現在のSEOは、かつてのように小手先のテクニックでどうにかなるわけではなく、質の高い記事の掲載が必須項目になっています。
日々、質の高い記事を執筆しているサイトは多いと思いますが、新規で作成するページではなく、古いページのアップデートも、品質向上における良い施策といえます。今回の記事は、過去の記事をアップデートする施策について、ニール・パテル氏が実データを交えながら解説してくれています
実際に行った施策内容を明らかにしてくれており、非常に興味深い記事です。
あなたのサイトへのトラフィックのうち、上位10ページが占める全体の割合はどのくらいだろうか。
おそらく、かなり大きな割合を占めていることだろう。
下記のスクリーンショットを見て欲しい。私のサイトの場合、上位10ページが全体の28.7%のトラフィックを占めている。
おそらくそれほど高い数字ではないだろう。
しかし、私のサイトには5,441ものブログ記事が投稿されている。言い換えれば、0.1%のページが、検索トラフィック全体の28.7%を作り上げているということになる。
特に小さいサイトの場合、サイト全体の検索トラフィックを上位10ページが占める割合は、高くなる傾向があるだろう。
この状況は何を意味しているのだろうか。
上位10ページのみに注力し、他のページは無視すれば良いのか。もしくは、新しいコンテンツを機械的に量産する方法に注力すべきなのか。
質は量を凌駕する
かつて、私は「多ければ多いほど良い」という考えを持っていた。毎週毎週、新しいコンテンツを量産していたのだ。1日で2記事を公開していた時期もある。
時間がたつにつれ、私のサイトへの検索トラフィックは伸びた。しかし、それほど大きな伸びではなかった。
私は多くの時間をブログ記事の執筆に割いていたが、公開した多くのコンテンツがほとんど上位表示されないことに気がついた。
そこで、私は何をしただろうか。
私は、古く、廃れたしまったコンテンツに注力し、検索トラフィックを上昇させることにしたのだ。
具体的な作業はこうだ。毎週、私は新しいコンテンツを1記事公開するようにした。しかし、私のチームに、平均で23の古いコンテンツをアップデートさせていた。
より頻繁に記事を書いていた時期では、上位10ページの記事が占める全体の検索トラフィックの割合は33%であった。
それ以降、私はサイト全体のトラフィックを107%上昇させ、上位10ページの記事への依存度を13%減少させた。
どのようにして実現させたか。すでに言及したとおり、私が新しいコンテンツの作成に注力している間、私のチームには古く、廃れたコンテンツをアップデートさせていたのだ。
下記に、実際に私のチームが行った内容をひとつずつ解説していきたい。
かつて評価されていたページを探す
Google サーチコンソールを使用すれば、かなり長い期間を遡ってデータを確認することができる。過去16ヶ月のデータを取得できるのだ。
まずは、現在のデータと、昨年の同月のデータを比較してみよう。
「日付」をクリックし、「比較」をクリックしよう。次に、古い期間を選択し(1年前とすべきだ)、今日の日付を選択しよう。
私はしばらくこの作業を続けた。古い期間との比較をすることで、私のチームが古いコンテンツをアップデートする前に、より良い対象を見つけることができるからだ。
上記を選択すれば、下記のようなレポートがでてくるだろう。
まず見つけたいコンテンツは、「かつては多くのトラフィックを得ていたが、現在のトラフィック数は少ない」というページだ。上記の画像からも分かるとおり、Instagramについて書いた私の記事は、昔は多くのトラフィックを得ていたが、今はそうではなくなっている。
ご注意いただきたいのが、私は古い日付を最初に選択している点だ。古いコンテンツのうち、どのコンテンツがかつては良い順位に表示されており、今は順位が下降しているかを把握するためである。
こうすることで、昔はGoogleから高評価を得ていたが、今はそうではなくなっているコンテンツを確認することができる。
次に、Googleから一度も高評価を得ていないコンテンツを探してみよう。
Googleから一度も高評価を得ていないコンテンツを調査する
サーチコンソールに再度ログインし、表示回数は高いが、クリック数は少ないページを探してみよう。
こうしたページを探す最も簡単な方法を紹介しよう。日付を直近28日間に設定し、表示回数、クリック数、CTRの各指標を確認するのだ。
CTRをソートし、昇順(最も低いパーセンテージが上位に、最も高いパーセンテージが下位に表示されるように)に並べ替えよう。
一般的に、このリストの上部に位置するページは、最もポテンシャルが高いページと言える。つまり、Googleはこうしたページを評価し、上位表示しているが、それに見合ったクリック数を獲得していないページとなるからだ。
