Oculusは新形VRヘッドセット「Rift S」を発表した。以前にも報じられていたように、全面刷新というよりは順当なアップデートモデルとなっている。
まず前モデルからの最大の変更点としては、インサイドアウト方式のトラッキングカメラ「Insight」を本体前面に搭載したこと、そしてディスプレイ解像度が向上したことがあげられる。一方最大のサプライズは、このヘッドセットがLenovo(レノボ)との協力により開発され、いい意味でも悪い意味でのそのデザインの影響を受けていることだ。
Oculus Rift Sの外観は完全に新しくなったが、すべての変更点がVRファンが望んだものというわけではない。それでも、初代Oculus Riftを置き換えるプロダクトとして位置づけられている。
Oculus Rift Sでの変更点
- 解像度の若干の向上:片目ぶんで1080×1200ドットから1280×1440ドットへ。またレンズも改良
- フレームレートは90Hzから80Hzにダウン
- 有機ELディスプレイから液晶ディスプレイに(Oculus Goのパネルと同じ)
- インサイドアウト型のトラッキングカメラを5個搭載
- 新形Oculus Touchコントローラーが付属、Oculus Questのものと同一
- 音質の悪いオンイヤーヘッドホンから、Oculus Goのような耳のそばのスピーカーへ
- 柔らかいストラップから、「PlayStation VR」風のしっかりとしたフレームに
- Oculus Riftに比べると視野は若干広い
- 瞳孔距離のマニュアル調整機能(IPD)はない
- PCの要求スペックはほぼ変わらないが、より高速なCPUが必要だろう
- 前モデルの349ドル(約3万9000円)に対し、399ドル(約4万4000円)に値上げ
- 2019年春に発売
実際のところ、Oculus Rift Sはトレードオフから生まれたプロダクトだ。より野心的なデザイン変更がキャンセルされた後に、製品の方向性が決まったのだ。また、これは前CEOかつ創業者のBrendan Iribe氏が激しく拒んだ決定だった。とあるソースによれば、Iribe氏が会社を去ったのもそれが原因だとされている。
初代Oculus RiftとTouchのセットは当初798ドル(約8万8000円)で販売されたが、最終的には349ドルにまで値下げされた。Oculus Rift Sはそれよりも高価だが、Lenovoによるプラスチック主体のデザインやオンイヤーヘッドホン、IPD機能の省略を考えると廉価に感じられる。一方で、初心者なら搭載カメラの簡単なセットアップや、有線センサーのUSBバンド幅を気にしないでいい点などが歓迎されるだろう。
トラッキングシステムはパワフルだが、Oculusの製品における選択は議論を呼びそうであり、今後の市場の反応が待たれる。なお、製品はコントローラー込みで399ドルにて、この春に販売される。
[原文へ]
(文/塚本直樹 Twitter)