この1年で急激に変化する教育に特化した3つめのファンドをReach Capitalが組成

Shauntel Garvey(シャウンテル・ガービー)氏と Jennifer Carolan(ジェニファー・カロラン)氏は、EdTechがヒートアップする前からこの部門が好きだった。2人は2015年に5300万ドル(約55億5000万円)の初ファンドを組成し、Reach Capital(リーチ・キャピタル)を共同で創業した。サンフランシスコ拠点のベンチャーファームであるReach Capitalは以来、Newsela、Sketchy、ClassDojo、Outschoolといった教育スタートアップに出資し、これまでに出資企業6社がイグジットした。

そして現在、新型コロナウイルスのためにポートフォリオ企業は増え、Reach CapitalはEdTechスタートアップ支援を目的とした3つめのファンドを発表した。Reach Capital IIIは1億6500万ドル(約172億円)のファンドで、同社のものでは最大規模となる。Chian Gong(チアン・ゴン)氏、Wayee Chu(ウェイー・チュー)氏、Esteban Sosnik(エステバン・ソスニック)氏を含むReachのチームは2020年夏に投資ビークルの資金調達を開始した。ファンドの新規LPにはSesame Workshop、National Geographic、Kaiser Foundation Hospitals、Goldman Sachsなどが名を連ねる。

Reach Capitalのチーム(画像クレジット:Reach Capital)

Reachはファンドの半分をスタートアップへの追加投資のために取っておき、残り半分を純新規投資に振り向ける計画だ。Reach Capital IIIを通じてスタートアップ20社に投資し、各ディールで15%保有を目標とする。

EdTechは2020年の世界のベンチャーキャピタル投資において100億ドル(約1兆500億円)超のマーケットとしてランクインした。しかし学生、親、教師にとって過去12カ月は急上昇というより慌てふためく日々だった。Reachそして他のベンチャーファームも、至難の技だがめちゃくちゃになった教育を変えることができそうなスタートアップに投資する機会を得ている。

Reachに加わる前、シカゴの公立学校で7年間教壇に立っていたカロラン氏は、全教育システムの再建がさらなるイノベーションとチャンスのためにドアを開いた、と話した。

「保護者がリモート学習で経験していることは、長期にわたるEdTech分野への過小投資の結果でした。目的を達成することを受け入れた企業は細分化され、プロダクトの多くが実行できるものではありませんでした。プロダクトの大半はホームスクールマーケット向けに構築され、学校向けに再利用されていました」と同氏は話した。今、学校で1対1のテックインフラが整い、より多くの生徒がデジタルデバイスを持っているという事実に同氏はチャンスを見出している。

「教育への投資が、こんなにもエキサイティングだった時期はかつてありませんでした」とも同氏は述べた。Reachは幼少期からK-12(幼稚園〜12年生)、大学生の学習に至るまで、EdTechのサブセクターの企業を支援する計画だ。同社はまた、従来の教室コンテンツ以外の教育機会である、多くの投資家が賭けている生涯学習への投資にも手を広げる。

ReachはEdTech企業の支援に特化している数少ないベンチャーキャピタルの1社だ。同業他社としては2020年9月に2つの投資ビークルで5億8500万ドル(約612億8000万円)をクローズしたOwl Ventures、2020年12月に1億3200万ドル(約138億3000万円)をクローズしたLearn Capitalがある。

「パンデミックは教育分野におけるソフトウェアマーケットを開き、我々はその開始時点にいます。教育は『10人の指導コーチを雇おう』から『指導をするソフトウェアを受け入れよう』に移行したのです」とカロラン氏は話した。

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画像クレジット:Georg Wendt/picture alliance via Getty Images / Getty Images

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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