懐かしい話をしよう。SEO業界の有名人、ランド・フィッシュキン氏は、2005年に「Search Ranking Factors」(検索ランキングの要素)調査を立ち上げ、2年に1度のペースで、スタッフを交えて、鋭い見解を提供してきた。
8年間を通じた変化を見ていくと、面白いトレンドが浮かび上がってくる。経営陣または投資家に対して、SEOへの投資の必要性を説明することに苦労しているなら、過去を遡った見解が、役に立つ可能性がある。
簡単に背景を説明
誤解しないでもらいたいことがある。この調査には、1年分だけでも大量の情報が詰め込まれており、5年分の調査を簡潔にまとめる取り組みは、大変な労力が要求される。そのため、これは包括的な概要ではなく、「ハイライトのハイライト」と考えてもらいたい。
この調査では、一流のSEOのエキスパートが、様々なSEOの要素のインパクトを点数で評価している。対象となる要素は2年おきに改訂され、改善されているため、調査と調査を直接比較することは、不可能である。そこで、私は2011年と2013年に加えられたデータの相関関係ではなく、調査のデータ自体に注目した。
Mozの取り組みに固執する記事を作成することで、幾つかリスクが生まれる。まず、私がイメージギャラクターのように見えてしまう。しかし、保証しよう。これは広告目的の記事ではない。事実、SEO関連の情報は、Mozだけではなく、様々なサイトから仕入れている。次に、フィッシュキン氏から金銭が供与されているように思われる可能性がある。念のために言っておくが、その気があるなら、いつでも歓迎する。
控えめな見解: 2005年 & 2007年
Moz.comでは、2005年と2007年版のオリジナルの「Search Ranking Factors」調査を見つけることが出来なかった。しかし、Archive.orgで粘っていたところ、情報を見つけることに成功した。SEOの歴史が好きなら、このページをクリックして2005年版を、そして、このページで2007年にアップデートされたバージョン2に目を通してもらいたい。
フィッシュキン氏が、2005年に671名がdel.icio.usでタグ付けし、「精力的にアップデートされた」VaughnsのGoogleのランキング要素リストに肉薄していることを喜んでいる姿を見て、思わず笑ってしまった。今なら、671回シェアしてもらうまでに2分間もかからないだろう。
2005年の調査には、12名の寄稿者(+ フィッシュキン氏)のみが参加していたが、2013年には120名以上に増えている。しかし、初回の調査では、今でも十分に興味深いデータが提供されている。2005年に特定されていた特に重要なランキング要素を以下に挙げていく:
- タイトルタグ
- リンクのアンカーテキスト
- 文書内で利用されているキーワード
- 文書のアクセシビリティ
- サイト内部のページから文書へのリンクの本数
- サイトの主なトピック
- リンクを張るページへの外部リンクの本数
- トピックのコミュニティでのサイトの人気度
- サイトの広範囲でのリンクの人気
- キーワードのスパム行為(「害をもたらすランキング要素」)
No.2「リンクのアンカーテキスト」を除く、全ての要素は、今でもある程度な重要な要素として健在である。
また、現在も、タイトルタグに注意する方針は、とても有効であり、キーワードスパムは慎むべきである。このデータに対して、「SEOが常に変化している」ことを示す、励みになる見解だと認識する方もいるかもしれない。しかし、2005年の時点で、今も尚、重要視されている「変わらない」トレンドが現れている — それは、適切なコンテンツ & 適切なリンクだ。
2007年版の上位の要素では、新しい要素が加わり、また、一部の要素に対して、変更が加えられたり、具体的に示されており、若干の変化が見られる:
- タイトルタグ内のキーワードの利用
- サイトの広範囲でのリンクの人気
- 被リンクのアンカーテキスト
- サイトの内部リンク構造でのリンクの人気度
- サイトの年齢
- サイトへの被リンクのトピックの関連性
- トピックのコミュニティでのサイトの人気度
- 本文のテキストでのキーワードの利用
- リンクを張るサイトの広範囲でのリンクの人気度
- サイトへの新しい被リンクの割合
リンクに関連する要素が、上位の大半を占めている(Wiepのリンクの価値の要素に関する調査も併せて紹介している)。これは、SEO業界自体が、生まれてから間もなく、有効な手法と無効な手法に関して、様々な考えが存在した時代に、SEO業者に対して、初めて示された有益なアドバイスであった。
このバージョンも、完全一致のアンカーテキストが有効であった時代を反映している。しかし、言うまでもなく、この数年後、Googleが質の低いリンクを取り締まり、完全一致のアンカーテキスト頼みのサイトは、しっぺ返しを食らうことになった。
2009年、2011年 & 2013年: 新たなトレンドが現れる
Mozは、2009年以降の調査を誇りに思っているようだ。2009年、2011年、そして、2013年の調査はMoz.comで簡単に見つけることが出来た。
2009年版、2011年版、そして、2013年版の調査の形式は、過去の調査の形式から大幅に進化している。2009年の調査を最後に、総合的なランキング要素のリストが姿を消した。また、2009年版では、トップ 5のみが取り上げられている:
- 外部リンクのキーワードに焦点を絞ったアンカーテキスト
- 外部リンクの人気度(外部リンクの量/質)
- リンクのソースの多様性(固有のルートドメインからのリンクの本数)
- タイトルタグ内のキーワードの利用
- 信頼されているドメインからリンクの距離に基づくリンクの信頼度(例: TrustRank、Domain mozTrust等)
このデータは、当時、リンク構築が到達した熱狂的なレベルを反映している。このデータを見たら、方法が何であれ、誰でもリソースの大半をリンク構築に注ぎたくなるはずだ。
ドメインレベルでのリンクのオーソリティの基準
