アプリメーカーがApp Storeの規約変更に向けて一丸で闘う「Coalition for App Fairness」が発足

多くのトップアプリメーカーが団結して、アップルによるApp Storeの支配、さらにはグーグルによるPlayストアの支配に対抗するための活動画始まった。米国時間9月24日、Epic Games、Deezer、Basecamp、Tile、Spotifyなどを含む13のアプリパブリッシャーが、「Coalition for App Fairness」(公正なアプリのための連合)を立ち上げた。この新しい組織は、各アプリストアのプロバイダーにポリシーを変更させるか、最終的にはアプリストアを規制に追い込むかのいずれかに焦点を当てた、各社がすでに進めている取り組みを組織化したものとなる。

例えばEpic Gamesは現在、App Storeの手数料ガイドラインをめぐってアップルを相手に訴訟を起こしている。またBasecampは、自社開発のHeyメールアプリがアップルのアプリ内購入プラットフォームを使用しないことを理由に、アップルにアプリのアップデートをブロックされたことで、両者が公の場で争うことになった。このグループに含まれる他のアプリメーカーは、以前に公の声明を通じてアップルの慣行に反対する発言をしており、一部のアプリメーカーはまた議会に不満を伝えている。

Coalition for App Fairnessの新しいグループに含まれるのは、Basecamp、Blix、Blockchain.com、Deezer、Epic Games、European Publishers Council、Match Group、News Media Europe、Prepear、Protonmail、SkyDemon、Spotify、Tileの合計13社。

Coalition for App Fairnessのウェブサイトでは、同グループは、アプリストアの30%の手数料構造のような反競争的な慣行や、何十億ものアップルデバイスにソフトウェアを配布できないことなど、同団体が個人の自由を侵害していると見ている主要な問題について詳述している。

グーグルは、アプリをPlayストア以外で配布する、いわゆるサイドロードを許可しているので、この点でについては標的にはなっていない。実際のところ同団体の取り組みは、アップルのビジネスをターゲットにしている。

もちろん、アプリ経済におけるアップルの成功の大部分は、アプリがどのように作られ、デザインされ、レビューされ、配布されるかを厳しく管理していることに起因する。xApp Storeではジャンクやスパムが排除されることが多く、アプリのレビューは自動化された技術ではなく、主に人間が管理している。また、アップルのアプリ開発者は、アプリの外観や使い勝手、許可されているコンテンツの種類、アプリの動作を管理するガイドラインにも従わなければならない。アプリ内購入に関する同社のルールは顧客体験にもつながっており、アプリ内での購入は親指を押すかボタンをタップし、iPhoneを見るだけで簡単に決済できる。

その一方でアップルガイドラインは、顧客獲得、検索広告、支払いの処理などをApp Storeに頼る必要がない企業にとっては、あまり自由度が高くない。そういった企業は、独自のアプリやサービス、独自のインフラストラクチャを構築できるが、iOSの顧客にリーチするためにアップルのプラットフォームを使用するしか方策がないのだ。

Spotifyのグローバルアフェアーズの責任者兼最高法務責任者のHoracio Gutierrez(ホラシオ・グティエレス)氏は「世界中の執行機関、規制当局、立法者がアップルの反競争的な行動を調査する中、The Coalition for App Fairnessは、消費者の選択肢を保護し、すべての人のための公平な競争の場を作るための努力の中で、アプリやゲーム開発者の声となるでしょう」と述べている。

同団体はまた、業界全体で制定されることを望む10項目の「App Store Principles」のリストを発表している。これには、アプリストア以外の場所でアプリを配信することができること、自社のデータを競合に利用されないように保護すること、開発者向けのドキュメントへタイムリーにアクセスできること、正当なビジネス目的のためにアプリを通じてユーザーとコミュニケーションを取る権利、アプリストアの決済システムを利用することを要求しないこと、不公正な料金を支払うことを要求しないことなどが含まれている。

同団体に参加するメンバーの個別の声明も公式ウェブサイトで公開されている。中でもおそらく最も重要なのは、新しいメンバーを募集する仕組みを立ち上げたことだろう。アップルのやり方に同じように抑圧されていると感じているアプリメーカーは、フォームに必要事項を記入して参加を申し込むことができる。同団体は「大小すべての開発者に参加を呼びかけました」と述べている。

アップルはCoalition for App Fairnessの立ち上げについて直接コメントしなかったが、米国時間9月24日にApp Store関連の新しい情報を公開した。その中には、App Storeについてのページのデザイン変更、開発者の利益に焦点を当てたページの追加、アプリ開発者プログラムが提供する利点の概要、アップルビデオパートナープログラムとその適用方法を説明する新しいサイトなどが含まれる。

アップルは一部のプログラムについて、透明性を欠いている傾向がある。公式声明を発表したり、ブログ記事を書いたり、プレスリリースを発表したりする代わりに、ルールが変更されたときの背景について簡単に説明する新しいウェブサイトを立ち上げるなどして対応してきた。App Storeの問題についてコメントを求められても、アップルが公式発表することはめったにない。

しかし、最近行われた反トラスト法の聴聞会でアップルの内部事情が明らかになり、Amazon(アマゾン)との特別な契約をどのようにしたか、どのアプリを委ねるかをどのように決定したか、複雑な決定をどのように処理したかが明らかになった。

この行為に対する反発は何年も前から沸き起こり、規制当局の調査のおかげでいまや頂点に達しつつある。しかし、アップルと戦うすべての企業が、必ずしも彼らを救うために戦っているわけではない。アップルがEpicやSpotifyと密かに特別契約を結んでいたら、App Storeの乱用について聞いたことがなかったかもしれない。

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:TechCrunch Japan)