Googleのビジネス向けリアルタイム・コミュニケーション、Hangouts Chatが正式版として一般公開された。今後G Suiteのコアの一部を構成することとなるこのサービスはCloud Next 2017でHangouts Meetと同時に発表された。Meetは即時に一般公開されたが、Chatは「招待オンリー」のベータ版だった。今回やっとGoogleはG Suiteユーザー全員に向けてChatを公開することとなった(公開は1週間程度かけて順次行われる予定)。
サービスの目的、性格は明らかにGoogle版のSlackないしMicrosoft Teamsだ。Googleが去年Chatを発表した頃、AtlassianもStrideを公開して競争に加わっている。ChatはiOS、Android、ウェブから利用可能だ。
上で挙げたような各社のサービスは基本的にどれも似ているが、それぞれに特色を出そうと苦心している。Googleの場合は、AIの活用だ。会議の予定を立てるサービスを担当する@Meetボットがいい例だ。@DriveボットはGoogleドライブに関連する処理を担当し、誰かがファイルを送ってきたり、あるいはファイルへのアクセスを要求してきた場合にユーザーを助ける。
Hangout Chatは現在28ヶ国語で提供され、メンバーは最大8000人までサポートされる。 特に重要な点はGoogleがすでにChatを中心とするエコシステムを作り上げており、インテグレーションのパートナーは独自のボットを持つくとができる。こうしたパートナーにはXero、RingCentral、UberConference、Salesforce、Zenefits、Zoom.ai、Jira、Trello、Wrike、Kayak.などがある。Giphyも独自のボットを持っているという。
デベロッパーはボットを開発してChatサービスに組み込むことができる。
Chatの強みはもちろんGoogleが提供する他のサービスとの親和性が高いことだ。たとえばChatのビデオ会議機能はGoogle Driveその他の共同作業ツールに組み込まれ、それぞれのサービス中から開始することが可能だ。
Hangouts Chatが参入した分野は、まだまだ成長の余地があるものの次第に競争が激しくなっている。多くの大企業はすでに使用するサービスを決めている。Googleの強みはもちろんG Suiteプロダクトの一部であり、すでに契約している企業はChatを利用するのに新たな手続きや料金プランを必要としない点だ。GoogleではAIを利用したボットの高度な能力が追い風になることも期待しているだろう。
ただしスマートフォンでHangoutsを利用したいだけの一般ユーザーの場合、Chatの公開はGoogleのメッセージ・サービスではどれを使ったらよいのか迷わせる可能性もある。Googleの方針は明瞭で、一般ユーザー向けメッセージ・アプリはDuo(ビデオ)とAllo(テキスト)であり、Hangouts Meet(ビデオ)とChat(テキスト)はそのビジネス版という位置づけだ。しかしAlloはさしてユーザーを獲得できず、大勢のユーザーが相変わらずHangoutsを別アプリとして利用している(別にAndroid Messagesもあるが、こちらはむしろハンドセットのメーカーやキャリヤとの関係が重要となる。GoogleのRCSプラットフォームに関しては こちらの記事が紹介している)。【略】
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)