リンク構築の要素を具体的な領域に絞ると、面白いトレンドが幾つか見えてくる。 例えば、ブランドに関する事項は、2009年には全く触れられていない。しかし、この調査がリリースされる6ヵ月前に、ヴィンスアップデートの導入が行われていた。しかし、2011年、サイトのリンクプロフィールにおけるブランドの用語の割合は、ドメインレベルでのリンクのオーソリティの基準で8位、そして、2013年には6位に順位を上げていた。
また、ドメンイレベルでは、信頼性 vs 量に関するトレンドが新たに表れていた。2009年、被リンクの信頼のレベルは、ドメインレベルでのリンクの基準で1位に挙げられていた。2011年では3位、そして、2013年では2位であった。しかし、2011年と2013年の調査では、「固有のリンクを張るドメインの量」は、当時、そして、今でも、ドメインのリンクプロフィールの基準として、最も重要視されている。
しかし、ペンギンアップデートが行われ、ペナルティーを受けるサイトが続出しており、このデータは、直観とは相容れない結果となっている。事実、マット・グラット氏による2013年のレポートでのコメントは、上位の調査の結果を疑問視していた — 「Googleは、リンクの量を今まで以上に軽視しているように見える。その結果、重視されるリンクを獲得するインパクトが、さらに大きくなっているような気がする。」
また、リンクの多様性が、2009年の3位から、2011年と2013年には8位に順位を落とす中、トピックに関連するリンクの重要性は、上位を維持していた。
ページレベルでのリンクベースの特徴
完全一致のアンカーテキストは、どのように衰退していったのだろうか。2009年と2011年では1位に輝いていたものの、2013年には13位に大幅に順位を下げている。2013年のリストにいまだに残っていることが意外であったが、今も健在である — 事実、現在でも、完全一致のリンク構築を大々的に行うエージェンシーから距離を置こうとするクライアントに出会うことがある。
再び、「ページに対してリンクを張る固有のドメインの数」が2位に君臨し、シンプルな人気の重要度が浮き彫りになっている。リンクのトピックの関連性は、2009年の6位から、そして、2011年の7位から、2013年には3位に順位を上げており、注目に値する。しかし、このカテゴリーで特に影響力の強い要素の表現に最大のトレンドが反映されている。
2011年、5つの重要なページレベルでのリンクの要素には、軒並み「量」と言うワードが用いられていた。2013年になると、トップ 5には「多様性」、「量」、「トピックの関連性」、「多様性」、そして、「量」と言うワードが並んでいる。量は2013年でも重要視されているものの、その他のリンクの要素も重要と見なされるようになり、ハミングバードによってリンク構築がどのように変化するのか、そして、リンクの本数が、ランキングに今後も大きなインパクトを残すかどうかが問われるようになった。
ソーシャルの計測基準(ページレベル)
ソーシャルの分野に注目せずに、この記事を終えることは出来ない。2011年は、Twitterがソーシャルを制覇しており、この調査のソーシャルの基準を圧倒していた。2013年、Twitterに代わって、Google+が、調査結果を独占していた。
ただし、どう考えても、SEO業界は、検索へのソーシャルのインパクトを推測する取り組みを苦手にしている。例えば、2011年は、調査の参加者によると、Twitterの独り勝ち状態であった。しかし、同じ調査の相関関係のデータは、Facebookの要素が最も影響力が強いと示唆している。 そして、2013年、大勢のSEOのエキスパートが、Google+がランキングに多大な影響を与えると考えていた。しかし、Google自体は、何度もこの指摘を否定していた。
2013年版の調査での2点のコメントに、ソーシャルの現在、そして、未来への影響に対する、SEO業界の不安が集約されている気がする:
ハンナ・スミス氏: 「申し訳ないが、ページレベルのソーシャルの基準が、アルゴリズムで役割を果たしている、と言う指摘を受け入れられるだけの証拠を私は見たことがない。」
トッド・マリコート: 「Googleが、Google+を利用をさらにプッシュし、Google+のネットワークが大きくなると、そして、重要な関連性のデータの源として、信頼することが出来るようになると、さらに多くのソーシャルシグナルをグーグルは採用するようになるのではないだろうか。」
不透明な未来
ソーシャル、さらには、リンクでさえ、ランキングに影響を与えるのかどうか、今でも明確な答えは出されていない。リンク構築は、かつて、SEOの基本戦略であったが、一部の人達にとっては、一日も早く忘れたい苦い思い出となった。しかし、どのような種類の取り組み — リンク構築の取り組みも含む — が今後も利益をもたらすのかに関して、明確な手掛かりを与えている、大きなメタのトレンドが存在する。
「SEOではユーザーに焦点を絞れ」、「SEOの戦略は実際のビジターにメリットを与えなければならない」等の指摘は、至る所に転がっている。このような考えは、失敗や上位にランクインする効果のある取り組みに基づいているわけではない。長続きする検索ランキングの要素は、上位の獲得に有効であり、実際のユーザーにメリットを与える。そして、この要素こそが、今後も長期間に渡って、利益を与えてくれると期待することしか私達には出来ない。
リンク構築、そして、重要なリンクの獲得にも同じことが言える。過去のトレンドに基づくこの見解を考慮すると、今後も重視されるリンク構築では、アルゴリズムだけでなく、人間のユーザーに価値を与えることを意識しなければならないだろう。
この記事の中で述べられている意見はゲストライターの意見であり、必ずしもサーチ・エンジン・ランドを代表しているわけではない。
この記事は、Search Engine Landに掲載された「How Fast Is SEO Really Changing? A Look Back At Search Ranking Factors」を翻訳した内容です。