(編集者による注記: これは、2011年2月24日に導入されたグーグルのパンダアルゴリズムアップデートのその後に注目したシリーズ記事の最終章である。前回の投稿をまだ読んでいないなら、Googleパンダアップデートの余波を探る ? 敗者は復活できたのか?(日本語)とパンダアップデートの余波を探る ? 売却 & 閉鎖に追い込まれたサイト(日本語)に目を通しておいてもらいたい)
グーグルがパンダアップデートをデビュー(日本語)させてから2年が経過する中、敗者の多くは今も尚負け組から抜け出すことが出来ず(日本語)、また、その一部はランキングやSEOを超越したインパクトを受けてきた。
HubPages.comは、この2つのカテゴリの双方に当てはまるサイトである。
2006年に立ち上げられたHubPages.comは、現在、約13万人の作者を抱え、110万本の記事(同サイトでは“hub”と呼ばれている)を配信している。同サイトは、パンダで大きな打撃を受けたサイトとして常にリストアップされており、CEOのポール・エドモンソン氏もこの点を認め、「パンダによって、トラフィックおよび収益が大幅に減った」と述べている。しかし、少なくともその他の一部の大打撃を受けたサイトとは異なり、HubPagesは、方向性を変え、質を改善することに力を入れようとしている。
このシリーズの1本目と2本目を作成するためにリサーチをしている際、私はパンダによってダメージを被った(そして、厳しい期限であるため容易に連絡を取れる)複数の会社に接触した。最初に連絡を受けたのがHubpagesであり、その他の会社からは、時間、移動等の問題で要請に応じられないと言う答えが返ってきた。と言うわけで、パンダ導入後の2周年を記念して連載してきたこのシリーズを、HubPagesのポール・エドモンソンCEOへのインタビューで締めさせてもらう。
HubPagesのCEOに問うグーグルパンダに関する5つの質問
筆者: パンダアップデートによる初期のサイトへのインパクトは、どのようなものでしたか?
ポール・エドモンソン: パンダアップデートにより、トラフィックと収益が大幅に減りました。まるで、サイトの一部に掲載されていた質の低いコンテンツ(グーグルにも質が低いと評価されました)に影響を与えるため、鈍器でサイト全体を打ちつけられたような気分でした。
グーグルが、質の低いページを選び出し、ランキングを下げるようなピンポイントのアプローチではなく、強引な手に打って出た点は、若干意外でした。私達は、コンテンツは大幅に拡大することが出来るとグーグルは伝えようとしているのだと思いました。
グーグルの検索アルゴリズムのアップデートは、慎重に作られ、私達と同じ目標(オンラインのオーディエンスが目にするコンテンツの質を改善する)を基に構築されている点を理解し、私達はすぐにパターンを探し出し、内部の質の問題を解決する作業に取り組みました。
2年前、パンダに対して、短期的に、そして、長期的にどのような対応を行ってきましたか?
テクノロジーと収益の戦略を大幅に変更しました。
収益に関して、HubPagesは、サイトのコンテンツを管理するため、従業員を増やす必要がありました。その一方で、収益は大幅に減り、当時獲得していたトラフィックも著しく価値が落ちていました。
後続のパンダアップデートにより、収入はさらに減少し、数名を解雇せざるをえなくなりました。その後も、トラフィックの増減に合わせて、引き続きコスト構造を調整してきました。
技術的には、サイトをパンダから逃す様々な手段を試し、グーグルがコンテンツと作者を別々に対応するかどうかを確かめました。最終的に、HubPages.comはサブドメインに焦点を絞りました。[編集者による注記: この件に関する詳細は次のエントリで確認してもらいたい: サブドメインに移すことでパンダから逃れられるのか?]
また、私達は、サイトのコンテンツが以前別の場所で配信されていたかどうかを確認するテクノロジーを構築して、サイトから重複するコンテンツを削除し、加えられる記事が増加しないように対策を取りました。
そして、作者の一人が、質の問題を抱えているとグーグルから指摘された後(むしろ質が高いと私達は考えていました)、ページごとに質を評価するシステムの構築に乗り出しました。より優れた品質に関するガイドラインを策定するためです。この取り組みは現在も引き続き行われています。
私達は、HubPagesのチームおよびコミュニティの特徴、そして、粘り強さを改めて知ることになりました。グーグルが頻繁に変更を加えるものの、私達は諦めず、今後に対して希望を持っています。前に進む道があるはずであり、絶対に見つけます。
サブドメインを選ぶ前に、HubPagesはその他にどのような手段を試しましたか?
