この火曜日にAudiは来年登場予定の次世代A8はレベル3自動運転システムを搭載する初の量産車になることを明らかにした。Audi A8の自動運転システムにはNvidiaのテクノロジーが利用されており、「渋滞パイロット」機能を持つ。
Nvidiaはこれ以外にもA8のさまざまな能力を支えている。実際A8はNvidiaのチップを6基搭載しており、交通渋滞に対処するだけでなく、インフォテインメントシステム、バーチャルコックピット表示、後部座席用ヘッドレスト裏のタブレットなどを駆動する。
A8がレベル3になるということは、特定の状況、たとえば 時速60キロ以下あるいは高速道路を走行中などの場合、ドライバーは道路に注意を払う必要がなくなる。走行環境がそのような条件を満たすと、ドライバーは(現地の交通法規が許せば)車の運転に注意を払うことなく合法的に他の作業を行うことができる。ドライバーの操作が必要な状況になればシステムがドライバーにそれを要請する。
レベル3は現行のTeslaのオートパイロットより一段進んだ自動運転となる。Teslaのオートパイロットはレベル2に分類されており、ドライバーは走行中常に道路に注意を払い、即座に運転を代われる態勢を維持する必要がある。オートパイロットが高速道路で一定の範囲で速度を維持して走行することを主な目的としているのに対して、A8のシステムでは渋滞時にドライバーが一切の操作から解放されるのが大きな違いだ。
NvidiaのプロセッサはAudiのzFASシステムの頭脳となり、A8の自動運転を実現している。車両に装備されたレーダー、カメラ、レーザースキャナー、超音波センサーなどから得られたデータを処理し、車両が置かれた環境を総合的に認識する。渋滞パイロット・モードに入った場合、zFASシステムは自車の取るべき動作を決定する。このときシステムは毎秒25億回の入力を処理するという。
レベル3自動運転は本質的にある種の矛盾を抱えている。つまり一方ではドライバーはリラックスして他の作業をしてもよいとしながら、いざというときには即座に運転に戻らなければならず、完全に車任せにはできない。レベル4の自動運転になって始めてシステムが完全に車両をコントロールするようになる。自動運転中の事故の責任はシステム側にあるためAudiとNvidiaは自動運転システムに強い自信を持っているのだろう。
〔日本版〕自動運転のレベルについては日本もSEA(Society of Automotive Engineers)の区分を踏襲することを決定している。レベル3は「条件付運転自動化」とされ、システムが要請した場合を除いて車両側が加減速、ハンドル操作を含むすべての走行操作を実施する。詳しくは官民ITS構想ロードマップ2016(PDF)
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)