私は「エンタープライズレベルの検索マーケティングチームを結成」に関する二部構成のコラムを始めた。 パート 1は、SERPで上位にランクインする上で、足を引っ張りかねない技術的な要素、そして、編集上の要素を含め、SEOにとって重要な要素を振り返ったところで終わった。
私の推薦に従っているなら、評判の高い検索リーダーを雇用し、チームメンバーを選び、レポートが認められ、そして、検索部門は、他の社内の部門と連携が取れている状態になっているはずだ。
パート 1では、SEO部門の理想的な構造 — SEO部門が形成された際に、担当する職務に関する重要な要素を指摘した。しかし、パート 2では、有料検索、ソーシャルメディア、そして、第三者ベンダーを異なる視点で説明していく。
有料検索とソーシャルメディアキャンペーンは、各種のキャンペーン管理ソフトウェアを使って、巧みに管理していくことが可能だが、ここでは、キャンペーンの管理と責任に関しては、割愛させてもらう。
それよりも、第三者のベンダーの採用に関する見解を含め、このようなチャンネルにおいて、ビジネスを成長させる際に検討してもらいたい、実証済みのレベルの高いテクニックを挙げていく(こちらの方がより重要度は高いと言えるだろう)。パート 2では、職務を説明する形式を取らずに、レベルの高い、売上げに、そして、純利益に漸進的な増加をもたらすためのテクニック、そして、例を幾つか提供していく。
最初の大きな問題: 有料検索の管理
有料検索キャンペーンの管理は、仲介に似ている。
有料検索チームは、検索予算の大部分をコントロールすることが多く、アドワーズのキャンペーンのみに力を入れる傾向が見られる。この予算は、制御がきかなくなることがあり、SEOとローカルとソーシャルとモバイルへの投資が合わせて5万ドル/月の状況で、あっと言う間にアドワーズに35万ドル/月を投じてしまう。
経験上、検索部門で長期的に効果のあるROIを実現するには、この割合を逆にした方が良い。有料検索の取り組みは、短期的な収益の目標達成には貢献するものの、SEO、ローカル、ソーシャルメディア、そして、モバイルへの投資は、今後、多くの収益を得られる効果が見込める。
ゼロからスタートするなら(割合としてはごく僅かだとは思うが)、予算の割合を管理し、コントロールしやすい状況にある。しばらくの間、有料検索キャンペーンを実施しているなら、– とりわけ、予算が先程挙げた予算の割合のように、バランスが取れていないなら、もう一度金額を確認した方が良いだろう。
収益に関するスプレッドシートを比較すれば、SEO、ソーシャル、ローカル、そして、モバイルもまた、検索の予算に対して、良好な見返りを与えることが分かるはずだ。パフォーマンスに応じて予算を振り分けるべきである。SEOが右肩上がりで伸びる一方で、有料検索が、横ばいの状態になっているのではないだろうか?
