Twitterは、ユーザーがツイート時にいるお店や場所をタグ付けできるよう、1年前にFoursquareとの機能統合についての発表を行い位置情報サービスの強化を行った。当時はアメリカでのみこのサービスを提供していたものの、Twitterは現在サービス拡大を行っており、興味深いことにそのパートナーとしてFoursquareにとっての強力なライバルの1社であるYelpを選んだのだ。
本日(米国時間4月22日)、Yelpはイギリスと日本におけるTwitterとの機能統合について発表した。これによりTwitterのユーザーは、ツイート内に位置情報をタグ付けると、そこにYelpの場所情報を追加できるオプションが利用できるようになる。そして、読む側のユーザーが位置情報をクリックすると、別途カードが表示され住所やYelpのレーティングといった詳細情報を確認でき、更にはその先のリンクをクリックすることでYelpアプリ上の情報を見ることができる。
本サービスは、今日からiOSとAndroidの両OSで公開されており、ウェブ上のTwitterでも近日中に利用できるようになるとYelpは語る。
今回のイギリスと日本における機能統合は、本サービス初の導入国となったドイツでの発表をYelpが密かに行ってから約1ヶ月後のことであった。Yelpによると、今後は数ヶ月内にフランスでも同様のサービスが発表される予定だ。
そもそもなぜこの3カ国が最初のターゲットになったのだろうか?まずアメリカについては、TwitterがFoursquareと提携を行っていることから視野に入らない 。我々は、今後アメリカでもYelpとの提携が行われるのかを含め、Twitterと連絡をとっていくつかの質問を投げかけたので、こちらについては回答を受け取り次第アップデートしたい。
イギリス・ドイツ・日本の3カ国は、YelpとTwitterのサービスが普及している(恐らくYelpはこれらの国々では、Foursqaureに勝っている)ため、新機能をユーザーに使ってもらうために良いスタートが切れる地域だろう。
Yelpの営業企画部上級副社長であるChad Richard氏は、「ドイツのユーザーの方々には、徐々にYelpのサービスを気に入り初めて頂けており、こちらからも恩返しをする頃かなと考えていました。言うまでもなく、ハンブルグにはYelpの最高の営業、開発、プロダクトチームがいますしね!(思い返せば、2014年にYelpはハンブルグを拠点としたRestaurant-Kritikを買収している)」
YelpとTwitterの提携は、以下の点で興味深い。まずTwitterは、今後ユーザーとの交流時間を増やすことができる。ツイート内に掲載されている場所についての詳細情報が手に入るとわかれば、ユーザーがツイート内容をクリックする気になる可能性があるということだ。
また本サービスはTwitterにとって、自社プラットフォームの機能拡大と同じ意味を持つ。現在のサービスでは、単純な位置情報のみが表示されるため、ツイート時に位置情報を追加したり、他ユーザーの位置情報をチェックする意味があまりない。しかし、ツイートに便利な場所情報等が追加されることで、ユーザーの行動を変えることができるかもしれない。
FacebookはInstagramを買収後、サービス内の位置情報をFoursquareのものから自社のチェックインサービスに変更した際、大きな非難を受けた。しかし、その後数年間のうちに、Facebookは密かに自社のものを含む複数のアプリに埋め込まれたチェックインサービスから入手情報を利用して、未だに成長を続ける強大な位置情報データベースをつくり上げた。
そして収集されたデータは、Facebookの広告サービスや、Messenger上のビジネス向けボットサービス等の新サービスで利用される事で、その真価を発揮しだした。オーガニックなマーケティングを目的としてこれらの新サービスを利用する企業は、実際にチェックインサービスを顧客層が利用していることがハッキリわかるため、心配なくFacebookが提供するサービスを利用したり、マーケットプラットフォームとして投資を行うことができる。ユーザー間の交流と位置情報の組み合わせは、ビジネスや利益を生み出す上で強力な武器となりえ、Twitterも他社からその戦略を学ぼうとしている。