Facebookでは、IT部門のことを“IT”と呼ばず、“エンタープライズエンジニアリングオーガニゼーション(enterprise engineering organization)”と呼ぶ。Facebookのクライアントプラットホーム担当エンジニアNick McSpaddenによると、Facebookぐらいの大きさの企業になると、ITはベンダーのプロダクトのボタンを押すだけの仕事ではなくなるからだ。そしてそのことを強調するかのように同社は今日(米国時間6/21)、AdobeのCreative Cloudのプロダクトを社員に使わせるための内部的IT管理サービスをオープンソースにした。
Facebookのそのエンタープライズ〜〜オーガニゼーションは今、3万台近くのコンピューターと4万近いモバイルデバイスを管理している。ラップトップとデスクトップの多くはOS Xだが、Windowsマシンも約8000台ある。“組織が大きくなりすぎると、もう、ベンダーからターンキーのソリューションを大量に買い付ければすむ、という状態ではなくなる”、とMcSpaddenは強調する。そこでオーガニ〜〜のチームは、たくさんのオープンソースツールを使って、必要に応じて独自のソリューションを構築することになる。McSpaddenの説によると、ベンダーが彼らのソリューションを作るときには、メインストリームのユースケースを想定しがちだが、でもつねにエッジケースはある。そしてFacebookぐらいの巨体になると、エッジケースはどんどん増えてITチームの生産性を干上がらせる。
今回Adobeのプロダクトに社員がアクセスするためのツールをオープンソースにしたのは、至るところで使われているベンダーだし、ユーザー数も多いからだ。そのFacebookのスクリプトを一般企業が使うと、Adobeのサブスクリプションへの新しいアカウントを企業レベルの裁可のもとに作成することが容易にできるし、特定のユーザーに特定のツールへのアクセスを与え、あとでそのアクセスを必要に応じて取り去ることも簡単にできる。
McSpaddenによると、この新しいツールがオープンソースになったことをAdobe自身も喜んでおり、またそのコード中にはFacebook固有の部分は何一つない、と強調した。“Facebookだけでしか使えないものを公開する気はない。現状のままで誰にでも使えるものをリリースしたい”、と彼は語る。
コードはGitHub上にあり、McSpaddenは曰く、Facebookは外部からのコントリビューションを大歓迎する、と。