勢いづくSocial Capital Hedosophiaが4番目の「特別買収目的会社」を申請、500億円超の調達を目指す

Social Capital Hedosophia(ソーシャル・キャピタル・ヘドソフィア)は、新たな特別買収目的会社のために5億ドル(約523億円)の資金調達を行う計画をSEC(米証券取引委員会)で内々に申請(Bloomberg記事)した。

これはChamath Palihapitiya(チャマト・パリハピティヤ)氏と、同氏の長年の投資パートナーであるIan Osborne(イアン・オズボーン)氏が指揮を執る同社にとって4番目の特別買収目的会社(SPAC)だ。

驚くべきことに、ほかに何十社も計画中だと言われている。自身が共同ホストをつとめる「All-In Podcast」で、パリハピティヤ氏はニューヨーク証券取引所のティッカーシンボルを「IPOA」から「IPOZ」まで予約済みであることを最近明かした。さらに同氏は、それぞれの取引に自身の資金1億ドル(約106億円)をつぎ込んで、出資者候補と意識を共有していることも語った。

どんな筋書きなのか。パリハピティヤ氏はポッドキャストで、連邦準備銀行の経済・金利予測と今後数年間ゼロ金利を続けるという計画を指摘した。「つまり、率直に言って、いかなるタイプであれ短期的インフレの可能性はない」。

それが、「投資家は時間をかけて株式のリターンを得るようになる、なぜなら無リスク金利はゼロであり近々マイナスになるからだ。そしてあなたが資産管理者なら、すべきことはなにか?」。

彼は「あなたはカリフォルニア州の年金システムを運用しているとしよう。何千億ドルもの資金があり、年金が破綻しないように年に5~6%の運用益を出さなくてはならず、政府からは何ももらえない。誰もがその状態にあるとき、あなた著しいロング(買い)になる。だから一般的にこうしたチャンスは買いのチャンスであり、今私は以前よりも強気にでている」と説明する。

実際、非公開株と公開株への投資を比べた場合「乗る価値があるのは公開企業だけだと私は思っている。それは、気を悪くしてほしくないのだが、公開市場で良い株を見つけるのが非常に得意な人なら、Sequoia CapitalやBenchmarkといった最高のベンチャーファンドよりもよいリターンを得られる。多くの人たちがTwitterで、そういうVCたちがアーリーステージ市場でどれほど成功しているかをまくしたてているのを見ているが、どれも小さな金額であ大した意味はない」。

彼が意気盛んなのにはもちろん理由がある。Social Capital Hedosophia最初のSPACは、2017年に資金調達し、最終的に昨年、宇宙旅行会社のVirgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)と合併して現在40億ドル(約4185億円)を少し上回る時価総額を、公開市場の株主たちから得ている。

同社2番目の今年4月に資金調達したファンドは、住宅用不動産売買のOpendoorとの合併を米国時間9月15日に発表した(未訳記事)が、Opendoorは、未だに不確実な経済環境の中で伝統的IPOプロセスで上場することは難しかったかもしれない。

Social Capital Hedosophiaの3番目のSPACは同じく今年4月立ち上げられた。まだターゲット企業を公表していないが「IPO Proceeds(公募で得た手取金)を使って主要拠点が米国以外のテック企業を買収するつもりだ」と同社は明らかにしていた。

SPACは、歴史的には華々しい評判を得てはいないが、ここ最近は多くの投資家の興味を引きつけていることは間違いない。SPCInsider誌によると、2020年だけで100近いSPACが設立され、わずか7社だった10年前から急増している。

Sequoia Capitalは、Zoom、ByteDance、Snowflakiを始め新聞の見出しを飾る会社を数多く抱えている目覚ましい年を迎えているが、同社の米国の責任者であるRoelof Botha(ロエロフ・ボータ)氏は米国時間9月15日のインタビュー(未訳記事)で、SequoiaはSPACを立ち上げることについて、ありそうにないとしながらも「可能性は排除していない」と語った。そして、IPOプロセスを巡って「もっと多くのイノベーションがあるという事実を大いに喜んでいる。それが企業の選択肢を増やすからだ」と続けた。

画像クレジット:Michael Kovac / Contributor / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。