こうした場合、単純なタイトルタグとメタディスクリプションが要因というわけではない。該当ページのコンテンツの修正が必要になるケースがほとんどだ。
では、高いポテンシャルを秘めたページのリストを作成してみよう。
改善施策に優先順位をつけよう
概して、最も高いポテンシャルのあるページは、「かつては上位に表示されていたが、現在は上位表示されていないページ」ということになる。
過去、Googleはこうしたページを評価していた。つまり、こうしたページに注意深く手を加えれば、再度Googleからの評価を高める可能性があるのだ。
次に高いポテンシャルのあるページは、「表示回数は高いが、CTRは極端に低いページ」となる。しかし、上記のグループのページに比べれば、優先度は低い。
こうしたページの修正は難しい。なぜなら、高いパフォーマンスを発揮した実績がないからだ。
古いコンテンツをアップデートさせる方法
アップデートの対象となるページに優先順位をつけることは完了した。次は、「かつては上位に表示されていたが、現在は上位表示されていないページ」の順位を改善する作業だ。
サーチコンソールにログインし、該当のページを探してクリックし、「クエリ」をクリックしよう。
上位5位に表示されていないキーワードや、表示回数が多いキーワードは修正の対象にふさわしい。記事内容が検索キーワードと関連しているか、確認しよう。
もし関連性が薄ければ、記事内容を修正し、最低でも該当のキーワードを含めることや該当するトピックを追加しよう。
すでに5位以内に表示されているキーワードについては、Ubersuggestを使用しよう。Ubersuggestに該当のキーワードを入力し、キーワードアイデアのレポートをクリックしよう。
レポート内には、該当のキーワードに関連するロングテールのキーワードが表示されているはずだ。
Ubersuggestで取得したロングテールのキーワードに合わせて記事を修正したり、そうしたトピックを含めたりことで、検索トラフィックの上昇が期待できる。
言い換えれば、すでにビッグキーワードで上位表示されていた場合、ロングテールでの上位表示の可能性も高くなる。
適切なキーワードを追加し、記事をアップデートしよう。全ての情報が関連していることを確認し、写真を最新のものに替えよう。マルチメディア(関連する内容のYouYube動画を埋め込むなど)も追加できるのであれば、ユーザーの滞在時間も伸ばすことができるだろう。
最後に、コンテンツをアップデートする場合、ターゲットとしているキーワードで上位表示されている他のページよりも、内容を圧倒することを心がけよう。
上記で説明したUbersuggestのキーワードアイデアのレポートを思い出して欲しい。レポートの右側に、該当のキーワードで上位表示されている他のサイトのリストがあるはずだ。
このリストを見ることで、それぞれの国で現在どのサイトが上位表示されているかを確認することができ、実際にそのWebページを閲覧することもできる。こうしたページよりも優れたページを作成しよう。
ユーザー指標
ユーザー行動は、Googleアルゴリズムの中でも最も大きな要素の一つだ。
古いコンテンツをアップデートした場合、ランキング上昇の手助けのために、ユーザーからのシグナルも最適化したいと思うはずだ。
ユーザー指標改善の良い例として、タイトルタグとメタディスクリプションの最適化が挙げられる。
例えば、Googleで検索した全てのユーザーが、1位に表示されているページではなく、2位に表示されているページをクリックした場合、それらの行動指標は2位に表示されているページはより関連性が高いということをGoogleに伝えることになり、結果として2位に表示されているページが1位に表示されるようになるだろう。
実際に、Googleはそうした変更を行っているはずだ。
魅力的な訴求文を作成でき、競合サイト以上に多くのユーザーがクリックしてくれれば、あなたのページが上位に表示されるようになるはずだ。上位表示を実現するためには、下記の2記事を参照して欲しい。
私は何年もタイトルタグとメタディスクリプションのテストを行っているが、下記のようなキーワードを含めるとCTRの増加を手助けすることがわかっている。
- 〇〇とは何か(What is)
- 最高の(Best)
- 驚くべき(Amazing)
- 【リスト】([lists])
- 〇〇の方法(How to)
- 無料(Free)
- あなた(You)
- ヒント(Tips)
- なぜ(Why)
- トリック(Tricks)
- 素晴らしい(Great)
Clickflowを使用してメタタグのA/Bテストを行うのも良いだろう。
再度宣伝することをお忘れなく