過去の経験に基づく例を挙げる: ある企業は、有料検索に年間2000万ドルを費やし、1億ドルの利益を得ていた(素晴らしい)。一方、SEO、ローカル、ソーシャル、そして、モバイル部門は、100万ドルの予算を得るのがやっとの状態であったが、1000万ドルの利益をもたらしていた(パフォーマンスとしては、こちらに軍配が上がる)。
各チャンネルのパフォーマンスを参考にして、私達は有料検索の予算を50%減らし、7500万ドルの利益を得た(ROIは大きく改善された)。そして、SEO、ローカル、ソーシャル、そして、モバイルへの投資を1000万ドルに増やし、1億2500万ドルの利益を獲得した。
このように、2100万ドルの資金を投じて、1億1000万ドルの収益を得ていた状況(1ドルの投資につき、5.24ドルの利益)から、2000万ドルを投資して、2億ドルの収益を得る状況(1ドルに対して、10ドルが返ってくる計算)に改善したのであった。明らかに、企業全体にとって、プラスに働いていることになる。
検索ディレクターは、検索チームを全体として考えながら、個々のパフォーマンスに応じて、各チャンネルに予算を配分していく必要がある。自己満足やエゴを優先する余裕はない — 全員が会社全体の利益を考慮しなければならない。通常、有料検索は「最適なチャンネル」ではなく、そのため、予算全体の大部分を配分するべきでない。
ソーシャルメディアの要点
SEOとソーシャルメディアは、ホットケートとシロップのように、相性が良い — 検索エンジンの大好物である。2010年12月に時計の針を戻すと、グーグルが、ソーシャルサイトのデータをランキングシグナルとして利用していると、マット・カッツ氏が動画の中で明らかにしていた。その後も、グーグルは、積極的にソーシャルシグナル(動画)をランキングアルゴリズムに導入していった、と見て間違いないだろう。このソーシャルシグナルには、シェアの数、いいね!の数、+1の数、ツイートの数、そして、リツイートの数等が含まれると見られる。
先日のブルームバーグ TVのインタビュー(動画)で、グーグルのリード検索デザイナーのジョン・ワイリー氏は、グーグル検索の15%は、ソーシャル関連の用語やクエリであり、状況が大きく変わっていると話していた。 ウェブは巨大であり、グーグルは、30兆もの個別のアドレスを探し出し、1日に200億サイトをクロールし、毎月、1000億の検索を処理していると主張している。
グーグルだけで、昨年、500億ドルの売上げを獲得し、そのうちの87%が検索に関連していたことを考慮すると、今まで見たことがない15%の検索に答えるため、検索エンジンが、全力で取り組むのは、当然と言えば当然である。
検索、ソーシャル & セマンティックウェブ
ここで、検索とソーシャルがセマンティックウェブに出会う。検索クエリの意図を理解し、ユーザーの意図に自信を持って結果を明確にマッチさせる取り組みを、セマンティック検索と呼ぶ。
コンテンツで使われる限られたキーワード以外を理解してもらうため、ツイッター、フェイスブック、そして、グーグル+等のソーシャルメディアで、明白な手掛かりを残す必要がある。ブランド、ウェブサイト、製品、そして、サービスに関する会話や雑談を作り出す必要がある(例えば、特売、クーポン、プロモーション、コンテスト等を通じて)。
ソーシャルシグナルは、どう考えても強力である — 多くのウェブサイトのビジターは、コメント、レビュー、いいね!、シェア、再シェアを介して、サイトと交流している。これが、セマンティック検索を通して、関連し、再び結びつく、多くのつながりを生み出す。検索、そして、ソーシャルメディアのデータが全てのつながりを結びつける仕組みを深く理解している、ソーシャルメディアチームとマーケッターは、検索のビジビリティを最大限に高める取り組みに最も向いている。このチームは、キーワードよりも遥かに強力な、具体的なトピックに関連するSERPで、ウェブサイトを上位にランクインさせることが出来る。
モジではなくモノを意識せよ
調査をほとんど行わなくても、ある結論が導き出される。2012年5月16日に投稿された「ナレッジグラフの導入:モノを認識する検索エンジンに向けて」を読むと、グーグルが、キーワードから距離を置き、現実の世界の「モノ」、そして、「モノ」の間の関連性を理解することに力を入れている点が分かる。ソーシャルメディアは、この方針において、明らかに大きな役目を担っている。
