Kyashがサインレス&タッチ決済対応の新カードを20年初頭に提供、限度額や利用場所をカスタマイズ可能に

「新しいKyash Cardはじまる」——。送金・決済アプリ「Kyash」を軸にVisa加盟店で使えるバーチャルカードやリアルカードを展開するKyashが、突如新たなカードの提供を予告したのは11月のこと。一部では新機能の予測なども飛び交っていたけれど、本日その概要が明らかになった。

Kyashは12月19日、次世代カード「Kyash Card」のデザインや仕様とともに、同カードを2020年初頭より提供することを発表した。

新カードではネイビー、シルバー、ピンクの3色を用意し、カード番号やカード名義などを裏面に配置したシンプルなデザインを採用。ICチップや非接触決済機能を搭載したVisaカードとして、表側にカード番号がないプリペイドカードは日本で初めてだという。

機能面の主な特徴は以下の通りだ。

  • サインレスでスムーズな支払い体験
  •  ICチップ搭載でVisaタッチ決済も可能
  • リアルタイムに利用履歴を反映
  • 利用限度額をユーザー自身が設定可能、利用場所も「オン/オフ設定」でカスタマイズ(海外利用可能)
  • スマホ上でカードロック可能
  • 割り勘・送金をスマホで完結

上述したようにKyash CardではICチップを搭載しているため、新たにサインレス決済やVisaタッチ決済にも対応。これまで以上にスムーズな決済体験を実現する。

大きな変更点として、ユーザーの本人確認が必要になる代わりに24時間あたりの決済上限額(5万円→30万円)と月あたりの決済上限額(12万円→100万円)が大幅に上がり、国内だけでなく海外でも利用できるようになった。利用限度額や利用場所はアプリ上でカスタマイズできるため、従来のリアルカードに比べてさらに自由度が高くなったと言えるだろう。

リアルタイムに利用履歴が反映されることで利用後の残高や明細をすぐにチェックできる点や、アプリ上で割り勘や送金がサクッと完結する点はリアルカードと同様だ。利便性だけでなく、カードロックなどのセキュリティ機能も備える。

なお現在のリアルカードは「Kyash Card Lite」として引き続き提供する計画。今後はバーチャルカードも含めて3種類のカードを展開していく形となる。

3種類のカードの仕様。「Kyash Card」と「Kyash Card Lite」に関してはそれぞれ発行手数料が必要になる

決済の未来を作るためのアップデート

Kyash代表取締役の鷹取真一氏は今回新たにKyash Cardをリリースすることについて「決済の未来を自分たちの手で作っていくこと」が大きなテーマになっているという。

「国内ではQRコード決済に対応するお店が少しずつ増え盛り上がりつつあるものの、その一方でグローバルの潮流を見るとVisaのお店で使えるタイプのサービスが圧倒的な指示を集めてきている。自分たちも(Visa加盟店で使えるというのを1つの特徴として)これまで本人確認なしでライトに使えるカードを展開してきたが、今後はKyash Cardに色々な機能を乗せて、よりスムーズで心地いい決済体験を提供していく」(鷹取氏)

Kyashではサービスに触れてもらうハードルをどこまで低くできるかを考え、これまではKYC(本人確認)にしても、カード取得の体験にしてもなるべく少ない情報で済むような設計にしてきた。ただ、ある程度の支持を集められたら本人確認を取り入れて機能を拡充させていくことは以前から想定していたそうだ。

7月の資金調達時にも少し言及があったが、Kyashは決済事業者という域を超えてバンキングサービスをモバイルアプリ上で展開する「チャレンジャーバンク」の構想を掲げている。本人確認の採用についても「本人確認が必要となる各種金融サービスや金融行為にアクセスしていくための土壌を作るという側面があるのは事実」(鷹取氏)とのことで、Kyash上に今後新たな金融サービスを乗せていくことも踏まえたアップデートだと言えるだろう。

また高額な利用や幅広い利用が制限されるといった、本人確認をしないことによる“制約”を取っ払う意図も大きい。鷹取氏の話ではクレジットカードと紐付けてKyashを使っているユーザーが多いため、Kyashの方が先に上限金額に達してしまいそれ以上使えなくなるという現象が起き始めていたそう。

Kyash Cardではそこを大幅に拡張することによって、スピーディーにお金を動かしたり、お金の動きを確認したりできるというKyashの特徴をさらに広い範囲へ届けていきたいという。

「既存のカードの仕組みでは『今、いくら使っているのかが本当にわからない』という点に対して、Kyashではお金の流れを見える化して利用状況をリアルタイムで把握できる仕組みを作ってきた。実際にそこが好評で利用に繋がっているケースが多い。キャッシュレスの時代において『お財布に近い体験』を実現するには、お金の状況を透明化していくことが重要。単なるデータ連携ではなく、直感的に把握できるような仕組みも今後取り入れながら、より心地いい体験を実現していきたい」(鷹取氏)

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TechCrunch Japan

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