コンテンツは最新の内容になり、クリックを促すためのメタタグの最適化も完了した。次は、あなたのコンテンツのプロモーションを行おう。
「なぜ、古いコンテンツのプロモーションをするのか。」とお考えの方もいるだろう。
事実上、アップデートしたコンテンツは、もはや古いコンテンツではないのだ。
まずは、公開日、もしくは、最新更新日をWordPressでアップデートしよう。
こうすることで、あなたのコンテンツが更新され、より関連性が高まり、最新の情報になっていることを検索エンジンが知ることができる。
次に、記事のプロモーションを行おう。新しい記事を世界中に共有しない手はないはずだ。
最も簡単な方法は、ソーシャルでの共有だ。通常、私はFacebook、Twitter、LinkedInで共有しているが、あなたが活動しているソーシャルの中で何を選んでもよい。
Googleはソーシャルシグナルを見ていないが、Bingは見ている。加えて、ソーシャル経由であなたのページに訪問したユーザーがリンクを貼ってくれる可能性があり、それはランキングに影響を与えるだろう。
この施策をさらに進めたいのであれば、Meed Edgarをチェックしてみよう。私はこのツールを使用して、古いコンテンツのソーシャル共有のスケジュールを立てている。手動で作業を行う必要はなくなるし、リマインダーも設定しなくてよくなる。
ソーシャルでの共有に加え、あなたのオーディエンスにメールを送付しよう。
トラフィックの早急な獲得と古いコンテンツに新しい息吹を与えるための素晴らしい方法だ。
下記に私が使用しているサンプルを記載するので、参考にしてほしい。
タイトル:全く新しいブログで6ヶ月以内に1万流入を得る方法
仮に、トラフィックを獲得するための100個のすべきことを伝えたところで、あなたは実行してくれないはずだ。
私だってしたくない。することとしては多すぎるからだ。
簡潔に物事を行う精神のもと、これだけ(記事へのリンクを貼る)を行って欲しい。さすれば、1万流入を獲得できるだろう。
こちらに書かれていることを実践しても1万流入を得られなかった場合、無料であなたの手助けをすることを約束する。
そう述べるまでに、私はこの記事に対する自信がある。
ニール・パテル
単純なテキストベースのメールにすれば、開封率は30%上がり、クリック率も6%上昇している。悪くない結果だ。
また、Subscribersのようなツールを使用すれば、プッシュ通知を送ることもできる。下記は私の記事をプッシュ通知した際の結果だ。たった1回のプッシュ通知で7,000流入を追加で獲得できている。
(ホワイトな)リンクビルディングを忘れてはならない
最後のステップは、リンクビルディングだ。Backlinksを使用して、競合の記事へリンクしている人を探し出そう。
競合ページのURLを貼り付け、ドロップダウンメニューから”URL”を選択すれば、該当のページへリンクを貼っているサイトを確認することができる。
これらのサイトに連絡を取り、自身のページへリンクを貼ってくれることを依頼しよう。
最も簡単な方法は、スカイスクレイパー・テクニックを使用することであり、その方法はこちらの記事に記載されている。
参考記事:スカイスクレイパー・テクニック。14日間で検索トラフィックを110%増加させた、リンクビルディングのケーススタディ(SEO Japan)
結論:古いコンテンツのアップデートに時間を費やそう
作成した記事数が150ほどになったら、新しいコンテンツの作成だけでなく、多くの時間を古いコンテンツのアップデートに費やすべきだ。
1,000ページ以上のサイトの場合は、80%以上の時間を古いコンテンツのアップデートに費やしたほうがよい。
古く、廃れたしまったコンテンツのランキングを上昇させるためには、かつては上位表示されていたが、今は上位表示されていないコンテンツから注力すべきだ。
こうしたページをアップデートすれば、1ヶ月~2ヶ月ほどで結果が出てくるだろう。その後、表示回数が高く、CTRが低いコンテンツに着手すればよい。
古いコンテンツのアップデートか、新しい記事の作成か、あなたの時間をどちらに費やすかを判断しよう。
バックリンクの獲得がSEOの最も重要な施策である時期が過ぎた後、コンテンツへの注目が高まり、多くの記事を量産するサイトが散見されました。
しかし、量産された記事の品質は低いことが多く、期待した通りのパフォーマンスにならないケースも多かったと思います。
言うまでもないことですが、現在のSEOではユーザーに目を向ける必要があり、コンテンツの質も向上させなければなりません。新鮮な情報を掲載した記事は重要ですが、過去に作成した記事のアップデートも、品質向上における重要な施策です。
自身のサイトの”資産”を有効活用するため、過去記事のアップデートにはぜひ取り組んでいきましょう。