「子どもたちはガラスの試験管の中に入れられているようなものだ。ソーシャルメディアへの投稿は親や教師、そして将来の就職先に細かく調べられる。そこで後に記録がのこならないSnapchatのようなメディアが重要になってきた」と出資者であるBenchmarkのBill Gurleyは説明する。
Gurleyはベルリンで開催中のTechCrunch Disrupt Europeに登壇、SnapchatについてTechCrunchファウンダーのMichaelArringtonと対話した。Gurleyによれば、Snapchatの取締役、Mitch Laskyの子どもは「Facebookは(ティーンエージャーにとって)大人のLinkedInみたいなものだ」と言ったという。
この点を理解できないために多くの大人たちがSnapchatをエロ画像の交換のためのサービスだと軽視するという誤りをおかす。Snapchatは表示後10秒で消えるビデオや写真を友だちに送るサービスだ。そこで当然ながら馬鹿げたコンテンツも大量にやりとりされている。
「子どもたちはすぐに理解した」とファウンダーのEvan Spiegelは9月にサンフランシスコで開催されたDisruptで述べた。SpiegelによればSnapchatには毎日3億5000万のスナップ(写真とビデオ)が投稿されているという。それ自身で驚くべき数字だが、3億5000万というのはFacebookに毎日アップロードされる写真の数と同じだと知ればますます強い印象を受ける。
下にBenchmarkのチームがSnapchatについて語ったビデオをエンベッドした。
Gurleyはなぜ「短期消滅型」のメッセージ・サービスが急速に人気を得ているか詳しく論じた。
子どもたちにとって、インターネットは次第に居心地の悪い場所になっている。思ったように共有できない、面白くない、楽しくコミュニケーションできない場所になっているのだ。それがSnapchatに人気が出た本質的な理由だと思う。Snapchatは子どもたちが後の影響をあれこれ恐れずに楽しくコミュニケーションできる場所を提供している。昔のFacebookの写真のために就職の機会を逃した若者の話をよく聞く(のだからこれは理解できる心理だ)。
大人の場合、たとえば休暇で旅行に行ったときの写真をLinkedInに投稿すれば常識のないやつだと思われるだろう。子どもたちはFacebookについて同じように感じている。すぐに消えて、後からとやかく言われないような方法で写真を共有したいのだ。
短期消滅型メッセージ・サービスは定着した
ティーンエージャーの置かれている状況に対するこのような包括的な理解がなければ、Snapchatの重要性を見失う。だろう。またFacebookには簡単にSnapchatの真似ができない理由もここにある。本質的に短期消滅型であり、かつ独立したサービスであることが成功のために決定的に重要な要因なのだ。Snapchatに対するFacebookの買収提案をSpiegelが拒絶した理由はそこにあるのだという。
同時にこれは短期消滅型テクノロジーが一過性の流行ではない理由でもある。Facebookのような長期蓄積型のソーシャルネットワークのニーズはいつでもある。しかし短期消滅型のコミュニケーションの必要性は極めて大きい。
長期蓄積型も短期消滅型もともに大きな将来性をもったサービスだ。そのように考えれば、最近Snapchatが35億ドルの会社評価額で資金を調達したと聞いても、受けるショックは減るのではないだろうか。
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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+)