プライバシー秘匿サービスTorのユーザーには現在、デフォルトではDuckDuckGoの検索結果が提供されている。
“検索エンジンの状況”と題するメモによると、プライバシーを守るためにTorを使っているユーザーは現在、DuckDuckGoの検索結果をデフォルトでは提供されている。同社が検索プロバイダーとしてはプライバシーツールDisconnectを今でも使っていることは確認したが、しかし同社はそれに対し、DDGの結果に切り替えるよう求めている。Disconnectには、Googleの検索結果にアクセスしている、という問題があるからだ。
Torはこう書いている:
このところDisconnectは、これまでTor Browserのユーザーも利用してきたGoogleの検索結果にもはやアクセスしていない。しかしDisconnectはいわばメタ検索エンジンなので、ユーザー自身が検索プロバイダーを選ぶことができるため、Bingの検索結果を利用するユーザーもいるが、検索の質の点でそのことは許容できない。Disconnect自身も状況を修復すべく努力しているが、われわれとしては彼らに、検索結果としてDuckDuckGoを使う方がBingを使うよりも断然良い、と要求した。
今でもTorユーザーがDisconnect経由でBingやYahooの検索を使うことは可能だ。しかしGoogleは現在、オプションに含まれていない。(Torのユーザーが直接Googleを使うことはできるが、その場合は、Google経由で行われているありとあらゆる、検索を介するユーザー追跡を認めることになってしまう)。
DisconnectがTorのデフォルトの検索プロバイダになったのは2015年の5月だ。検索が同社のサーバーを介することになるので、ユーザーのIPアドレスは露呈しない。それは、プライベートなWeb閲覧をミッションとするTorにとって、うってつけの機能だ。
DisconnectのファウンダーはGoogleの出身者たちだが、Googleとあまり仲が良くない。GoogleはDisconnect製の、ユーザー追跡を遮断するもモバイルアプリを、2014年にAndroid Play Storeから削除した。そして昨年の6月に、DisconnectはEUでGoogleを、同社のアプリの締め出しは独禁法違反だ、として訴訟した。
この状況について今、DisconnectとGoogleとTorに問い合わせているので、返事が得られ次第この記事をアップデートしたい。
今月(2016/5月)の初めに、プライベートな検索エンジンDuckDuckGoはTorに25000ドルを寄付した。合衆国政府への依存から解放されたいTorはこのところ、資金源の多様化に努力している。今年の初めには、クラウドファンディングで20万ドルあまりを獲得した。
昨日(米国時間5/30)Torは、その匿名ブラウザーセットのv6.0をリリースした。それは6.0として最初の安定バージョンであり、そのバグフィクスや、プライバシーとセキュリティの強化が、ドキュメンテーションに詳しく書かれている。