先月株式上場を果たして以後のBlue Apronの日々は順調とは言いにくい。それでなくとも巨大な影を落とすAmazonが137億ドルでWhole Foodsを買収したことは生鮮食料品市場に大きな衝撃を与えた。一層芳しくないニュースが次々に報じられ、Amazonのライバルになるはずだったスタートアップは今や重大な危機を迎えている。
今日(米国時間7/17)、Blue Apronの株価はさらに10%下がった。上場以来、Blue Aproは不運と市場の不信に取り巻かれているようだ。Amazonはコマースと一見無縁に思えるAWSのような分野でも10億ドル級のビジネスを構築し、ゲームのライブ・ストリーミングを行うスタートアップを買収している。今月発見された商標登録の記録からすると、Amazonは精肉の宅配分野への進出も計画しているらしい。
Amazonがそういう計画を立てているなら、それには十分な理由がある。わずかこの数年でBlue Apronは年間売上8億ドルのビジネスとなり、2015の第1四半期には少額ながら利益を計上できた。新規事業への参入にあたって巨額の資金を費やしているとはいえ、Amazonのロジスティクスは完璧な科学の領域に近い。Amazonが生鮮食料品分野に強い関心を抱くのは論理的にみて必然だろう。Whole Foodsの買収後は、この目標達成へのハードルはますます低くなっている。
Blue Apronは上場にあたって売り出し価格を下げたが、それでも見通しは楽観的に過ぎた。Blue Apronが各地で投資家への説明会を続けている最中にAmazonはWhole Foods買収という爆弾を落とした。Blue Apronの上場という興奮は一気に冷水を浴びせられ、逆に巨大な疑問符が浮かぶこととなった。 最後に10ドルで上場されたものの、今日の株価は6.51だった。Blue Apron株はわずか数週間で価値の3分の1を失ったことになる。
Blue Apronは株式市場に対してAmazonのような巨大な通販帝国の一部に割り込んだ単なるニッチ企業ではないことを証明するという難事業に挑まねばならなない。株価の低下は変革を主張する「もの言う株主」を引き寄せるし、優秀な社員をつなぎとめる報酬設定にも悪影響を与える。前途は洋々だというイメージが維持できなければ社内の士気低下もあり得るだろう。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)