サブドメインではなく、作者別のサブディレクトリに注目した時期もあります。大規模なテストは実施しませんでしたが、同じような結果をもたらすようです。最終的に、私達は作者一人一人が自分のサイトを宣伝する必要があると感じ、サブドメインを用いることで、作者により大きな責任感を持ってもらえると考えたのです。また、トピック別にサブドメインを整理する方針も検討しましたが、この方法で整理したサイトを調査した結果、このアプローチによって、グーグルに十分に区別してもらえるとは思えませんでした。
タグのページや答えが投稿されていない質問のページ等、多くのページのインデックスを無効にしました。“薄っぺらい”ページを削除するためです。一方で、 「質疑応答」セクションやフォーラム等、長期間に渡って他のセクションとな異なる仕組みで編成されていた一部のセクションを維持しました。Q&Aは最終的にサブドメインに移動しています。フォラームはHubPages.comのドメインに残しましたが、大半の投稿のインデックスを無効にしています。
ユーザーが作成する記事を完全に放棄しようとは思いませんでしたか?(例えば、Suite101.comのように)
いいえ。HubPagesは、根本的に熱意を持つ人達のコミュニティである点を理解しなければなりません。私達が実施してきた取り組み、そして、今も継続している取り組みは、オーディエンスが好むコンテンツを識別する品質システムを構築することです。 ある意味、HubPagesのシステムは、グーグルが構築しようと試みているアルゴリズムに似ていますが、私達のアプローチは、大部分において人間の評価をベースにしています。人とは違う意見に対して、発見される機会を与える点を私達は重要視しています。そのため、読者が好むコンテンツを目立たせることが可能な柔軟性のあるシステムの構築に取り掛かっていますが、かと言って、個性を失わせるほど厳格化しないように注意する必要があります。HubPages.comのシステムは、マーク・エウビーのユーモア溢れるスタイルから、HubPagesに参加して間もないライターの作品に至るまで、様々な記事を取り上げます。
パンダアップデートは、実施されて良かったと思いますか?
良かったかどうかは、今の段階では分からないのではないでしょうか。現在、個人レベルでオーディエンスを見つけることが難しくなっています。事実、グーグルで取り上げられてもらえない質の高い新しいページは、数多くあります。
グーグルがトラフィックを送るコンテンツのタイプがころころ変わるため、そして、クリエター達がコンテンツをSERPに掲載してもらえるか分からなくなり、不安が増したことで、コンテンツの作成が大幅に遅くなったと思います。
長く、情報が豊かなページを作るには、より高いコストが必要とされますが、私達のデータを参考にする限り、ページの質が上がると、実際の収益は下がるのです。質の高いページを金銭的な面で作成する状況を作り出すには、トラフィックを大幅に変化させる必要があります。この経済面での変化によって、(低いコスト構造を受け入れ & コンテンツ作成プロセスのあらゆる領域をすぐに統合することが出来る)本物の独立した熱心なクリエイターに成功するチャンスが到来するかもしれません。
この記事は、Search Engine Landに掲載された「Google Panda Two Years Later: 5 Questions With HubPages CEO Paul Edmondson」を翻訳した内容です。
日本でこの規模でパンダアップデートの被害に合ったサイトはあるかは不明ですが、それなりの検索トラフィックに依存していたサイトがある日パンダかどうかはともかく何らかの理由でトラフィックを失い収益に大打撃を喰らってしまったケースはあると思います。過激なSEOをやりすぎたせいかもしれませんし、単純にGoogleのアルゴリズムにたまたま影響を受けすぎたせいかもしれませんが、Googleに依存しないビジネスが重要とは理解しつつも、検索がウェブ上で最も行われる行動の1つである以上、検索にビジネスを依存することはある種仕方のないことですよね。。。。ま、SEOがダメでも有料検索広告もあるわけですし。検索広告で成り立たないビジネスは元々の基盤が危うすぎたといえるかもしれません。
しかし話は変わりますが、このHubpages、Googleでアドセンスを活用している事例としてGoogle自身に紹介されているんですよね。ただし何故か日本語はあるのに英語の紹介はないという不思議。パンダの後、英語の記事は削除されたのでしょうか。逆にいえば、パンダでHubpagesの順位が下げられる前は、Google自身がHubpagesをアドセンスで収益を上げている成功事例として紹介していたということですし、まぁ、広告部門とアルゴリズム改善部門は余り関係がないのでしょうけど、世界の大企業Google先生ならではの巧みなダンスですね。 — SEO Japan [G+]