多くの屋外広告板は嫌われる対象であり、“空のクズ”や“枝についたゴミ”や“アメリカ高速道路のジャンクメール”のような軽蔑的なニックネームに値するが、ほんの少しの創意工夫とユーモアが贖罪に大いに役立つことがある。ここで紹介する革新的な3D広告板は、全てユニークな方法でその環境を利用している。それらは、人目を引き、クリエイティブで、記憶に残り、見ていて面白い。何が悪いというのか?
15. Nationwide Insurance
広告キャンペーンの中でも、保険を販売しているもの以上に退屈で嫌がられるものはあまりない。人々は単にそれについて考えたくないのだ―誰も彼らを責めることはできない。このことが自然と広告を保険会社にとって説得し難いものにするが、2007年、National Insuranceが堂々たる態度で粋な挑戦をした。その結果が、ユーモアとしゃれた様式で自らのメッセージを効果的に伝えたこの12階相当の屋外掲示板だった。“運命はものすごい速さであなたに襲い掛かる!”
この会社の海外本社近くにある人目を引くアトラスビルに取り付けられたこの広告は、オハイオ州のダウンタウン・コロンブスの目立つところにあった。この交通妨害物の仕掛け人はTm Advertisingだ。横に並んだ塗装会社“広告”は、実際は存在しない会社のもので、Nationwideのキャンペーンの一部だったということも注目に値する。
14. Powerhouse Gym
建築現場は屋外広告板にとって最も洗練された場所ではないかもしれないが、この場合は、場所と画像がいかついハーモニーで連携して、完璧な―さらにはかなりパワフルな―メッセージを届けている。高くそびえる2つのクレーンを使用しているのだから、これは史上最も恐ろしいケーブルフライエクササイズかもしれない!この屋外広告は、アートディレクターMichael Griffith監修の下、Savannah College of Art and Designが作成した3つのシリーズのうちの1つで、2008年に開始された。
13. Oldtimer
トンネルサイズの口に入っていくというのは、間違いなくあなたの注意を引く。そして、あなたに間食について考えさせるということは言うまでもない!この屋外広告はウィーンを拠点とする広告エージェンシーDemnerとMerlicekとBergmannが、オーストリアのパーキングエリアのフランチャイズOldtimerのために作ったものだ。このキャンペーンは、2007年に放たれた。
このような想像力に富んだ屋外広告デザインには利点が数多くあるが、一般には、全ての企業が屋外広告のアイディアに夢中なわけではない。インターネットマーケティング会社のMarketing Scoopによると、屋外広告会社は3か月契約を使用することが多く、そのことがもっと頻繁に広告を変える企業にとって屋外広告を理想的ではないものにしている。さらにMarketing Scoopは、屋外広告を車で通過する人々がそれらを読む時間は平均しておよそ3秒しかないと見積もっている。それは、メッセージを理解させるには十分な時間ではない。
12. Law & Order
このLaw & Orderの屋外広告は、シンプルで、賢く、効果的だ。デザインに合うライトを組み合わせて、その環境を完璧に活用した。夜ここを通り過ぎると、この3Dの取り調べが、これが見逃すべきではない番組であるというパワフルで魅惑的なメッセージを直ちに届ける。
巧妙なひねりとほんの少しの創造的思考により、この広告は、“視覚公害”を超えた興味をそそる方法で番組の本質を具体化している。オークランドを拠点とした受賞歴のある広告エージェンシーColenso BBDOによって作られた。
11. Coca-Cola
コカ・コーラは、クリエイティブできわどい広告キャンペーンを実施することでよく知られている。そして、2010年カナダ全域で実施された大きなキャンペーンの一部であるこの屋外広告も例外ではない。間違いなく、ストローが、平凡になりがちなポスターにイマジネーションとユーモアを与えている。それこそが、私たちが既成概念にとらわれないと呼んでいることだ!トロントを拠点としたカナダのエージェンシーMacLaren McCannがこの広告をコカ・コーラ・カナダのために作成し、スローガンが提案するようにリフレッシュしている。
10. Panasonic
Saatchi & Saatchi Indonesiaによって作られたこの愉快なPanasonic製Nose Hair Trimmerの広告は、他のどんなメディアとも異なる。大部分の企業は、大通り沿いや特定の出口の前など、どこで自分たちの屋外広告が最も影響力を持つかを考える。しかし、クリエイティブなディレクターJuhi Kaliaとそのチームは、さらに先に進んで“カスタマイズした配置”のアイディアを全く新しいレベルへと持って行った。自分の手の中にあるものを使って取り組むということだ!そして、我々の意見では、その視覚的インパクトは飛躍的だ。
2003年の調査では、定期的に屋外広告板を使用する企業は、屋外広告が禁止された場合には利益の平均20パーセントを失うことが予測されると主張した。また、自分たちがメディアを好むのは、それが異なるエリアの特定の顧客をターゲットにすることを可能にするからだとも述べた。そしてもちろん、屋外広告板も企業のビジビリティを促進する。
9. The Economist
イギリスを拠点とするエージェンシーAbbott Mead Vickers BBDOは、2004年、The Economistのために、この新聞の半年ごとのポスターシリーズの一部として、このインタラクティブな広告を作成し、賞を受賞した。巨大な電球にはセンサーが埋め込まれていて、誰かがその下を歩くとスイッチが入るようになっていた。
The Economistのキャンペーンは、自分達の読者が大部分の人よりも知的であることを前提としているため、通常その広告はとても理知的で時には理解するのが難しいこともある。2004年のBBCの記事によると、1984年にキャンペーンが開始されて以来、この新聞の発行部数は70,000部から500,000部に増加した。そして、20年以上にわたって、彼らが同じ広告を二度使用することは決してなかった。
8. TV2 – Kill Bill: Vol. 1
2008年、Kill Bill: Vol. 1のTV2プレミアの前にオークランドで最も交通量の激しい交差点の1つに置かれたこの一切れのグラフィック広告は、フォーラムやブログやウェブサイト上に姿を現した時にはねつ造であると疑われた。しかし、本当に、血しぶきをあびた撮影用の車なのだ!
