今回ご紹介する記事では、検索エンジンでのユーザーの行動をアイトラッキング等を用いて考察した内容をまとめています。検索エンジンマーケターとしては是非とも知っておきたいですね。– SEO Japan
人々は検索結果をどのように見るのだろうか?この答えは、SEOやPPCなどの検索マーケティングで成功しようとしているものに対して重要なヒントを与えてくれる。我々はこれを解き明かすために新らたにアイトラッキング調査を行った。
これまで、検索行動のアイトラッキングとマウストラッキングの調査が行われた例はあまり多くはない。もちろん、ニールセンノルマンが数年前に明らかにしたFパターンに関してはご存じだろう。
しかしながら、SERPs(検索結果画面)は急速に発展しており、ユーザーの検索行動もそれに伴って変化している。
ConversionXL Instituteの新たな調査部門として、我々は独自のアイトラッキング調査を行った。過去の調査結果に妥当性があるのかを確認することが今回の目的である。
調査では71人のユーザーにBingを使ってもらい、61人のユーザーにGoogleを使ってもらった。業界の水準(ニールセンノルマンとTobii) では30人以上の被験者サンプル数が、ヒートマップサンプルの妥当性を担保するための必要条件とされている。
しかしながら、一定数の被験者ではイレギュラー(スクリーンから目を離すなど…)が発生しえることを想定して、十分なデータを得るために30人を上回る被験者を用意した。
進化を続ける検索結果(SERPs)
GoogleとBingはインターフェースの改善を続けている。目標はもちろん、検索結果の関連性などを加味した上で、最も優れたユーザー体験を提供することである。もしユーザーが検索結果に満足し、目標を早く達成出来たのなら、検索エンジンは広告収入という甘い蜜を得ることができるのである。
リッチスニペットの例を見てみよう。これは通常の検索結果とは別ものとして提供されるものでありレビュー、写真、電話番号などの情報がある。
リッチスニペットは良いユーザー体験をもたらすのに有効な手立てだと考えられてきたが、しかし最近ではGoogleもリッチスニペットの使いすぎによりSERPsを散らかしたくないと述べている。
Googleのジネブ氏はTwitterの投稿で「ついにSERPsをリッチスニペットで散らかさずに済むようになった」と言っている。
つまり物事は変わるのである。我々は過去の調査と我々の調査で得られた結果を比較した。これらが記事の中で触れていく内容である。
過去、ユーザーはどのようにGoogle検索結果を見ていたのか?
2014年、Mediativeは53人の被験者に対して43個のタスクのアイトラッキングの調査を行った。
そして彼らはこの結果を2005年に行われた類似の調査と比較した。
この調査に関していうと、MarketingProf’sのNanji氏は「上位のオーガニック結果は2005年頃と変わらないクリック率(32.8%)だった。しかし、SERPsに新しい要素が追加されために、トップの結果はかつてほど長く多くの人に見られなくなっている。一方で、2位~4位の検索結果は2005年に比べてクリックのシェアを伸ばしている」と述べた。
過去の結果と今回の結果の比較
オーガニックの1位は未だに最大のクリックの割合を誇る(Googleのクリック全体の20.69%)。それに次ぐのは奇妙なことに6.897%のクリック率のオーガニック3位である。しかしながらリッチデータは39.655%のクリック率で最大である。
ユーザーのクリック率(1位と3位と2位)には大きな違いがあるものの、それぞれのオーガニック検索結果を見ている時間はGoogleとBingでは大きな差が無かった。
Fパターンはまだ当てはまるのか?
SEO事業者やウェブリサーチャーの間では、ニールセンの2006年に提唱されたFパターンの法則は広まった。デザイン上の問題が全て大文字のFの形をベースに考えると解決するという考え方はとても良さそうだだし、少なくともかつてはうまくいっていたはずだ。
しかしFパターンはすでに通用しなくなっている。検索エンジンの進化はユーザー行動パターンにも変化をもたらしたのである。厳密なFパターンの形は端的にいうと時代遅れなのだ。かつてのFパターンはこのような形であった。
リッチテキストと広告によりユーザーはお目当の結果を探すためにページ全体を見なければならなくなった。Googleのプラットフォームを観察すると、多くのユーザーが実際の検索結果を見る前にリッチテキストを見ていることが分かった。残念ながらユーザーの目線の動きの新しいパターンは、アルファベットの形には当てはまらなかった。
2009年34名の被験者を対象にしたGoogleの調査でもFパターンを確認することができる。 画像出典元
しかし同じ調査内容にも関わらず、我々の調査では同じような結果は確認できなかった。(71名の被験者を対象に調査を行なった)
人々はどのように広告を見るのか
右側の広告の箇所があまり好かれていないというのは事実だ。それは広告が置かれている場所が原因であり、視認がされにくいのである。
しかし、上のようにあたかも検索結果かのように表示されている広告のデザインであれば、ユーザーは一瞬であったとしても、見ずにはいられないのである。
しかしながら、それに気づくとユーザーはすぐにオーガニックの検索へと目をうつすのである。
広告を見ているのは事実であるが、それは一瞬の出来事である。
検索者が見ている時間という意味では、右側の広告も検索結果型の広告も大差はない。
データの中で明らかになったことの一つは、Bingの方が検索結果型広告をクリックする割合が高いということだ。Bingのクリックのうち検索型広告によるものは19.118%であり、一方のGoogleは6.897%であった。
こういった背景もあり、Googleの右側の広告の表示を取りやめるという決断がどのようにユーザーの行動を影響するのかは興味深い。
Google vs Bing 大きな違いはどこにあったのか?
