やっぱりAndroidはモバイル時代のWindowsか?

柔軟で拡張性の高いOSがサードパーティーのハードウェア・メーカーに開放されて市場に独占的地位を築いた。どこかで聞いた話? デジャヴ?

実際、AndroidとWindowsの並行関係は驚くほどだ。ではAndroidはMicrosoftがWindowsで陥っているような落とし穴を避けられるだろうか?

ともあれまず現在のAndroidと95年のWindows 95の類似点をおさらいしてみよう。

  • Androidはほぼ無数のフォームファクターのハードウェアによって断片化(多様化といいたければそうも言える)されている。 サードパーティーのメーカーのAndroidサポートは(Windows同様)、きわえめて広範囲で、根強い。
  • Androidの柔軟性と自由性はありとあらゆる種類のアプリケーションが爆発的に生まれることを可能にしたが、アプリ市場にマルウェアや屑アプリが蔓延するなど無法状態も招いている。インターネット初期のWindowsも同様の無法時代を経てきた。
  • AndroidはAppleがパイオニアとして切り開いた市場に後発で参入した。その際にサードパーティーのハードウェア・メーカーを味方につける戦略を採用し、Appleのハードウェア製造、販売能力を凌駕することに成功した。世界市場でAndroidタブレットのシェアははiPadを2対1で上回っている。Windowsもよく似た道筋を通ってAppleを圧倒した。
  • サードパーティー・メーカーはデバイスごとの利益を最大にしようとして、Android OSに過剰なカスタマイズを行い互換性の障害となっている。またくだらない独自開発のアプリをプレインストールしてユーザー体験を損なっている。ハード・メーカーの過剰なカスタマイズとプレインストール独自アプリがユーザーを苛立たせているのは現在のWindowsも同じだ。
  • Androidデバイスは全体としてはiOSデバイスより安価だ。最小限の業務ができればよいというならWindowsノートはMacbookよりずっと安価だが、一方でおそろしく複雑なグラフィックス処理をリアルタイムで実行したいというゲームマニアは大金を投じてスーパー・ゲーム・マシンを買うことができる。Macにはそういう自由はない。iOSデバイスと巨大スクリーンのハイエンドAndroidデバイスの関係はこれに似ている。.

ただし、AndroidとWindowsを比較する上でもっとも重要な点は製品寿命だろう。 Windowsは1985年以来市場に君臨し続けている。ハードウェアで優位に立ったOSは驚くほど寿命が長い

1985年以来コンピュータは大きく姿を変えてきたが、Windowsも同様だった。スマートフォンとタブレットもこれから大きく変貌していくだろう。またモバイル時代が到来してもわれわれが依然としてPCを使っているのと同様、今後どのような新しいコンピューティングの波が押し寄せようと、10年後もわれわれがスマートフォンとタブレットを使っていることは間違いない。AndroidはMicrosoftのWindows戦略にならってハードウェアとソフトウェアのもっとも重要な2つのセグメントに支配権を打ちたてようとしているようだ。

「いやAndroidはシェアが大きいだけで、iOSこそユーザーに愛され、もっとも利益を上げているOSだ」という声も聞こえてきそうだ。しかし歴史が教訓となるならば、スマートフォン戦争は短期の利益率やアプリの数の競争ではなく、スマートフォンというプラットフォームを5年、10年、15年に渡って支配するのは誰かという戦いになる。その誰かは日増しにAndroidであるらしく思えてくる。

ここで決定的に皮肉なのは、Microsoftの過去の戦略をそのまま採用して大成功を収めたAndroidに対してMicrosoft自身が苦戦を強いられていることだ。Microsoftが早期にモバイル分野で自分自身のWindows戦略を採用することに気づいていれば状況は大きく変わっていただろう。 

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


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TechCrunch Japan

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