先月、私はSMX Westの「Long-Term SEO: How To Win For Years, Not Days」(長期的なSEO: 数日間ではなく、数年間に渡って成功する秘訣)セッションに参加した。私は1995年から検索業界で働いており、現れては、消えていくSEOのトレンドや手法を間近で見てきた。また、その一方で、根本的な世界共通のコンセプトが、時間の経過と共に強くなっていく経緯も見てきた。
私が知りたかったのは、現在流行している戦略、そして、時の試練に耐えることが出来る戦略であった。ウェブページに関する情報の手掛かり、そして、内容に関するヒントを得られるのだろうか?リンクの獲得に力を入れるべきだろうか?そもそもこの戦略は維持可能なのだろうか?それとも、SEOの過去の遺物に成り下がってしまったのだろうか?
そして、検索エンジンのエキスパート、ダニー・サリバンが巧みに表現していたように、「常にアルゴリズムを喜ばせる試みを行っているのだろうか」?
これから、サステイナブル(維持可能)なSEOに関する、パネリストの見解を紹介していく。
Outspoken Mediaのリア・ドライズデールCEOは、「最初から最後まで、サイトを管理するのは自分次第だ。選択する戦略と手法…その全てが最終的に自分に返ってくる」と冒頭で発言した。
ドライズデール氏は、「ウェブサイトのオーナーは、短期的な「見せ掛けの目標」(個人的にこの表現を気に入っている)を掲げるのではなく、もしくは、リスクを評価せずに近道を選ぶのではなく、全体像にスポットライトを当てるべきである。ブランドに傷をつけないように注意し、リスクを関係者に伝えるよう心掛けるべきだ」と力説していた。
また、同氏は、「人間の行動が、アルゴリズムをアップデートさせる」と指摘していた。ドライズデール氏は、主張を裏付ける証拠として、マット・カッツ氏のブログに投稿された記事「SEO目的のゲスト投稿の腐敗と衰退」を挙げていた。
私は、数年前に行ったページランクスカルプティングに関する警告を思い出した。大勢の熱心なSEOの関係者やウェブサイトのオーナーは、SERPのビジビリティを確保するためには、手段を選ばない。長期的な視点で考えると、このような短期間の戦略は、有害無益となる。
TruliaでSEOディレクターを務めるマーク・マンロー氏は、長期的なSEOに総合的にアプローチする: 組織全体にSEOの情報を組み込み、ブランドの評判を高めていく。「リンクは消えるかもしれないが、評判は永遠に残る。」とマンロー氏は述べていた。
(過去、そして、現在の)ブランドの評判を築く方法を幾つか紹介する:
- リンクの交換とリンクネットワーク
- ウェブディレクトリと分野に特化したディレクトリ
- リンクの購入
- プレスリリース
- アーティクルディレクトリ
- インフォグラフィック
- ソーシャル
- コンテンツマーケティング
一部の戦略は既に廃れているものの、適切に実施すれば、検索エンジンのトラフィック、そして、信頼を得る方法として妥当であり、頼りになる。例えば、リンクの交換は、大昔のSEOの手法のように思えるかもしれない — スパム行為として、ペナルティーをもたらし、インデックスから排除される可能性がある。しかし、例えば、米国の家庭内暴力のシェルターがお互いにリンクを張った場合は、どうなるのだろうか?すると、家庭内暴力の被害者は、近いシェルターを見つけやすくなる可能性がある。
さらに、ドライズデール氏とマンロー氏は、プレスリリースがPR(パブリックリレーション)の手法として息絶えたとは考えていない。プレスリリースは、最適化の目標を支える効果のある配信手段である。要は、SEOの近道を適切な観点で考える必要があるのだ。
マンロー氏は、「最高のリンクは、頼んで、得るリンクではない。そのため、リンクを張りたくなる理由を作り出す必要がある。だからと言って、リンクを求める行為を慎む必要はない。リンクに値する優れたコンテンツを持っているなら、適切な人物に接触し、リンクを求めたって構わないのだ。リンクの自発性を維持し、アンカーテキストはリンクを張る側に一任しよう。」と呼び掛けている。