BingとGoogleの違いということになると、我々の発見のうちのいくつかはPPCとSEOの取り組み方に影響するかもしれないし、単に興味深いというものもあるかもしれない。我々の発見のうちいくつかを紹介する。
GoogleとBingでリッチテキストをユーザーが見ている時間に大きな違いがあった
ユーザーはBingを使用している時よりも、Googleを使用している時の方がリッチテキストを視認する傾向があった。(ユーザーがGoogleを使っている時は約0.75%で、Bingを使っているときは1.3秒ほどリッチテキストを見ることが分かった)
動画は原文の「Google Vs Bing: Significant Differences?」下より再生ください。
GoogleよりもBingの方が、ユーザーが初期画面から下を見始めるまでの時間は長い
Googleのユーザーは7.1秒ほどでビロウ・ザ・フォールドを見始める傾向がある。Bingになると、ユーザーは10.5秒経過して初めてビロウ・ザ・フォールドを見始める。
Googleよりも、Bingを使っているユーザーの方がアボブ・ザ・フォールドを見ている時間が長い
Bingでは、ユーザーは約9.8秒間ほどアボブ・ザ・フォールドを見ている一方で、Googleでは7.8秒ほどにとどまっている。
[SEO Japan解説]
※1 アボブ・ザ・フォールドとは・・・ページを訪問した際、スクロールをせずに閲覧する事のできる最初の画面領域のことを指します。
※2 ビロウ・ザ・フォールドとは・・・ページを訪問した際、スクロールしなければ閲覧することができない画面領域のことを指します。「アボブ・ザ・フォールド」の対にあたります。
同様に、ユーザーが最初の5つの検索結果を見ている時間はGoogleよりもBingの方が長い
Bingのユーザーは最初の5つの検索結果で、平均4.5秒ほどを過ごしている。
かたやGoogleのユーザーは、平均3.4秒ほどで最初の5つの検索結果を見ている。
最初の検索結果を見るまでにはGoogleよりもBingの方が時間がかかる
Googleのユーザーは最初の検索結果を見るまでに約3.3秒ほどかかっている。Bingのユーザーは約8.8秒ほどで最初の検索結果の検討を始めている。
なぜか?
大半のBingユーザーが他の要素を見る前に検索結果を見ているということを考えると、広告などほかの要素を見るのに時間がかかっている可能性は低そうだ。Googleのユーザーは検索結果の前にリッチテキストを見る傾向があるが、それでもなおBingユーザーよりも5秒ほど検索結果に早くたどり着いている。
おそらくコンピューターを使うユーザーはBingにはあまり慣れておらず、どれが広告でどれがそうではないかを理解するのに時間がかかるのだろう。
Googleのユーザーの方が最初の検索結果を見ている時間は長く、最初の検索広告を見ている時間は短い
Googleのユーザーは最初の検索広告を吟味するのに、約0.764秒ほど費やしている。同じことをBingのユーザーで見てみると約2倍の時間(1.455秒)が費やされている。Bingのユーザーは最初の検索結果を吟味するのに約0.7秒かけており、Googleのユーザーは1.059秒かけている。
これは何を意味するのか?
これはBingを使うユーザーが(Googleに比べて)Bing自体にあまり慣れておらず、検索結果と広告を区別するのにやや時間がかかっているという可能性を示唆している。Googleのユーザーが検索行動の最終的な目的を、Bingのユーザーよりも2秒ほど早く達成しているという事もこれを示している。
さらにこれは仮説だが、Googleが使用している「広告」というアイコンが、オーガニック検索結果に早くたどりつくための助けをしている。もしかするとBingを使用している人は広告とオーガニック検索結果の違いに気づいていないのかもしれない。Bingのユーザーはアボブ・ザ・フォールドに滞在する時間が長く、ビロウ・ザ・フォールドにあまり行かないという事実もこれを示唆している。
結論
Bingでは、特に最初の5つの検索結果(右側にあるリッチテキストや広告に相対するもの)を吟味する時間がユーザーの時間の中で大きな割合を占めている。
最も人気で親しまれている検索エンジンということもあって、Googleのユーザーは検索結果ページ全体をくまなく見ることを苦に思っていないようだ。リッチデータを見たり、すぐに画面をスクロールしてビロウ・ザ・フォールドの結果を検討するのにためらいがないのだ。
おそらく検索エンジンとしてBingを使い慣れていないために、ユーザーは検索結果を見て、消化するまでに時間を要しているのだろう。
検索結果ページの進化は間違いなくユーザーの行動を変容させている。厳密なFパターンは既に通用しなくなっている。(少なくとも我々が調査した範囲では)リッチテキストと広告の出現によって、ユーザーは欲しい情報を得るためにページ全体を見るようになっている。Googleを見てみると、多くのユーザーが実際の検索結果を検討し始める前に、リッチテキストを見ているのである。
この記事は、ConversionXLに掲載された「F-Patterns No More: How People View Google & Bing Search Results」を翻訳した内容です。
このような調査でさらに大きい母数で行っているものなどがあれば、今後も紹介していきたいと思います。
— SEO Japan
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