このデータで武装すると、検索ディレクターとソーシャルメディアマネージャーは、検索エンジンに統合する全ての要素を用いて、とても効果的なソーシャルメディア計画を立案することが可能になる。
ベンダーに注意: 危険区域
テレビ番組のドッグ・ウィスパラーでは、ドッグトレーナーのシーザ・ミラン氏が、噛みつく犬を「危険区域」の犬と呼んでいた。第三者ベンダーを選択する際は、ミラン氏に倣い、危険区域のベンダー、つまり噛みつくベンダーに注意してもらいたい。
オンラインマーケティングエージェンシー、検索エージェンシー、SEMツールのプロバイダー、SEOプラットフォーム、検索アナリスト等、検索のベンダーは多種多様である。ベンダーは、様々な姿形をしている。その中には、騙すことに長けたベンダーも混じっている。
私は大勢の優秀な人達と仕事をした経験があるが、残念ながら、日常生活にも言えるように、その知性を悪用する人達が中にはいる。検索のベンダーを選ぶ際は、細心の注意が必要であり、ここで真価を発揮するのが、検索リーダーである。検索リーダーは、経験を豊富に持っており、業界内の信頼のおけるベンダーのネットワークを心得ている。
絵に描いた餅を追いかける危険区域のベンダーを退ける一方で、ニーズと欠点に関して、成果をもたらすことが出来るベンダーを迎えたいところだ。
第三者ベンダーを選ぶ際は、セキュリティ、サイトのスピード、そして、グーグルが策定するルールの順守、の3つのポイントを考慮する必要がある。この3つのポイントに関しては、今まで以上に社内のスペシャリストが入念に検査し、ブランドとウェブサイトの評判を守る必要がある。
危険区域のベンダーは、グーグルのウェブマスターガイドラインを違反する可能性がある。ベンダーがホワイトハットな手法の利用を怠ったため、先日のペンギンおよびパンダアップデートで、多くのウェブサイトが打撃を受けていた。実際にいくつのサイトがペナルティーを受けたのかは分からないが、ペナルティーを解除する取り組みに長けた友人は、最近、多忙を極めている。
また、グーグルのルールに従っていたものの、グーグルがルールを変えてしまう状況を経験したこともある。そのため、グーグル、ヤフー!、そして、ビングの毎月の変更に全力で対応しなければならない。この領域に関しても、優れた検索リーダーがいると安心である。
最後になるが、ネイティブの最適化に勝るものはない点を肝に銘じておいてもらいたい。自分のドメイン/サブドメインでコンテンツの管理/配信する方針が正解だ。そのため、知識、テクノロジー、または、コンテンツを、ネイティブのサイトに反映することを受け入れてくれるベンダーを探すべきである。検索エンジンをネイティブのドメインから移動させ、第三者のコンテンツを持ち出す、埋め込みウィジェット、リダイレクト、そして、プロキシページをはじめとする手法の利用は避けよう。
これは個人的な感想だが、現在、グーグルは、第三者のプロキシページ、つまり、主要のドメイン(クライアント)が所有していない、あるいは、提供していない、SEOでランキングを高めるためのページを認めているような気がする。グーグルは、すべてのサイトではなく、恣意的に一部のサイトでのみこのページを許可しているように思える。しかし、このルールが覆され、第三者のコンテンツに依存しているウェブサイトのSEOが、役に立たなくなる日がやって来ると私は推測している。自分が所有していないアセットであり、今後のアルゴリズムの変更に左右されるアセットに、わざわざ資金を投じる価値はあるのだろうか?長期的な視点で考えると、割に合う取引だとは私には思えない。自分でコンテンツを作り、自分のドメイン、または、サブドメインから配信するべきである。
結論
全体像を分かっている検索リーダーを雇用し、強固な検索部門、そして、インハウスSEOチームを形成しよう。コアの管理者の階層を構築し、検索部門とその他の関係する部門との協力体制を作るべきである。そして、ウェブサイトのSERPのランキングに影響を与える、技術面および編集面での要素を含む、あらゆるSEOの要素に従うと良いだろう。また、有料検索とソーシャルメディアの要素に対応し、第三者のベンダーを採用する際は、細心の注意を払う必要がある。
この記事の中で述べられている意見はゲストライターの意見であり、必ずしもサーチ・エンジン・ランドを代表しているわけではない。
この記事は、Search Engine Landに掲載された「Building An Enterprise-Level Search Marketing Team: Part 2」を翻訳した内容です。