次にStone Temple Consultingのエリック・エンゲCEOが登場した。エンゲ氏は、「ターゲットのオーディエンスに信頼してもらうためには、オーディエンスのことを、オーディエンスのニーズ、考え方、サイトを利用する方法を理解しなければならない。」と指摘していた。
「SMX Westのキーノートで、アミット・シンガル氏が話していたように、Googleは、ユーザーに徹底的に焦点を絞っており、パブリッシャーにも同じ姿勢が求められる。今後の数年間において、どのような変化が展開されていくのか予測するのは難しいが、変化がやって来ることは間違いない。そのため、パブリッシャーもユーザーに焦点を当てる必要がある — Googleが探し出し、重視しているのはユーザーだからだ。これこそ堅実なSEOへのアプローチである。」
それでは、エリック・エンゲ氏による、長期的なSEOに関する気の利いた教訓をリストアップしていく:
- エキスパートになれないなら、諦める。中途半端な姿勢では、信頼を築くことは出来ない。
- 信憑性は誤魔化しにくい。
- 究極の差別化を試みる。お決まりのコンテンツでは、前に進むことは出来ない。
- リンクは結果であり、目標ではない点を理解する。
- 評判とブランドに(最優先課題として)力を入れる。自分に票を投じることは出来ない。
- プレスリリースの本当の価値: メディアに好奇心を持ってもらう。
- 自然に見えるのではなく、自然になる必要がある。
- 強固なソーシャルメディアの存在感は、内蔵型PRチャンネルに等しい。
- インフルエンサーは、反応を加速させる力を持つ。
- 他の人達のために問題を解決する行為こそが、エンゲージメントであり、この行為は記憶に残る。
- 良いリンクだと説明しなければならないようなリンクは、良いリンクではない。
- 管理する会社によって、自分の評価が決まる。
エリック・エンゲ氏は、この長期的な戦略を連動させる仕組みを図の中で分かりやすく説明している(下のSlideShareの30ページ目のスライドを見てもらいたい)。
「SEOは、ここ数年の間に大きく変わり、Googleがますます検索の品質を重視し、ナレッジグラフを導入し、そして、検索の質を改善するにつれ、変化はますます増えていくだろう。パブリッシャーは、SEO戦略を「現時点で効果のある取り組み」ではなく、Googleが「向かおうとしてい場所」に定める必要がある。その上で、ターゲットのオーディエンスの評判を築く取り組みこそが、最も有効である。」とエンゲ氏は主張している。
さらに、エンゲ氏は、質の高いサイトの条件に関して、マット・カッツ氏にインタビューを敢行している。このインタビューの中で、カッツ氏は次のように述べている:
評価を高める取り組みを行っているなら、適切なアクティビティを行っていると言えるだろう。これこそが、Googleが発見し、最も重要視することを望むシグナルである。
「SEOの情報を組み込む取り組みが、SEOのチームとなる。そこで、チームメンバー同士のコミュニケーションを促し、重役の支持を取り付け、グループ間の相乗効果を求めよう — ユーザー体験(UX)、インフォメーションアーキテクチャ(IA)、コンテンツの最適化、テクニカル等々」と言うマンロー氏の発言に全てが集約されている気がする。
そして、「全ての取り組みが連動する世界を私達は必要としている — その連係役を務め、メリットを得るのがSEOである。」とエリック・エンゲ氏は結んでいた。
長期的にSEOのトラフィックを得たいなら、力を合わせて、関係者全員(ブランド、ユーザー、そして、検索エンジン)がメリットを得られるように、同じ目標を目指す必要がある。
この記事の中で述べられている意見はゲストライターの意見であり、必ずしもサーチ・エンジン・ランドを代表しているわけではない。
この記事は、Search Engine Landに掲載された「Long-Term SEO: Sustainable Tactics, Strategies & Solutions」を翻訳した内容です。