Googleは今年、人気の高いマイコンボードRaspberry Piを使っているメイカーたちのプロジェクトをパワーアップするために、開発ツールの充実を進める。それらは、顔認識、情動認識、音声のテキスト変換、自然言語処理、感情分析、予測分析などのソフトウェアツールだ。
今Googleは、Piメイカーへのアンケート調査で、彼らが欲しいと思っているツールを探っている。そのアンケートは、Raspberry Pi FoundationのWebサイトで見られる。
“Googleの関心は、メイカーたちのためのスマートツールを作ることであり、そのためには、みなさんの要望をお聞きする必要がある”、とアンケートは述べている。
アンケートの回答者は、まず関心分野を選ぶ: ホームオートメーション、ドローン、IoT、ロボット、3Dプリント、ウェアラブル、そして機械学習。Googleの対象が相当広いことが、これらからも分かる。
Piの協同ファウンダー、Eben Uptonはこう語る: “大きな機会がありそうなのは、ディープラーニングとAIだ。Googleはこの分野でとても強い、とくにDeepMindを買収してからはね。現実世界のさまざまな仕事をするRaspberry Piを、それらのサービスに結びつけると、もちろんいろんなメリットがあるだろう。ユーザーが何を志向しているのか、アンケート調査の結果を早く見たいね”。
イギリスの非営利団体であるPi Foundationは、この安価なマイコンキットで大成功し、昨年9月には1000万台を突破した。4年半前に最初にリリースしたときには、全部で数千台も売れれば十分、と彼は予測していた。
今ではPiメイカーたちのための開発ツールも豊富にあり、たとえば顔認識のプロジェクトなら、OpenCVのコンピュータービジョンライブラリを使える。
しかしGoogleが提供するのは、いろんなAIツールのセットであり、ユーザーもいろんなタイプのプロジェクトに容易に取り組める。たとえば機械学習のためのオープンソースのライブラリTensorFlowも、元々はGoogleで作られたツールだ。
Googleは前からPiに関心を持ち、2013年には100万ドル相当ぶんのこのマイコンをイギリスの15000名の学童にプレゼントした。多くの若者がプログラミングできるようになることは、Pi Foundationの中核的ミッションであると同時に、Googleにとっても重要なことだからだ。
またGoogleは以前、PiをベーシックなWebサーバーにするためのオープンソースツールを開発した。そしてGoogleのIoTプラットホームAndroid Thingsは、最新最強のPi、Pi 3をサポートしている。
AndroidのPi用公式バージョンはまだないけど、AndroidをPiの上で動かす方法はいろいろある(やや制約はあるが)。Googleが本物の実装に取り組んでいるらしい兆候もある。
それについてUptonはこう言う: “公式のAndroidに関するニュースはないけど、うちの社内のソフトウェアプラットホームとしてはPIXELとRaspbianに前から一貫して力を入れている”。
Googleのスポークスパーソンは、Piの開発ツールについてまだとくに詳しい情報はないけど、“今後とも、さらに多く、オープンソースの機械学習ツールをPiのコミュニティと共有していけることは、すばらしい。今年はもっといろいろあると思うから、ずっと見ていてほしい”、と語った。