Facebookの不公平なインスタント記事、掲載広告数を緩和へ

Facebookのインスタント記事(Instant Articles)はニュース提供元にとって常に損な取引 だった。読み込みが早くなり多くの読者を得られるのはよいが、Facebookのモバイルフォーマットのためにデザインは画一化され広告の掲載数も厳しく制限されている。パブリッシャーとしては有料購読者やイベント参加者や日々の固定読者も必要なのに、Facebookから有利な条件と参照トラフィックを引き出すためにそれを犠牲にしている。そうしなければライバルに負けてしまうからだ。

このたびFacebookは、パブリッシャーの条件を少しだけ改善した。インスタント記事に掲載できる広告件数を少し増やした。これからは本文記事250ワードにつき1件広告をのせられるようになる。これまでは350ワード毎だった。

これは新たに立ち上げられたFacebook Journalism Projectの第一弾だ。このブロジェクトは、Facebookがパブリッシャーと密に協力することで最大のトラフィック提供元となり、同時にそれまでパブリッシャーに入っていた広告費をたっぶり吸い取ろうという目論見だ。

Facebookの名誉のために言うなら、インスタント記事はニュース提供者に手を差し伸べるものではある。それでもなお、アンフェアに感じるのだ。

ちなみにFacebook Journalism Projectは以下のようなことを約束している。

  • 記事パッケージ
  • ローカルニュースへの投資
  • 購読トライアル
  • Facebookとパブリッシャーとの共同ハッカソン
  • Liveの使用方法など、記者向けFacebookのジャーナリズム機能の研修
  • FacebookページからLive配信を使用するための権限管理機能。寄稿者など非管理者でも機能を使用できるようにする
  • Live動画APIをユーザープロフィールにも適用
  • CrowdTangleへの無料アクセス
  • First Draft Partner Networkとの拡張的なパートナーシップで目撃者の特定を可能にする
  • ニュースリテラシー促進のための公共広告
  • 偽造ニュースへの対抗措置

Facebookは2016年にも機能追加を実施しており、サイトが直接販売した広告キャンペーンをインスタント記事に載せて収益はそのまま確保できるようにしたほか、記事のスタイルがこれまでより自由になり、ビデオ広告やカルーセル広告の利用、縦スワイプによるパブリッシャー提供記事の循環表示などが可能になった。また、メールアドレスリストやFacebookページの「いいね!」によるサインアップユニットをテストしている。

それでもインスタント記事で一番潤うのはやはりFacebookだ。コンテンツが高速でニュースフィードに読み込まれればユーザーはFacebookアプリを離れる理由がないのでFacebookの広告を見る回数が増える。会社としてはインスタント記事のクリーンな閲覧体験を強調しているが、陰ではパブリッシャーのアイデンティティが犠牲になっている。

もしFacebookがニュース業界の真のパートナーになりたいのなら、インスタント記事の読み込み時間を著しく遅くするもの以外は何でも許して、収益化やサーキュレーションやサインアップの方法はパブリッシャーに任せるべきだろう。広告が多すぎたり少なかったりの評価は市場に委ねればよい。今回の変更の後でも、Facebookのパブリッシャーに対する力は強すぎる。

下に貼ったビデオでは、FacebookとTwitterがパブリッシャーをすげ替え可能なゴーストライターにしようとしていることについて私がぶちまけている。ソーシャルネットワークの賢いパイプの中を無能なコンテンツが流れていくという図式だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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