Saatchi & Saatchi New Zealandがこのポスターを作成した。それは確実に人目を引き、広告板からニュージーランドの交通へと飛び出している。驚いたことに、TV2は政府が所有する放送局である!
7. Anando Milk
クリエイティブなディレクターPK Anilが指揮を執り、McCann Ericksonのムンバイチームが2008年6月にAnando MilkのSuperhumanキャンペーンのためにこの広告を作成した。Anando Milkのライバルは、ジュースとエナジードリンクをクールなものとして描写していたため、この会社はミルクに改革を行うことに決めたのだ。
この受賞歴のある広告は、子どものイマジネーションとファンタジーと張り合って、彼らが飲むのはつまらなくてもしかすると赤ちゃんのためのものだと思っていたかもしれない飲み物に対する異なる視点を提供している。このアイディアは、素手でビルそのものを動かすほどの強さまでにミルクの力を飾り立てることだった。小さな少年ならこれをやってみたいだろう?
6. Johnson & Johnson – Tylenol
割れるように痛む頭痛に陥りやすい人は、男性の前頭部に埋め込まれた鉄球の破滅的画像に共感するに違いない。カナダのエージェンシーJWT Torontoが、2008年にこの素晴らしい屋外広告をJohnson & Johnsonの鎮痛薬ブランドTylenolのために作った。そして、このクリエイティブなチームは、リアリズムを追加するために3Dのクレーンを使って効果を完璧なものにした。
この屋外広告板はトロントの活気あふれるDundas Squareに設置された。そのメッセージは単刀直入でシンプルではあったが、この広告は記憶に残り、要点を得ていて、ユーモアがあった。自分の会社を目立たせるのは難しいが、この手のクリエイティビティは大きな役割を果たす。
5. Martor Solingen
このクラシックな屋外広告板では、ナイフのスペシャリストMartor Solingenが、自分たちの刃は飛んでいる鳩を簡単に真っ二つに切断するほど鋭いのだと主張した(どちらかというと残忍に)。鳩を切断することはそれほど困難ではないと思うかもしれないが、この刃の鋭さは、切断された岩をフューチャーした後のキャンペーンによってさらに力説されたのだ!Forst an der Weinstraseを拠点とする広告エージェンシーVenividiがこのむごたらしい広告をデザインした。それは、とても賢く、記憶に残るもので、口コミで広まりそうである。そして、広告では、もちろんのこと、消費者の記憶に長く残る能力が重要なのだ。
4. FedEx
この写真では、雨が降っている環境がこのシンプルだがクリエイティブなFedExの屋外広告板―リアリズムを添えるために偽の飛び散った泥を備えた―に完璧な背景を提供する。この広告は、2009年にマニラを拠点とする広告エージェンシーBBDO Guerrero/Proximity Philippinesによって作られ、フィリピンのモンスーンシーズン中にローンチされた。交通量の激しい道路の横に置かれたこの広告は、人目を引くクリエイティブな野外の広告のこととなると、ロケーションの果たす重要性を強調している。メッセージは明確だ:雨が降ろうと、お天気だろうと、泥がはねようと、FedExが優先することは、あなたの荷物の安全です!
3. Bic Razors
背景にある白い広告板は人目を引くものでもカラフルでもないが、その空白のキャンバスが目の前にある芝生を刈っている巨大なカミソリに注目を集める。唯一の欠点は、Bic(または彼らの広告エージェンシー)が、この効果を維持するために芝刈り機を操る人を送り込むことを強いられたに違いないということだ!どちらにせよ、この巨大でユーモアのある屋外広告はかなり効果的で、通常のカミソリの広告の考え方に斬新さを与える。さらに、それは目立つし見たままであるため、車に乗って近づいてくる人達はそれが何のための広告であるかすぐに分かる。私たちの唯一のアドバイスは、ブランド名がもっと読みやすかったら、この会社にとってもっと有益なものになったかもしれないということだ。
2. Belt Up
巨大なパチンコを投げつけられるのは痛いと思うのなら、車の後部座席に乗っている時にシートベルトを締めるかどうかを考え直す時かもしれない。オーストラリアのエージェンシーClement BBDOによって作られたこの効果的な3D屋外広告板は、ただ人目を引くだけではない。そのシンプルなコンセプトが強力なメッセージを送る。あなたのことは分からないが、もし私たちが後部座席の乗客としてこの屋外広告板を通り過ぎて、“後部座席がより安全なわけではない”というこの率直なメッセージを読んだら、急いでシートベルトを締めるだろう!
1. Denver Water
コロラド州デンバーを拠点とするエージェンシーSukle Advertising and Designが、2008年にこの賢い3D屋外広告板を作成した。Sukle によると、Denver Waterは魅力的な屋外広告でかなりの評判を打ち立ててきた。そして、この広告もそれにぴったりと当てはまる!2012年のDenver Postの記事に書かれていたように、Denver Waterの想像力豊かなキャンペーンは、過去10年間にわたって大きな影響を与え、デンバー住民の水道使用を1人当たり1日104ガロン(2001年)から1日85ガロンにまで減らすのに役立った。それは、効果的な広告が地球を救うのにさえ役立つ強力なメッセージを送ることができるということを示している。
この記事は、Business Punditに掲載された「15 Traffic-Stopping Three-Dimensional Billboards」を翻訳した内容です。