アプリがその根底をくつがえし、それ以上に進歩的な機能を提供してSnapchatのユーザーを奪い取るのはかなり難しいことだろう。
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